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施策・政策需給

令和7年産主食用米生産量、平年作なら+56万tの735万t

 小泉進次郎農相は7月15日の閣議後定例会見で、令和7年産主食用米の生産量を速報値で「735万t」と公表した。6月末現在の作付意向調査結果に基づくもので、平年作だった場合の概数にあたる。作付意向は前年比+10万4千haの136万3千haで、平年単収を当てはめると前年比+56万tの735万tとなる勘定。前日のX(旧ツイッター)で小泉農相は「農家の皆様のご努力に感謝。マーケットにとっても不足感の解消に繋がる結果」と評価したものの、今度は再び過剰に悩まされることになるのは明らか。ただ小泉農相は会見のなかで、わざわざ「以前から申し上げている通り、マーケットが落ち着けば備蓄水準を戻していく。加えて令和9年度(2027)からの米政策改革に向けてセーフティネットの議論も深めていく。決して値段を下げる一辺倒ではない」とも発言しており、今後に含みを持たせている。作付意向調査結果は、7月18日に正式発表する運び。
 また会見で小泉農相は、随意契約による政府備蓄米の出庫ペース加速化にも言及。「取引期限である8月20日までに届けるには、現行の出庫ペースを2倍以上に加速する必要がある。そこで7月11日~8月10日を集中実施期間として、この期間内に出庫とメッシュチェックの数量を従来以上に増やした場合、それぞれの作業料金を引き上げることにした」。逆に買受業者側からは販売期限の延長を求める声があがっているものの、「そうした声が一部から寄せられているのは事実だが、まずはしっかり8月末までに売り切るよう、全力で取り組んでいただきたい」として、期限延長の考え方をキッパリ否定した。
 加えて、酒造業界の団体から原料である酒米(酒造好適米)不足を指摘する声があがっていることを踏まえ、「来年度予算の概算要求に酒造好適米への支援策を新たに盛り込むよう事務方に指示したところ」とも。

一問一答(7月15日、閣議後定例会見から抜粋)

 大臣 本日、私からは3点ご報告があります。1点目は、随意契約による備蓄米への出庫の加速化についてであります。随意契約による備蓄米の出庫につきましては、倉庫業者の方々に連日の酷暑の中で作業に従事していただいておりまして、厚く御礼申し上げます。取引期限である8月20日までにお届けするには、現行の出庫ペースを2倍以上に加速する必要がありますが、先週、倉庫業者の皆様と農水省職員で意見交換をしまして、現場のご苦労や支援の要請を受けたと報告を受けました。これらも踏まえまして、7月11日から8月10日までを「集中実施期間」として、期間内に出庫数量及びメッシュチェックの数量を従来以上に増やしていただいた場合、それぞれの作業料金を引き上げるなどの取組を行うことで、出庫加速化を支援をしてまいります。
 そして2つ目が、昨日私のXでも発表させていただきましたが、水田における作付意向についてであります。本年6月末時点の水田における作付意向の速報値が集計できました。数字は精査中でありますが、(令和)7年産の主食用米は前年の作付実績と比較して、10.4万ha増の136.3万haとなりました。これは昨年から56万t増の735万tに相当いたします。4月末時点の調査結果と比べても、さらに増産という結果になったことについて、お米を生産している農家の皆様のご努力に感謝申し上げたいと思います。食用米以外の米の作付動向など、作付意向の詳細につきましては、現在事務方がデータの精査を行っているところであります。今週金曜の(7月)18日にプレスリリースをさせていただく予定です。
 最後3点目であります。3点目は酒造好適米にかかる支援の検討についてです。酒蔵など日本酒に関わる業者の皆様から主食用米の高騰などを受けた原料不足に係る不安の声が届いており、私自身もこれまで各関係団体の皆様と面会を行ってきたところです。こうした状況を踏まえまして、本年8月の令和8年度(2026)予算概算要求において、酒造好適米、いわゆる酒米にかかる支援を新たに盛り込むことを検討するよう、私から事務方に指示をいたしました。農林水産省として、8月の概算要求に向け、具体化を進めてまいります。本日、冒頭私からは以上です。

