既報の通り、今年穫れる令和7年産米の価格が、もはや下がらないことが早くも確定的になってきた。例年なら出来秋に提示される農協の一次集荷価格が、前年同期より20~35%高い水準で、しかも半年近く前倒しで示されつつあるためだ。その上、東北や北陸といった東日本の主産地ならともかく、西日本のマイナー産地が高めの一次集荷価格を示したことで、「下がらない」確定度を増している。
農協の一次集荷価格にあたる概算金あるいは仮渡金は、手数料や経費を上乗せして相対価格を決めることから、〝岩盤〟と称される。実際の集荷価格は、県下各単協が上乗せしてくるのは目に見えているので、これより高い水準となる可能性が高い。
全農新潟県本部は今年2月28日、例年の仮渡金ではなく、令和7年産米の「最低保証価格」を決めた。また4月23日になって、今度は福井県農協が、同じく令和7年産コシヒカリの最低保証価格を決めている。さらに4月30日、大分県農協が令和7年産ヒノヒカリ概算金の最低「保証額」を決めた点は大きい。6月30日までに出荷契約を交わした農家に「支払を保証する」額ということになっているから、出来秋の際に支払う概算金がこの水準を上回ることは確実だ。
新潟や福井といった産地は、米にあっては言わばプライスリーダーにあたるため、「最低保証価格」とはいえキャップを被せたに等しかった。だが、例年なら相対的な低水準にとどまる西日本の、それもマイナーな産地が高水準の「保証価格」を示したことは、真の意味での〝岩盤〟を示したに等しく、これが「底値」の扱いとなる公算が高い。
今の令和6年産の高騰米価を形づくった最初のきっかけが去年の概算金/仮渡金だから、これを上回る最低保証価格を決めたということは、もはや令和7年産米の価格が下がることはなくなったことになる。もちろん現在の政府備蓄米放出によって、多少は下がることもあり得るだろうが、令和7年産米が出回るようになれば高め価格でのリスタートとなる。
\ | R7当初 仮渡金 | 前年比 (対R6 当初) | 前年比 (対R6 追加払後) |
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新潟一般コシヒカリ | 23,000円 | +6,000円 | +4,500円 |
新潟岩船コシヒカリ | 23,000円 | +5,700円 | +4,200円 |
新潟佐渡コシヒカリ | 23,000円 | +5,700円 | +4,200円 |
新潟魚沼コシヒカリ | 25,000円 | +5,500円 | +4,000円 |
新潟こしいぶき | 20,000円 | +5,500円 | +4,000円 |
新潟新之助 | 24,000円 | +6,000円 | +4,500円 |
\ | R7当初 概算金 | 前年比 |
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福井コシヒカリ | 22,000円 | +4,800円 |
\ | R7当初 概算金 | 前年比 |
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大分ヒノヒカリ | 23,000円 | +4,520円 |
※米価高騰のメカニズムは既報の通り。