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iNSIGHT飯稲米

【iNSIGHT飯稲米】小泉新農相、就任後いきなり「随契で備蓄米売渡」

 小泉進次郎農相は就任当日の5月21日夜、初登庁した東京・霞ヶ関の農林水産省で初会見に臨み、5月28~30日に予定していた政府備蓄米の第4回売渡入札をいったん中止、随意契約で売り渡す方式に切り替えることで、米価の下落をめざす考えを表明した。江藤拓前農相の後任に指名される際、石破茂首相から受けた指示に基づくもの。

 確かに入札よりも随意契約のほうが、安価に誘導しやすいのは事実だ。であれば最初から随契で売り渡してしまえば良さそうなものだが、そうもいかなかった理由は主に二つある。
 第1に、国家財産(備蓄米)を民間に随契で売り渡すには、会計法その他との擦り合わせ、内閣法制局、財務省といった関係省庁との調整が必要になる。つまり迅速性に欠ける。今回は、31万tも放出しても価格が下がらなかったため、仕方なく踏み切った――かのように見えるが、それでは迅速性を確保できないのは同じことだ。ということは、数日前から農政通(農相経験者)の石破首相と農林水産省との間で随契というアイディアの検討がなされていて、そこへ前農相の失言が降って湧いたため、農相交代と随契への切替を重ねたのではないか――との疑念も湧いてくる。
 第2に、大幅に下げてしまうと、それまでの「高い」令和6年産米との整合性がとれなくなることがある。すでに複数の産地が令和7年産米集荷価格の大幅な引き上げを表明している以上、いったん「安い」令和6年産が消費者に届けば、末端価格は再び高騰せざるを得ない。そこを避けたかったわけだ。「幸いなことに」令和6年産の政府備蓄米在庫は、ほぼ払底している。今後は入札であろうが随契であろうが、主体となるのは令和4年産米以前になる。産年が異なれば、価格が変わっても理解が得られやすい。このような判断が働いたのではないかと見られる。

 「入札によって高めの価格で落札されてしまう」ことから随契に切り替える、との説明だが、これは実は違う。これまで3回の売渡入札でも、予定価格(下限価格)が設定されていたのである。応札する側の意志ではない。これを「○○円で」と指定する随契に切り替えるということは、真正面から「国が安価で売り渡す」意志の表れということになる。
 したがって、随契によって「いくらで売り渡すのか」が、次の焦点となる。

一問一答(5月21日、就任会見から抜粋)

 大臣 この度、農林水産大臣を拝命しました、小泉進次郎です。農水の記者クラブの皆さん、どうぞよろしくお願いいたします。私は農林水産省の最も重要な使命は、国民の皆様に食料を安定的に供給することだと考えています。このため、まずは米について、消費者に安定した価格で供給できるように、全力で取り組んでいきたいと思います。任命の際に、石破総理からは、随意契約を活用した備蓄米の売り渡しを検討するよう、指示があったところであります。つきましては、先週発表した対策のパッケージについて、来週に予定していた入札を一旦中止し、随意契約のもとでどのような条件で売り渡しができるかなど、具体的な対応策を早急に整理するよう、事務方に指示を出したところであります。
 また、我が国の農林水産物食品の輸出のうち、アメリカ向けは全体の17%を占め、輸出額は2,429億円に上るなど、アメリカの関税措置は、措置による輸出への影響は小さくありません。日米交渉にあたっては、農業を犠牲にしないという方針のもと、国益の確保に向けて関係省庁と連携してしっかりと対応を行ってまいります。農林水産業を取り巻く環境は、国際情勢の不安定化や自然災害、気候変動等の影響、人口減少や高齢者の引退による基幹的農業従事者の急減など、大きく変化しています。このような変化に的確に対応し、食料安全保障の抜本的強化を図るため、改正食料・農業・農村基本法の、初動5年の農業構造転換集中対策期間において、新たな食料・農業・農村基本計画に基づき、生産性の抜本的向上に向け、農地の大区画化、共同利用施設の再編・集約化、スマート農業技術の導入加速化などを集中的・計画的に進めて参ります。あわせて、農業者への支援のあり方について、新たな基本計画に即し、令和9年度に向けた水田政策のあり方を検討していく中で、生産調整のあり方や、農業者の所得の向上に向けて、現場の実態を調査・検証し、議論を深めて参ります。

(略)

 大臣 我が国の農林水産業、食品産業は、国民に食料を安定的に供給する役割を果たしながら、地域の経済も支えています。我が国の農林水産業、食品産業が次の世代に確実に継承され、食料安全保障が確保されるよう、2万人の農林水産省職員とともに、現場の声に耳を傾けながら全力を尽くして参ります。これからお世話になりますが、皆さんどうぞよろしくお願いいたします。以上です。

 記者 まず、新しく農林水産大臣に就任されて、今の御所感、抱負をお願いいたします。また、今お話がありましたけれども、米価高騰が続く中で、石破首相は新しい大臣のもとで必ず価格を下げると強調されました。米価格の高止まりには、構造的な問題があるというようにも指摘をされています。大臣はこれから米価高騰対策にどう臨むおつもりか、随意契約のお話もありましたが、それ以外も含めて、改めてお考えをお聞かせください。

