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「紅麹」事件の小林製薬、減収減益・最終益半減

 昨年「紅麹」事件を引き起こした小林製薬㈱(大阪府大阪市)は2月10日、減収減益の令和6年(2024)12月期決算を発表した。最終益(当期純利益)は半減している。これに伴い、令和7年(2025)12月期を最終年次とした中期経営計画を、「想定との乖離が大きすぎる」として取り下げた。

 発端は昨年3月22日、小林製薬㈱が紅麹原料を使った機能性表示食品(サプリメント)「紅麹コレステヘルプ」はじめ5アイテムの自主回収を発表したこと。健康被害は、腎疾患を中心に受診2,685件、入院552人、死者404人に及んでいる(厚生労働省発表による今年2月9日現在の延べ数)。
 昨年7月23日、引責による社長交代を発表したものの、小林一雅代表取締役会長⇒特別顧問、小林章浩代表取締役社長⇒補償担当取締役と、創業家一族の影響力が完全に消滅したとは言い難い交代劇となっていた。この当時、後任の代表取締役社長に就いたのは、山根聡専務取締役サステナビリティ経営本部長だったが、今年3月に予定している株主総会で退任が内定している。後任の代表取締役社長に内定しているのは、豊田賀一執行役員国際事業本部長。
 この間、昨年8月8日には、紅麹事業からの撤退と、健康被害にあった顧客への補償開始を発表しており、これが前期の最終益半減に直結したものとみられる。

 だが小林製薬の〝罪〟は、これだけにとどまらない。まず小林製薬の紅麹原料で商品化していた企業。計225社の自主点検の結果、健康被害が発生した事例は皆無だったものの、一時的なものも含めて相当数が自主回収(リコール)に及んでいる。
 一方、事件の原因は「プベルル酸」が最有力候補にあがっているものの、未だ特定には至っていない。明確になったのは、あくまで小林製薬が扱った紅麹であって、普通の紅麹ではない点。ところが事件の当初から紅麹に対する言わば〝風評被害〟が持ち上がっており、なかには米麹と混同する事例も、未だに拭えていない。

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