皆さんはお米を、ご自宅のどこに保管していますか? 大抵の方は、キッチンの隅に袋ごと置いてあるのではないでしょうか。それは間違いです。特に梅雨の時期ともなれば、そのまま放置しておくと、1か月もしないうちに虫がわきます。そのお米は不良品ではありません。保管方法をまちがえているのです。
お米は生き物です。よく見ると精米の袋には、小さな穴があいています。精米された後のお米も、袋のなかで呼吸しているのです。したがって高温多湿は大敵。20℃以上で湿度60%以上になると、虫がつく可能性が一挙に跳ね上がります。
今お米の値段は高騰しています。であれば、間違いのない保管方法によって最後までおいしく食べることこそ、経済的な損失を避ける近道なのではないでしょうか。
そこで、その「間違いのない保管方法」なのですが、ネット上で言われているのは、「密閉容器に入れて、比較的涼しい場所を選び、湿度が低く、直射日光が当たらないところに置く」です。しかし、これだけでは不十分です。「密閉容器に入れる」ところは間違っていませんが、理想的なのは、冷蔵庫に保管することです。
皆さんはお米を炊くとき、お米を研いでいませんか? それは間違いです。昔と違って、今の日本の精米技術には高いものがあります。昔は十分にとれていなかった糠が、今の精米にはほとんど残っていません。だからお米を「研ぐ」のは、お米を傷つける行為にほかなりません。
金属製のザルのなかで泡立て器で研ぐなど、もってのほかです。明らかに粒が割れてしまいます。粒の大きさが不揃いだと、水分の吸収率が揃いませんので、どんなに高級な炊飯器で炊いても炊きムラが起こることになります。
今は「研ぐ」のでなく、「洗う」のが正解です。それも1回水を入れて2~3回軽くかき回す程度で十分です。これは無洗米でなくとも同じです。
ただし以上は、スーパーなどで購入するお米の話。生産者などから直接購入するお米は、その限りではありません。もちろん例外はありますが、多くの生産者はさほど高性能な精米機を備えていませんので、糠や異物の除去が不十分です。スーパーなどに納品するお米は、巨大な精米工場で精米していることが圧倒的に多く、こうしたお米であれば、「洗う」だけで十分なのです。