 大臣 まず、私はこの度任命された中で最重要、今最も力を入れなければならないのは、米。とにかく米に尽きると思っています。総理からも明確に大臣指示の中で、特だしとして指示を受けたのは、この米の問題です。今日国会において、総理が踏み込んだ発言をされたということも聞いておりますが、やはり担当大臣としてしっかりと、国民の皆さんが、昨年と比べたら倍近くになっている米の価格が下がったと。これだったら安心してお米を買える、食べると。見つけたら、今だったら多めに買ってしまう方も多いと思うんですよね。なかなか不足感がありますから。そういった環境を解消できるような、具体的な新たな取り組みをしなければならないということで、今までの入札方法を抜本的に変え、随意契約という形で、これから詳細は詰めていきますが、しっかりと米の価格が下がるという、そういった方向性に向けた第一歩を示していきたいと思っています。具体的なことは今、やりとりの中で、随意契約の詳細な制度設計については我が省と、財務省などと今協議をしています。この協議の調整についても加速化を指示して、できる限り早く、次の入札を始めたい。入札というか、次の随意契約を始めたいと思っております。

 記者  昨年6月に施行されました、食料・農業・農村基本法の改正の、改正基本法では、平時の食料安全保障について、国民一人一人が健康的な活動を行うために、十分な食料を将来にわたり入手可能な状態、というように理念として定義されているわけですけれども。現在、米、或いは米だけではなくて、あらゆる食料品、食料品全般の値上がりが大体4年以上ぐらい依然として続いていると、止まらないという状況です。この、国民一人一人というように定義した平時の食料安全保障が、現時点で脅かされつつあるか否かという観点で見た場合に、大臣としてはどういった認識でいらっしゃいますでしょうか。

 大臣 今、食料安全保障について、国民の皆さんの不安が高まっていると感じています。先ほども農水省(職員)と一緒にデータを見ていましたが、約1年前と比べて米は約2倍に上がっている地域があります。この1年間で物価高を感じている方は非常に多くいらっしゃいますが、ある商品において、1年間で約2倍上がるというのは、他の商品ではあまりありません。特に、食品の中での物価が上がってきたという負担感が強い中で、やはりこの米の問題に対して非常に大きな関心が集まっているのも、それだけ不足感、高騰に対する不安、そして生活の苦しさ、ここがやはり非常に大きいと思うのです。ですので、食料安全保障という非常に大きな課題は長年の課題で、自給率が約4割で、海外からこれだけ食べ物を依存しているという環境をどうやって変えるかというのは、かなり長期的な課題としてもありますが、その長期的な経済安全保障を改善していくためにも、今、目の前の米の問題を解決していかなければ、大きな経済安全保障の政策についても国民の皆さんの共感と理解はないと。そういうふうに思って、まず目の前はとにかく米。この米政策に集中して取り組んでいきたいと思います。

(略)

 記者 大臣就任おめでとうございます。よろしくお願いします。1点お願いしたいのですが、アメリカのトランプ政権の関税措置をめぐる日米交渉をめぐって農業を犠牲にしないということを今おっしゃっていたと思います。交渉カードとしてトウモロコシや大豆の輸入拡大案を挙げられていますが、このあたりはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。また、米国産の米の輸入を拡大すべきという見方もありますけれども、このあたりもあわせて見解をお伺いできればと思います。

 大臣 まず、交渉は赤澤(経済再生)担当大臣に一任をされている責任者でありますので、やはり交渉の責任者にできる限りのフリーハンドを与えるっていうのは、私は、交渉上は大事なことだと思います。ですので、詳細について私が申し上げることは適切ではないと思いますが、赤澤大臣におかれましては、日本の農業を守る、決して農業を犠牲にしないと、そのような思いを持ちながら、トランプ政権との関税交渉に臨んでいただきたいと思います。そして、これは毎回アメリカに対しても、私も先日の訪米でお話をしましたが、トランプ大統領にとっては貿易赤字というものがものすごく重要ですけれども、農林水産分野だけを見れば、日本が貿易赤字です。約2兆円の。アメリカが2兆円の黒字国です。こういったことを踏まえた上での、お互いにとってWin-Winとなるような交渉結果に繋げていただきたいというふうに思っております。

 記者 米とかを輸入をすべきというようなところについては、どういうふうに考えていらっしゃいますか。

 大臣 これは常々、農業者の皆さんからすれば不安に思っているところであると思います。とにかく今、日本の米農家さんの高齢化、そして減少、こういったことを食い止めるためには、日本で米農家として食っていける、生きていける、こういった環境を作っていくこと。そしてまた一方で、消費者の皆さんが、「この価格だったら、お米はもう買えないよ」という米離れを防がなければいけない。だからこそ、バランスは難しいと思うのですが、私は大臣として、消費者の皆さんの目線に立った農政を進める上でも、この消費者と生産者の距離感、理解を促進するような、そんな農政を実現していきたいと思います。今、輸出について触れるのは、私としては、まずは目の前で、これから新たに始めていく随意契約の中で、明確に価格を下げていきたいと。一方で、この価格を下げるということにおいて、あらゆる選択肢を持ちながら必ず実現をする。そういった思いで取り組んでいきたいと思います。

