政府備蓄米の量販店頭価格をめぐって、石破茂首相は国会で5㎏3,000円台と発言し、小泉進次郎農相はTV番組で5㎏2,000円台と発言した。随意契約であれ入札であれ、これから放出される政府備蓄米は令和4年産以前の米が主体にならざるを得ないから、現在流通している令和6年産米の量販店頭価格5㎏4,770円(総務省小売物価統計、東京都区部4月のコシヒカリ)からは、確かに大きく値下がりすることになる。しかし、今年の9月頃から本格的に出回り始める令和7年産米はどうか。本紙の試算によると、再び高騰する可能性が高いのである。
全農新潟県本部は5月22日までに、一次集荷価格にあたる令和7年産新潟一般コシヒカリの仮渡金を60㎏26,000円で県下農協に通知した。前年の当初仮渡金に対し、+9,000円(+52.9%)にあたる。今年2月28日に示した「最低保証価格」に3,000円上乗せした恰好だ。
かなり乱暴な計算ではあるのだが、総務省小売物価統計による昨年9月の東京都区部コシヒカリ価格「5㎏3,285円」に、そのままこの仮渡金の上げ幅をあてはめると、5,022円となってしまう。
小泉農相は「まず目の前の米の値段を引き下げるのが重要」と強調しているものの、かつて頓挫した経験のある農協改革に再びメスを入れる姿勢も示している。生産コストが上がっているのは事実だが、農協が一次集荷価格を引き上げる理由は「集荷競争に負けないため」だ。この態勢を崩せない限り、店頭価格の再高騰は避けられない。