 記者 昨日公表されたスーパーなどの米の販売価格についてお伺いします。5㎏3,602円と、7週連続の値下がりになりましたが、まずこの受けとめをお聞きしたいのと、今後の米の価格の安定に関して、今後どのような政策で対応していきたいか、お考えをお聞かせください。

 大臣 昨日発表させていただいたとおり、前週の3,672円(5㎏当たり)から70円低い3,602円ということで、7週連続の下落になりました。また、(7月)11日に公表した日経POSデータ及び小売店パネル調査データは、6月30日から7月6日までの週では、日経POSデータで前週に比べ6円低い3,996円、そして小売店パネル調査では、前週に比べ157円低い3,534円と、これもそれぞれ7週連続の下落となっております。引き続き随意契約による備蓄米の販売が進捗しているほか、ブレンド米の比率が増加傾向で推移していることから、価格は下落傾向にあります。KSP-POSデータでは3週間前に初めて3,000円台となり、今週も7週連続で低下が続いていますが、昨年の価格、これは2,300円前後でありました。ここと比較をしても、依然高い水準に変わりはないため、引き続き随意契約によって売り渡した備蓄米を着実に出庫していくとともに、価格動向、需給動向を注視して丁寧に情報発信してまいりたいと思います。なおこれは、私が大臣就任直後から言っておりますが、マーケットが落ち着いた環境の中で放出した備蓄米の同量を、マーケットの方から備蓄水準を戻していくと、こういったことを伝えておりますし、今、農家の皆さんと直接お会いをしたときも、その話をさせていただいております。だいぶそういったところまでお話をさせていただくことと、加えてセーフティーネット、これを令和9年度の水田政策の転換に向けて議論を進めていって、安心して増産に取り組んでいただける、こういった対応をしっかりと進めていくというお話をさせていただくと、だいぶこの下げていくという取組だけではないんだなと。しっかり全体考えているんだなと。こういったご理解をしていただける機会が増えていますので、丁寧に説明を続けたいと思います。

(略)

 記者 随意契約の備蓄米について伺います。先ほど精米(出庫)を早めていくというようなお話があったかと思うんですけれど、現状小売店などでは8月末までに販売することを前提に購入してくださいというようなことになっていると思うのですけども、そこの期限については、現状見直しなど、どういったお考えなのかお聞かせください。

 大臣 現状は8月の末までに売り切っていただくということは、変更の考えはありません。一部の方からは随意契約による備蓄米の販売期限を延長して欲しいという話が寄せられることは事実ではありますが、まずはしっかりと随意契約の条件でもある8月末での売り切り、こういったことに全力で取り組んでいきたいと思います。そういったことも含めて、集中実施期間として出庫を速めていきたいと、そういった取組を加速させたいと思います。

 記者 大臣は参院選の真っ最中に、Xとか応援演説で、野田政権下で最も農水省の予算が少なかったというふうに指摘されていますが、そのあと自公政権になって農水省の予算は若干増加していますが、それなのに米不足、価格高騰を招いたと。野田政権よりさらに予算が増えたのに、野田政権よりもさらに事態が悪化した理由は何だとお考えでしょうか。

 大臣 全く関係ないと思います。

 記者 関係ないというのはどういうことですか。

 大臣 野田政権で2兆1,727億円、これが本予算で、その翌年から安倍政権になって、2兆1,000億(円)台を回復をさせて、2兆2,000億(円)台になったんですね。それ以降の本予算で見ると、いまだに野田政権のときの本予算は最低額であります。そして今、横田さんのご質問は、予算が増えればこの米問題が起きなかったのではないか、こういったご趣旨だと思いますけど、そこの予算の問題ではないというのは、私は今多くの方が、米の問題がなぜ起きたのかというところには、予算の問題だというふうに指摘をされていることは、まだどなたもいらっしゃらないですし、我々今検証を進めている最中でありますが、予算が増えていたらこの米問題が起きなかったという見解は、私が今接している限りは、今日の横田さんが初めてであります。