 記者 米についてお伺いします。冒頭でのご発言もありましたが、備蓄米については随意契約をしていくということで、この随意契約に関しても、一定額を決めるということもあって、省内の方からも国から売り渡す際の米の価格が、入札と比べて下がらないのではないかというような声も聞かれております。随意契約によって、どのように国から業者へ売り渡す際の米の価格を低下させようとお考えかということと、江藤大臣のときには、7月まで毎月10万tの入札をするということを決められていましたが、7月まで10万tというのも、中止ということになるんでしょうか。

 大臣 今ゼロベースで、新たな制度を考えるように指示を出しています。仮に需要があった場合は無制限に出す。そういったことも含めて、やはり今までとは違う大胆な手が、私は必要だと思っています。随意契約でも下がらないということになってしまっては、農政に対する不信感というのは、国民の皆さんからますます高まりかねないという危機感を持っています。これは先ほど職員にも、私から申し上げましたが、農水省の施策という捉え方ではなくて、今この施策は政治の中での最大の課題なんだと、そういった思いで取り組んでもらいたいと。最終的に、この随意契約の詳細に設計をする中で、やはり法的な整理をしなければいけません。具体的に言うと、会計法、これは財務省が所管ですので、財務省との協議は不可欠なんですが、やはり会計法の理解の中で、一定の政治判断を持ってやらなければいけないことも出てくるかもしれませんが、そういった場合には躊躇なくやりたいと思います。

 記者 今、無制限に出していくというご発言もありましたが、残り、今は備蓄米60万tとなっていて、一応MAXは60万tかと思うのですが、備蓄米以外でのこの米価格高騰を抑える策も考えられるのでしょうか。

 大臣 そこも含めて考えます。ただ、「まずは10万です」ということにとらわれず、需要があれば無制限に出す。それぐらいのことをやっていかなければ、これはマーケットのマインドも変わらない。世の中の受け止めも変わらないと思います。それぐらいの覚悟でやります。

 記者 官邸でのぶら下がりで、「組織団体に忖度しない判断をする」とおっしゃっておりました。これは農水大臣として、かつての農協改革に再び取り組むという御意図での発言だったのでしょうか。

 大臣  これは今この局面で、一定の団体などに、怒られないか気を使いながらの判断というのは、私は政策を誤ると思っています。例えば、水産(総合)調査会長として、自民党は今まで調査会の会議に毎回団体に出席をいただいていたことを、私は調査会長としてやめました。それは一定の団体の話を過度に聞き過ぎることによって、見えないことが出てくるからです。今この農政に求められていることは、将来、生産者の皆さんが意欲を持って農業に従事できるということを達成すると同時に、やはり消費者の皆さんの立場をもっと考えた農政を実現する。そこが国民の皆さんが求めていることではないでしょうか。そういったことを、職員の皆さんにも私の思いを理解していただきながら、この農政改革全体としては、まず米をやって、短期では。その先に、石破総理も思いを持っている、「もう減反をやめるんだ」と。この作るなという農政ではなくて、意欲を持って作っていただいて、その余った部分があるとしたら、輸出をするんだと。輸出をする分については国を上げてやっています。そしてJAグループも含めて、今は400億円いかないぐらいのJAグループの輸出額ですが、全農含めて、JAグループの力をもってすれば、私はまだまだ、2倍、3倍、4倍にも増やせると思います。そういったことも求めていきたいと思います。

 記者 大臣、ご就任おめでとうございます。首相の指示についてお伺いします。先ほど、米対策が特に重要ということで、随意契約などのお話をされておりましたが、その他に石破首相から何か特別なご指示などがございましたでしょうか。

 大臣 正確に申し上げますと、指示書の中に随意契約ということがあるわけではないのですが、正確には総理からは、5つぐらいのポイントがあるのですけれども、その中で特に下線を引いてここだというご指示があったのは、「消費者に安定した価格で米を供給できるよう強力に推進する」と。こういったところが最大のポイントであります。5つというのは、例えばどういったことがあったというと、1つ目が、改正食料・農業・農村基本法に基づく、食料安全保障の確保等の推進。強い林業づくり、漁業・水産業の活性化、もうかるスマート農林水産業の実現、消費者への安定した価格での米の供給。これが1つ目。2つ目が、農林水産物の輸出の促進。3つ目が多面的機能の維持、人口急減地域への支援、4つ目が豚熱等に対する万全の対策。そして5つ目が、中国等による水産物の輸入停止に対する全国の水産業の、生業(なりわい)や事業への支援。こういった形の5つになっておりますので、私としてはその5つも含めて、農林水産大臣として職責を果たしていきたいと考えております。

(略)

