6月の「カレーライス物価」が1年3か月ぶりに値下がりした。
帝国データバンクが8月8日に公表した今年6月の「カレーライス物価」は1食440円(前月比▲1円)となった。わずか1円だが値下がりしたのは事実で、最高値更新記録は14か月で途切れた。「引き続き、銘柄米を中心に米価格が高値で推移したものの、急激な値上がりペースは一服したほか、ニンジンなど野菜類の価格が前月から一転して大きく下落したことが要因」としている。ただし前年同月比プラス記録は25か月連続に延ばし、+111円(+33.7%)。

「カレーライス物価」は、総務省の小売物価統計調査結果から、カレーの調理に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)にまとめた「カレーライス1食あたりのトータルコスト」を示すもの。内訳として「カレー具材(肉・野菜)」214円(前月比▲5円)は、5か月ぶりに前月を下回った。「ジャガイモ・ニンジン・タマネギのいずれも価格が安値に転じたほか、輸入牛肉の価格上昇が落ち着いたことも背景に、価格面で一服感が強まった」としている。「ごはん(ライス)」195円(+3円)は、6か月ぶりに上昇幅が5円以内におさまった。

このカレーライス物価を基に、令和2年(2020)平均を100とした帝国データバンク独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、6月は「160.7」。こちらも前月比▲0.1%、前年同月比+33.9%で、前年同月比プラス記録を25か月連続に伸ばしたものの、伸び率は7か月ぶりに前月から縮小している。
総務省の小売物価統計は、毎月1回、全国都市別の公表が基本だが、その約1週間前に、東京都区部のみ先行して公表される。7月の小売物価統計(東京都区部のみ)はすでに公表されている(既報)ことから、帝国データバンクは7月の「カレーライス物価」を予想している。それによると「1食436円前後に低下する可能性がある」とした。「主な上昇要因となる米価格が、備蓄米の放出を背景に銘柄米で上昇ペースが鈍化したほか、カレーライス物価を構成する野菜類(ニンジン・ジャガイモ・タマネギ)の価格は、猛暑による高値も予想されるものの当面落ち着く見通し」。
さらに先の予測では、「急激な値上がり局面はピークを超えた」とみており、「当面は緩やかな値下げ傾向が続くとみられる」ものの、「令和7年産米の動向、各種野菜類の生育状況などが今後の動向を左右するとみられる」としている。