 記者 予算が過去最低だったのが、自公政権になって予算が増えたと。それなのになぜ今の事態を招いたのかと。より予算があっていろいろ政策を打てる余裕があったにもかかわらず、今の時点を招いたのはなぜかというふうに聞いているんです。

 大臣 横田さんが言いたいことは、予算がどこまで増えれば、米問題は起きなかったのですか。

 記者 増えたのに何で防げなかったのかというのを聞いているのですが。

 大臣 予算と関係ないと思います。

 記者 予算と関係ないのですか。

 大臣 予算とこの米問題は直接関係ないです。

 記者 野田政権で予算が少なくても、米政策はもっとうまくいっていたということなんですか。

 大臣 野田(元)総理が言っていることは、農水省の予算が自民党政権で少ないと。皆さんも少なすぎると思いませんかと言っているんですよ。その本人は一番本予算を少なくした方なんですよ。

 記者 その反省を踏まえてもっと増やすべきだと。

 大臣 だから安倍政権は増やしまして、未だに野田政権のときが、近年で本予算最低額です。なので、ぜひ横田さんには今までの取材経験も豊富ですから、ぜひそこの見解を立憲民主党の記者会見に行って聞いていただきたい。

 記者 結果責任をどう説明するかというのを聞いているのですが。今の事態を招いたですね。

 大臣 そこは最初の質問とずれていますよね。

 記者 参院選の真っ最中に野田政権時代が最低額だと。自民党政権になってからもっとまともになったという趣旨に聞こえるじゃないですか。

 大臣 私が言っているのは事実で、野田総理(政権)のときが、予算が最低額なんです。その方が、今の自民党政権、その時よりも増えているのに予算が少なくありませんかと言うのは、全く無責任な発言じゃないですか。

 記者 それを受けて今の米不足、米価格高騰とどう関係性があるのかを説明する必要があるんじゃないですか。

 大臣 だから今検証をやっています。検証をやっている中で、流通の課題、そして今、7万の届け出の事業者の皆さんにこれから調査をして、今7月の末までには取りまとめをしますということをやっています。ただこの検証の中で、我々自身が反省しなければいけないところというのは、今までの統計のあり方とか、こういったことについては今真摯に向き合っているところです。一方で、今おっしゃっているような、野田政権の中で最低額だった本予算のあり方と米問題を結びつけているということは、これは野田(元)総理も私もありません。ですので、横田さんが今この予算の問題とこのお米の問題っていうのを結びつけてご質問されているというのは、私からすると新たな見解だなと。これは横田さんがその見解を深めるのは横田さんのご自由なので、私としてはそこではないだろうというふうには思っています。

 記者 参院選中にそういうことをおっしゃっているので、米不足、米価格高騰と関連づけて、検証中だということなんですけれども、その中間報告的なことも述べてもいいんじゃないかなという気がして質問しました。

 大臣 これは、ぜひ横田さんにもご理解いただきたいのは、今、立憲民主党は農水省の予算少なすぎるって言っていますけれども、これから「食農支払」(食料確保・農地維持支払制度)で1.2兆円を使うって言っているんですよ。農水省の予算は今2.2兆円台ですよ。半分以上の予算を、土地を持っていたら、農地を持っていたら配るっていうことにつぎ込むっていうのは、一体どういう農林水産省にしたいんですかね。そして、1.2兆円は財源を言ってないんですよ。そして、新規就農の予算も10倍にしますと言っていますけど、10倍をどこから持ってくるんですか。何も言ってないんですよ。もしも自民党が同じことを言っていたらなんて責めます(か)。財源どこから持ってくるんですかって言いません(か)。全然言わないんですよ。

 記者 財源を持ってきてでも、食料安保の上で重要だから農水省予算を増やすんだと。過去最低だったこともあるかもしれないけれど、今はそういう事態じゃないと、考えが変わったというのが野田政権、野党の考えではないですか。

 大臣 相当、横田さんは野田さんに優しいですね。その反省の弁を述べてないですよ、野田さんは。横田さんだったら、反省の弁を述べた上ですから、誠実だなと思いますが。

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