 記者 令和9年度以降の水田政策の見直しにも関わってくるかもしれないのですけれども、先ほど、減反政策をやめるという発言があったかと思うのですけれど、平成30年産以降、生産数量目標の配分というのはなくなっていると思います。大臣の先ほどの発言の意図というのはどういうところにあるのでしょうか。

 大臣 これは石破総理とお話をする中でも、かねてから総理も言われていることですけど、明確に減反をやめる、生産調整もやめるということになる前から、石破総理は、やはり世界の中で主食を作るななんて国はないだろう。やはり意欲を持って作っていただくのが、農政の基本ではないのかという思いを持ってこられた方です。そういった中で、今、事実上減反廃止生産調整がやられていても、結果として、やはり一定の需給を見なければいけませんから、そういった中で、まだ相当長年続いた減反ですから、そういったマインドになってしまっている方が多いことも事実だと思います。ただこれから本当に米は余っているのか、こういった問題意識を総理も持たれていますので、今後、まず目の前は米の政策をしっかりと価格を下げることも含めて実現をした上で中長期的な、これからの米政策、あり方、そしてまた、最終的に仮に余ったときにどうするのかっていう、輸出や米粉含めて新たな需要の開拓、こういったことも含めて、さらに農家の皆さんに対するセーフティネットのあり方、そして安心して農業を従事していただける、こういったことを農林水産省全体として考えて取り組んでいきたいと思います。

 記者 米の価格について関連して3点お伺いしたいことがあります。先ほどの党首討論で石破首相はコメ価格を1日でも早く3,000円台に引き下げるというふうにおっしゃっていました。その考えを小泉大臣も共有されているのかということが1点です。その3,000円という今後もしそうであれば考えを共有されているとすればですね、その3,000円という水準というのはどういうような根拠、考え方に基づいて出されているんでしょうかということと、今まで農政としては米の価格は市場に任せるということで自由化を進めてきたと思います。それに対するかなり方針転換かと思いますがそこまでする必要があるとお考えになっている理由を少し説明いただけないでしょうか。

 大臣 まず1つ目の総理の3,000円台にということと、思いを共有してるということでありますが、これは全国平均で今4,200円ぐらいですよね。ただ、地域を見ると、もうすでに3,000円台の地域もあるのも事実です。ですので、私は総理の思いは、やはり今あまり高いこの異常な高騰を食い止めたい、安心していただきたい。その思いの中で、3,000円台という形で触れたと思います。ただ、やはり地域を見れば、昨年の価格と比べて、今の価格を見れば、仮に3,000円台だったとしても、それでも高いと思われている地域があることは事実だと思います。ですので、3,000円台に行ったから大丈夫だという理解ではなくて、やはり、特にこの1年、約2倍に上がっていると、こういったことをしっかりととらえた上で、次の入札をやめて随意契約にすると、その詳細設計をどうするかによって、かなり私はマーケットに対してのインパクトを持てると思いますけども、その制度設計をしっかりやっていくことが、結果として総理の思いや各地域の本当に下がったと、こういうふうに思っていただけることに繋がっていくのではないかと。それをスピード感を持って結果を出していくために、農水省の担当職員ともまた財務省ともしっかり協議をして早急にまとめていきたいというふうに思っています。そして2つ目が、なんでしたっけ、(記者:3,000円の根拠、どうして3,000円かということ)やはりそれは総理が日頃から、何故なかなか下がらないんだと。最近ちょっと上がってしまったので、その中で、今全国平均で4,200円となっている中で、少しでもこの下げていきたいという思いの現れではないかとは思います。ただ、今日、認証式や、一連の中で党首討論を全部見ているわけじゃありませんので、そこは全部見て、そしてまた、そこは総理の思いも確認をしながら、3,000円台ということの思いを私としても、共有をしながら農政を進めていきたいと思います。3つ目は、(記者:米を自由化の中で価格はマーケットに任せるということに対して反転するんじゃないのかということ)これは今まさに緊急事態に近いものだと思っていますので、その時に政治の決断をするのは、私は当然のことだと思います。そして、今までと方針が違うんじゃないかっていうふうに言われるかもしれませんが、まさに今回私が就任をした初日に次回の入札はやめて、随意契約をやると、そういったことは、政治の責任ですから、その結果責任を負うのも私は政治の役割だと思います。

 記者 大きく米についてお聞かせください。先ほど静かに初登庁を迎えられたと思います。そうした中で、この米の価格の高騰高止まりが続いている中で随意契約というような形で、入札をやり直すというところにあたって、この備蓄米の売り渡し、今後どのように進めていきたいか、その思いをまずお伺いしてください。

 大臣 米の価格が下がったという実感を一人一人の国民の皆さん、消費者生活者の皆さんに持っていただける結果を出すための制度に変えていきたいと思います。まずは、今までの一般競争入札ではなく随意契約という形で判断をさせていただきました。しかし随意契約の制度設計次第では、それでも下がらないという懸念もあります。なので、随意契約にした上でその制度を詰めて、これなら下がる、そういうふうに思っていただけるように、今具体的な詰めを行っております。それを関係省庁、財務省とも協議が整い次第、皆さんにもお話をさせていただければと思います。

