農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)は7月9日、播種前にイネの種籾を浸種する際、浸種液に混ぜると、発芽促進など複数の効果を発揮する特定の肥料を発見したと発表した。播種前に行う種子作業の短縮化・軽労化に繋がることが期待される。
特定の肥料とは、「転炉スラグ」肥料のこと。転炉スラグは、製鉄所で鋼を製造する転炉で、副産物として生成される資材。営農現場では、肥料として珪酸や鉄分、微量要素の供給のため用いられるほか、土壌酸性改良資材としてアルカリ効果による酸性土壌の中和や、植物病原菌の被害を軽減するため土壌pHを高める用途も。今回、産業振興㈱(東京都千代田区)との共同研究により、播種前にイネの種籾を水に浸して水分を吸収させる「浸種」作業の際、この転炉スラグを原料とした肥料を浸種液に混ぜたところ、発芽時間の短縮、発根の促進、出芽率の向上といった効果を確認。また浸種中の水の交換作業や発芽を促す催芽作業を省略しても、種子の酸欠や出芽不良を起こさずに生育することも明らかになっている。
イネ種籾の浸種液に特定肥料まぜると発芽促進など複数効果
