農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)は7月15日、水稲の病害に対する新たな防除技術の開発に道が開けたことを明らかにした。
籾枯細菌病と苗立枯細菌病。ともにイネの種子伝染性・難防除細菌病で、これら病害に対する抵抗性を備えたイネ品種は、国内に存在しない。したがって、これら病害に対する防除は、殺菌剤などを施用するしかないのだが、最近は耐性菌の登場が問題視されるようになってきた。
農研機構は今回、これら病害の発症を抑える内生細菌NB6(バークホルデリア・グラディオリ)を、インディカ型イネ品種「ノナボクラ」から発見。このNB6が、病原菌を殺菌する物質テイロシンを生産することも見いだしている。テイロシンは既存の殺菌剤とは異なる殺菌メカニズムを備えているため、殺菌剤の耐性菌に対しても有効だと考えられる。
農研機構では、「NB6を他のイネ品種に定着させる方法を確立できれば、自然界のメカニズムを活用した新たな防除技術の開発に繋がる」と期待している。