 記者 こういう米の高騰高止まりが続く中で、大臣として、新たにされるということで、初登庁のときにはどういうお気持ちで臨まれたのでしょうか。

 大臣 大変重い責任で難しい局面で、しかしやらなければ、課題はものすごく明確なので、そして農林部会長のときに、支えていただいた農林水産省の職員も、大勢いらっしゃって、そしてもうすでに初日とは思えないほど濃密な政策議論もやらせていただきました。それを踏まえると、非常にありがたく、支えていただけるそういった皆さんがいますので、何よりも、今日のこの時間も、本来であれば定時退庁の日にもかかわらずですね、職員の皆さんがこのような支え方をしてくださっています。結果を出して、一緒になってよかったねと、そういうふうに思えるような、そんな政策を実現していければと思います。

 記者 結果を出すという点でまず初めに随意契約の実施というところで、これが実現した場合、どのような期待が効果として考えられていますでしょうか。

 大臣 これで安心してお米を買える。そして、お米が高いからということで、他の選択肢を選んでいただいたような方も、お米に戻っていただける、そういった、やはり、世の中の安心感につなげていきたい。そして、下がると言ったのに下がらないじゃないかという国民の皆さんのこの農政に対する不信感というのがやはりあると思います。それを結果を出すことによって、やはり政治行政一体となって結果を出したな、そういう政治行政の信頼に繋げていきたいと思います。

 記者 先ほど備蓄米の入札を中止するというお話でしたけども、これ備蓄米の流通が中止によって遅れてしまうんじゃないかという懸念があると思うんですけども。その場合ですね、この随意契約で流した米というのがですね、小売店スーパーに、いつまでに届くのか、そのあたりお考えをお聞かせください。

 大臣 私はこれを一旦中止にしないで、今までのやり方のまま5月28日から30日までの入札をやることの方が、今の国民の皆さんの求めているより安く米を届けて欲しいということに、応えることに繋がらないと思いました。であるならば、この入札の時期は今回一回止めますけども、結果、新たな随意契約という形で、やった方が私は国民の皆さんにより安く届けられると判断しました。こういった政治判断の結果責任は大臣が負うのは当然のことでありますので、その判断に至った思いも、そしてまた、今詰めてもらっている詳細な制度設計についても、正式に協議が整った暁には丁寧に、その意図、そして思い、お伝えをさせていただければと思います。

 記者 現時点で具体的な期限を示していただくことは可能ですか。

 大臣 期限というのは何の期限ですか。

 記者 店頭にいつ並ぶのか、いつまでに並べたいのかという期限を示していただくことは可能ですか。

 大臣 これは地域やお店、また業態によっても違うと思います。ただ、やはり最近様々なスーパーの方や関係者の方ともお話をしてますが、やはり不足感、そして足りない、そういった方が大勢いらっしゃる。そういった方々が、随分変わってきたねと。そういったところまで行けるようなところに1日も早く持っていきたい。そういった判断が結果として、もう目の前に迫っている5月28日の入札でしたけども、ここは惰性で進んではいけない、そういったふうに判断をさせていただきました。

 記者 随意契約ですけども、その契約する相手ですけどもどういう業態の業者を想定しているんでしょうか。集荷業者とか卸売業者でいろいろ小売業者直接とかいろいろあると思うんですけども。どういった業態を想定してどういう基準で選ぶのでしょうか。

 大臣 これは幅広く募りたいと思います。やはり今、全農を含めて、かなり集中している中ですが、現場になかなか届いていないと。そしてまた、様々なプレーヤーがいますから、私は川下の皆さん、このスーパー、そして外食、そういった方々も含めて、幅広くですね、この随意契約によって現場に届けていければというふうに考えています。そういったことも今調整をさせていただいております。

 記者 最後にですけども、総理の方はですね、5㎏3,000円台という目標を示されましたけども、先ほどの話だと5㎏3,000円でも高い地域があるというような趣旨のお話があったと思うんですけども、これは大臣としては2,000円台も目指していくというようなお考えもあるということなんでしょうか。

 大臣 去年のデータを見ると、2,000円台っていうのが当たり前にありましたよね。私は大事なことだと思っているのは、今の水準からどれぐらい下がったかではなくて、この急激な米の高騰の前は、いくらだったのかを忘れないことだと思っています。そういったことを見なければ、私は地域の価格を見ていても見誤りかねないなと思います。例えば、北海道の地域とか見ていると、確か3,700円ぐらいですよね。それで全国平均は4,200円。だから4,200円よりも安いじゃないかというとらえ方は、私は間違いだと思います。なぜなら、北海道は、去年は3,000円台ではなかったからです。そういったことを忘れないで、やはり消費者の皆さんがこの1年間でこんなに上がってしまったという感覚に寄り添っている、この価格、そういったところにどこまで近づけられるか、これが一つです。それに加えて、複雑で難しい状況なんですが、おそらく総理が構造的要因というふうな言葉を使っている一つ理由は、やはり賃上げや、また様々な資材の高騰や、この社会全体の中で、デフレ型からインフレ型の経済になってきたことによって、去年が2,000円台だからそこまで下がるっていう状況にはないのではないかという、こういったことも含めて、世の中、様々取引の中での価格転嫁も進んでいますから、そこを踏まえた上で適正価格というのがどれぐらいか、こういったことが社会の皆さんの一人一人の皆さんとの納得感と理解を形成できるかは、まさにこれから、随意契約の詳細設計を決まった暁にご説明をさせていただいて、また、今みたいな様々な要因の中の説明を、どこまできめ細かく丁寧に説明できるかなと思います。

