帝国データバンク独自の物価指標である「カレーライス物価」と「カレーライス物価指数」の上昇が止まらない。この主な要因として、「足元の米価高騰による影響が大きい」と指摘している。
帝国データバンクが2月10日に公表した昨年12月の「カレーライス物価」は1食386円(前月比+9円)で、比較可能な平成27年(2015)以降の10年間で9か月連続の最高値更新となった。また300円台は令和5年(2023)8月以降、1年5か月連続。前年同月比+67円は、最大の上げ幅を記録している。
「カレーライス物価」は、総務省の小売物価統計調査結果から、カレーの調理に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)にまとめた「カレーライス1食あたりのトータルコスト」を示すもの。12月の「カレーライス物価」の内訳をみると、最も費用が高いのが全体の約5割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、前年同月比+8円の206円だった。輸入牛肉の価格は円安を背景に上昇が続いたことに加え、ジャガイモ・ニンジン・タマネギ(野菜類)の価格が前月から大幅な値上がり基調に転じたことで、5か月ぶりに前月を上回った。
他方、「ごはん(ライス)」価格は151円。前月比+2円は過去6か月で最少の上げ幅だったものの、前年同月比+58円は相変わらず大幅な上げ幅。結果的に初めて150円台に達した。
このカレーライス物価を基に、令和2年(2020)平均を100とした帝国データバンク独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、12月は「140.8」。5年間で4割を超える記録的な物価高が反映された。前年同月比では+20.9%で、1年7か月連続の上昇にあたり、過去最大を記録した。
総務省の小売物価統計は、毎月1回、全国都市別の公表が基本だが、その約1週間前に、東京都区部のみ先行して公表される。1月の小売物価統計(東京都区部のみ)はすでに公表されている(既報)ことから、帝国データバンクは1月の「カレーライス物価」を予想している。それによると、「野菜類が平年を上回る見通しで、足元の円安傾向を背景に輸入牛肉でも値上がり傾向が続くとみられ、カレー具材は6か月ぶりに210円台に達する可能性がある」、米価は「値上がりに鈍化傾向もみられるものの、当面は値下がりの可能性が低く、1食あたり150円台での推移が予想される」とした上で、「1月のカレーライス物価は、1食390円を超える見通しで、400円台に達する可能性も出ている」と指摘している。

