いわゆる「令和の米騒動」の要因は、〝天災〟的な要素と〝人災〟的な要素で、説明できる――日本国際学園大学の荒幡克己教授(岐阜大学名誉教授)が7月17日、jaja(農政ジャーナリストの会)で行った「令和米騒動の要因分析-天災的要素と人災的要素の数値解析-」と題する講演のなかで明らかにしたもの。それによると、不足量を「大きく見積もっても50~60万t程度」とした上で、「〝天災〟による不足は結構あった。令和5~6年産あわせて32万t程度。〝人災〟による不足は残り部分。総体でも、大正7年や平成5年など、かつての米騒動に比べれば大した不足量ではなかったが、市場が敏感に反応した」と括っている。

いわゆる「令和の米騒動」の要因【〝天災〟的な要素】
これまでの「米騒動」は、冷害による不足が原因だった。だが今回は高温障害が原因。対応の仕方として馴れていなかった。冷害、特に遅延型冷害であれば、粒の肥大が進まないため、篩下米が増えることで、主食用米が不足した。高温障害の場合は粒の肥大が進み、篩下米が減るものの、夜温の上昇が澱粉の蓄積を阻害することから白未熟粒を増やし、結果的に精米歩留まりを下げた。
いわゆる「令和の米騒動」の要因【〝人災〟的な要素】
《政府の読み違い》 「180万t」が価格均衡点と考えられていたため、これに向かって需給を引き締めようと生産調整を強化したタイミングで、高温障害がやってきた。これが第1の読み違い。第2に、令和5年産の精米歩留まり低下による必要玄米量の増加を「需要量の増加」としてカウントしてしまった。人災的な印象だ。
《需要の敏感な反応》 「価格弾力性」は、例えばかつての「-0.2」の場合、「10%不足すると価格が50%上がる」という意味。この価格弾力性は、家庭用消費の場合、「-0.4」程度まで大きくなっているのだが、そこの経済予測に不備があった。一方、業務用の場合は価格弾力性が小さいのだが、近年は業務用需要の比率が増大したことで、「不足」に対して敏感に反応せざるを得なくなった。
《流通の目詰まり》 各段階での在庫増は事実。だが、まず「投機目的の抱え込み」は、「米価高騰による結果なのであって、原因ではない」。次に既存の流通業者による在庫の増加は、あくまで正常な商行為。また外食や中食による前倒しの手当も同様。