(略)

 記者 これまで流通の目詰まりなどからくる不足感による集荷競争などが、主に価格高騰に影響していると説明を農水省はされていたかと思います。様々思い切った政策転換を示しになられましたが、大臣は価格高騰の要因が改めてどこにあると考えているのか、ご認識をお聞かせください。2つ目は、備蓄米無制限放出の考えということで、こちらもマーケットへのインパクトが非常にあると思います。とはいえ備蓄米は、もう今、現物保管で限りがあるのは事実です。マーケットはこの辺りももちろん理解していると思いますが、この点についてどのようにお考えか、また備蓄米の本来の目的である不作や災害の場合の対応はどのようにお考えでしょうか。

 大臣 1点目、2点目、共通する方向性だと思いますが、この両方にお答えする上で必要なのは随意契約の詳細な制度設計をしっかりと明らかにするということだと思います。今の1点目の流通の目詰まりでこういったことも含めて対応しなければいけないというふうに考えているので、今回の随意契約の中には、幅広い川下の皆さんも含めて入っていただきたいという思いを持っています。そして、2つ目に挙げられた、需要があれば無制限に出すと、こういった思いを持っているのは、やはり、今のこの局面を見ていると、マーケットとのコミュニケーション、そして、いかにマインドを変えていけるか、そういったところを考えると、一歩一歩、階段上がるようなステップでは、私はなかなか変わらないのではないかなと、そういった思いがあります。就任直後に5月28日に入札が迫っていますっていう中で、今日、この初日の大臣会見において、その入札は止めますという発表させていただいたのは、今28日に向けて、入札を前提で動いている方々がいらっしゃるので、これは早くその方針転換を示さなければ、ご迷惑がかかってしまうと、そういった判断ですし、先ほども申し上げましたが、これをもう決まっているからという惰性でそのままやっても、私は、効果は出ないと思っています。明確に方針を変えて、新たな方式の中で詳細な制度設計をした上で、マーケットに対しても、今までとは違うという明確なメッセージを届けたいと、そういった思いです。

 記者 ただ、一方で不作や災害の場合に、どういった対応をされていくのかということについてはいかがか。

 大臣 そういったことも詳細な制度設計の中で、役所の中で詰めていきたいと思います。不安なく対応していただけるように、制度設計をやっていきます。

 記者 1点目は、中長期的な米政策について、現在の需給の混乱が仮に収まったとしても、構造的な問題が残っていればまた同じことが繰り返されると思いますが、例えば、水田活用の直接支払交付金のような補助金などを通じて、米価を一定程度下支えする価格支持政策から、価格を市場に委ねつつ、直接支払で生産者の所得を維持する所得支持政策への転換を求める声が、一部から上がっています。これについて大臣のご所見をお聞かせください。

 大臣 ありがとうございます。米の政策、価格支持から所得支持、こういった声があるってことをどう思うかということでありますが、コメ政策は平成30年産より国から個々の農業者に対する、生産数量目標の配分は行わない政策へと移行しています。各産地の再生協議会や生産者みずからの経営判断で作付を行っていただいていますが、その上で直接支払いを含む米の生産者への支援のあり方については、新たな食料・農業・農村基本計画に即して、令和9年度に向けた水田政策のあり方を検討していく中で、現場の実態を調査検証して議論を深めていきたいと思います。政府として生産性向上の取り組みを後押しして、加えて、付加価値の向上、輸出の拡大を促進して、米の生産を儲かる産業とできるように政策の構造を転換していきたいと考えています。

