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試験研究

ライスレジンに新たな用途、農業用マルチに応用の可能性

 非食用の国産米を配合した樹脂材料(バイオマスプラスチック)「ライスレジン」の新たな用途、農業用マルチ(被覆資材)への応用の可能性が広がった。新潟県の新潟市農業活性化研究センターが、試作段階にある米由来の生分解性マルチを用いた栽培試験の結果を公表したもの。それによると、「生育や収量は従来品(市販品)と変わらない」ことが判明している。市販品の主原料が輸入トウモロコシであることから、「米マルチ」が実用化できれば、環境負荷低減や米の利用価値向上に繋がる。
 農業用マルチとは、主に野菜の露地栽培の際に畝を覆う資材で、雑草の抑制、土壌水分の保持、地温の調節、病害虫の抑制などの効果がある。素材は当初ポリエチレンフィルムが主流だったが、環境負荷の観点から、すき込めば自然分解する生分解性マルチが現在の主流になっている。新潟市農業活性化研究センターの試験では、エダマメ栽培で市販品と米マルチで生育や収量の違いを比較した。米マルチは、米の含有率10%と25%、厚さ0.03㎜と0.07㎜の4パターンを用意。栽培試験の結果、「米マルチの使用において、エダマメの生育や収量への影響はないことが確認された」が同センターの結論だ。米の含有率に違いはみられなかったものの、厚さには以下の差異が生じた。
・厚さ0.03㎜……実際の生産現場での使用を想定すると、栽培期間中に強風による破れが生じたことから、耐久性の改良が求められるものの、収穫後のすき込み作業や埋設分解性に問題がないことから、後作への影響は小さく、市販品と同様の使用が可能。
・厚さ0.07㎜……すき込み作業時の粉砕がうまくいかないことから、切断片の引きずりの懸念や複数回のすき込み作業が必要となる場合がある。また、展張作業時のロールの重量や厚みを考慮すると、一般的な使用には適さないと考えられる。
 「ライスレジン」は、㈱バイオマスレジンホールディングス(東京都千代田区)の主力商品。新潟市との間で「バイオマスプラスチックを活用したゼロカーボンシティの実現に向けた連携協定」を締結しており、今回の栽培試験はその一環。

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