 記者 もう1点、農業競争力強化プログラムを取りまとめた党の農林部会長時代の振り返りと、当時の経験を、今回の職務にどう生かしていくのかお聞かせください。

 大臣 私が農林部会長を務めたときの当時のプログラムは、背景としてはTPPの直後ということで、国内のTPPに対して不安を感じておられる方々に対する具体的な支援策を決めるということ。そしてもう一つが、今まではややもすると、国内を中心として見ていた農政を、これからは世界のマーケットを取りに行くんだと、この海外に目を向ける、そういったことの二つが基本的な大きな方向性として位置付けさせていただいたと、私は今でも記憶をしています。そのときの経験を踏まえたときに、やはりあの当時、農水族と言われる多くの先輩方とともにこの農政を進めさせていただいて、当時の農林水産省の職員の皆さんとも改革議論を相当やりました。2050年を見据えた議論も当時からやっていました。今回私が農林水産大臣として、着任をしたタイミングはTPPとは全く逆の、世界の自由化の方向ではなく、むしろブロック化という、こういった世界の枠組みや秩序が大きく変わっているような局面ではありますが、私は一定の一致を見る環境でもあるのではないかと思うのは間違いなく、今までの延長線上では、農政の未来は描けないというタイミングでの就任であるということだと思います。奇しくも、今日大臣就任初日に目の前の最大の課題である米について、今までの入札ではなく随意契約という形で、政策の方針を転換したっていう判断も含めて、今までの政策の延長線上でやるべきことと非連続でやらなければいけないことと、両面があると思いますが、必要な政治判断をした上で、これから政策を農水省の職員と一緒になって、未来志向で、そしてまた、過度に弱かった、消費者の皆さんを向いた、農政ということがもっとちゃんと政策に位置付けられるように、取り組んでいければというふうに思います。

 記者 大臣ご就任おめでとうございます。先ほどから何回かJAグループのお話が出ておりますけれども、党の農林部会長時代に農協改革に取り組んでいらっしゃいました。当時からJAグループと、いろんなお話をされているかと思いますが、現在の全農、全中含め、JAグループに対する思いとJAグループへの期待をお聞かせください。

 大臣 JAグループは日本最大の農業グループですから、こういった皆さんのおかげで、今、農業の様々な政策や、基盤や地域社会ができている側面が大きいことも事実です。そして今回、米を何とか流通させたいというときに、全農含めて、ご協力をしていただいていること、こういったことも事実です。一方で、こういった農業の中心プレーヤーであるJAグループの皆さんの中で、改革を不可欠ではないかという思いで向き合ってきたことも、当時、部会長としても、そういった時期があって、あのときから自己改革ということでJAグループの皆さんは改革を進めてこられたと承知をしています。特にあのときの問題意識は、JAグループ、特に全農の仕事として海外から資材を仕入れて、それを高く農家の皆さんに売るんじゃなくて、農家の皆さんが作ったものをいかに高く売れるマーケットを開拓していけるか、そういったビジネスモデルに転換していただきたいと、そういった思いは今でも変わりません。むしろ、今ではその役割と意義はより重要になっていると思います。そういった思いを持ちながらも、やはり一緒になって取り組まなければ進まないこともありますので、よくコミュニケーションをとらせていただきたいと。なので、この米の流通をどうやって目詰まりなくやっていくかっていうことについては、私は可能な限り早い段階で全農の皆さんとお会いをしたいと思います。そして、どのようにしたらもっと流れていくのか、そういったことも含めて、率直な意見交換をさせていただきたい、そういうふうに思っています。

 記者 27年産米(令和9年産米)からの米政策改革は、その方向性でぜひ進めていただきたいと、応援したい気持ちがあるんですけれども、それ前提で、気が早いかもしれないんですが、一つ伺いたいのが、米価が想定以上に大きく下がってしまうリスクについてどう考えるかということでして、これまでですね、そのリスクをあまり取りたくないっていうことで、対応してきたがために、なかなか米価が下がってない現状っていうのがあると思うんですけれども、今までのお話を聞いていると、政治決断、政治の責任で、そこの今までとってなかったリスクも含めて取りに行くんだという理解でいいのかというのが一つと、そのソフトランディングの必要性についてどう考えるのか。やっぱり米政策改革でも備蓄米の放出でも、しっかり落ち着いた価格にしようとすればするほどリスクが高くなっていくと思うんですけれども、ソフトランディングの、必要性をどう考えておられて、もしそういう秘策というんですか、うまく落ち着くべきところに落ち着かせるためにどんなことを考えているのか、伺えればと思います。

 大臣 ありがとうございます。多分千本木さんが言っている、その落ち着かせるっていう、そのソフトランディングという意味が何を意味しているんだろうかっていうことを、私なりに理解をすると、さっき申し上げた中であったと思うんですけど、まず下げなきゃいけないっていう一方で、例えば去年の2,000円台、こういったものに戻るかといったときに、世の中の価格転嫁の傾向と様々な物価の高騰とかを考えたり、また人件費の高騰、こういったことを踏まえると、この構造的な変化があるから、幾ら下げたいといったって、そこまでは戻らず、一定の幅のところに落ち着くのではないか、というのがソフトランディングという理解でいいですか。だとすると、ソフトランディングという言葉が適切かはわかりませんけど、そういったことも考えて政策を打たなきゃいけないと思います。ただ、ここも難しいのは、そのソフトランディングを考えすぎるあまり政策の強度が弱くなって、結果、今のスピードのような、国民の皆さんが求めているようなスピード感では下がらない。こういったことを招いてはならないと思っているので、やはり一定の政治判断が必要だっていうふうに思っていることは、下がるリスク、そういったものも含めて一定の政治決断をしないと、国民の皆さんが求めている値下げ幅は生まれない。私の中ではそういった理解をしています。なので、今回この随意契約という形に政策を転換し、その中でも、10万、10万、10万という出し方も、まずゼロベースで考えていくっていうことも含めて今調整をしてもらっているのは、やはりその一定のリスクは取った上で、安心して買っていただける環境をつくる、そういったことが今この局面では必要だろうという判断です。

(略)

 記者 ありがとうございます。もし今の時点でお考えとかあればで構わないんですけど、今の米をめぐる問題で、もし大臣が、そのお考えになる米に対して、スマート農業をどういうふうに解決策として示せるか、もしお考えなどがあればお願いします。

 大臣 私、農林部会長のときも現場視察をかなりさせていただきました。そしてその時に、茨城県で本当に少人数でかなり大規模な日本有数の大規模な米農家さんがいらっしゃったんですよね。やはりそういった方々が少人数で大規模で集約化された農地を回すために、上手く活用されているのは、やはりデジタル化なんですよね。このシステムも含めて、こういったところがより多く普及をしていくことが、20%から50%の面積へという目標も含めて、達成には不可欠なことだと思いますので、自民党でも私が海業の勉強会をやる前は、当時の石破水産総合調査会長のもとで、スマート農業やスマート漁業、こういったことの勉強会もやられていましたので、こういったことも政府与党一体となって後押しができればと思っています。

(略)

 記者 備蓄米入札の見直しについてお伺いします。これまで実施された3回、先日発表されたばかりの4回目について、そこを、抜本的に見直すというところで、これまで実施された形式のどこが問題だったのか、実際の入札の形式であったり、そのあとの流通の実態、どこが問題だったかという課題意識をお聞きしたい。その上で、今回随意契約を導入することによって、どう見直されていくのか、どのようなお考えかお聞かせください。

 大臣 やはり思ったほど安くならなかった。そして思ったほど出回らない。スピードが遅い。こういったところは、やはり今の世の中の状況を見ていると。否めない側面はあるんだと思います。ただ、農水省としても、今までやったことないことをやらなきゃいけない中で、手探りの中で進めてきたというその中で、その努力を否定するものでは全くありません。一方で、今求められていることは、やはり時間をかけてでも、じわじわと安全にやってもらいたいと思われているかというと、やはりできる限り早く、世の中に手が届く値段で米を届けて流通させてもらいたい。そこに応えることが今の政治の使命だと私は思っています。今回随意契約という形で、そして詳細な制度設計をした暁に、より具体的なお話ができると思いますが、いずれにしても、今マーケットに届けたい思いっていうのは、明確に政治の意思を持って(価格を)下げていく。そういった中で、あらゆる選択肢を排除しないで制度設計をしていく。そういったことを受け止めてもらいたいというふうに思います。

 記者 目指すべきもの、プライオリティなのですが備蓄米の値段が、店頭価格として下がることなのか、それとも流通の速さどっちを求めるのか、いかがでしょうか。

 大臣 私は1日も早く、多くの皆さんが下がったと実感をしていただくっていうことが大事なことだと思いますが、それを全国的に、同時にそれが達成できるかというと、それができれば一番いいんですが、例えば今の精米をするために必要な施設が全国の分布を見ると、地域に偏りがあること。そういったことなども考えたときに、やはり集中して下げられるところは下げていくという結果を早く見せるっていうことも大事なことだと思います。なので、そんなことも今、農水省の職員と議論しながら制度設計をやっていますので、正式に決まり次第、そういった政策、制度設計がどうしてそうなったのかっていうことも含めて、丁寧にお話をさせていただければと思います。

 記者 農政改革についてお話を伺います。本日の官邸でのぶら下がりで、消費者、生活者の目線でやってこなければいけなかった改革が遅れているんじゃないかと、そういうようなご発言がありました。具体的には、大臣のご懸念の改革が遅れていると考えた部分、これは先ほどおっしゃっていた資材の話なのかもう少しちょっと詳しく伺えますでしょうか。

 大臣 よく私はBtoBからBtoCへ、自民党は政策をモデルチェンジさせなければいけないって思いを、よく最近お話をするんですが、まさに農政というのは、BtoBがあまり強くBtoCをあまり見てこなかったっていうのが、わかりやすく出ている側面があるなというふうに思います。やはり今、米政策についても、一人一人の農家の皆さんの思いと、そして一人一人の消費者生活者の皆さんの思いを、踏まえた上での政策の方向性を出していく、こういった今局面なんだろうと思うので、先ほど、全農の皆さんには資材を売って農家の皆さんから稼ぐというモデルではなく、農家の皆さんが作ったものを、より価値高く付加価値をつけて売れるマーケットを開拓していただきたい。JAグループ全体に対しても、金融で稼ぐんじゃなくて経済事業で稼いでもらいたい。そういったことも含めて、やはり思っているのは、農業のために、まだまだ、JAグループの皆さんができることはあるし、そしてもっともっとそのJAグループの枠ではないところで、農業をやっている全国の皆さんに対して、もっと政治は目を向けていかなければいけない。そういったことも必要な時代になってきたと思います。それを政策として実現できるように全力を尽くしていきたいと思います。

(以下略)

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