農林水産省は8月19日、「8月6日からの大雨による災害(仮称)」に対して、「大規模災害時の災害査定の効率化」を適用した。石破茂首相が前日の8月18日、同災害に対して「激甚災害に指定する意向」を表明したことに伴うもの。
激甚災害制度は、災害復旧費用が「一定の基準」を超える場合に発動される。指定には、全国的に大きな被害が発生した「災害」を指定する場合(本激)と、局地的な災害によって復旧費用が必要になった「市町村」を指定する場合とがあって、激甚災害(本激)は前者。指定されると、農地、農業用施設、農業共同利用施設などの災害復旧事業に対する国からの補助率が嵩上げされる。
「災害査定の効率化」は、①机上査定(本来は現地調査が必要な災害査定を、書類のみで査定する)の上限額を引き上げ、②採択保留(事業費の決定見込額が一定以上になった場合に、採択を地方出先機関ではなく本省で行う)の上限額を引き上げるもの。例えば机上査定の上限額が「500万円未満」の場合、査定見込み件数の概ね7割(農地・農業用施設は9割)までの額を適用できる。採択保留の上限額が「2億円以上」の場合、2億円を超え採択保留された件数の概ね6割までの額を適用できる。さらに③査定設計書に添付する図面などを簡素化(設計図書の作成の際、航空写真や代表断面図などを活用する)。
対象地域は、「農林水産省に対する被害報告における被災箇所数が、過去5か年の平均被災箇所数を超えた区域」で、具体的には8月17日時点で以下の通り。
〈農地〉秋田、新潟、富山、石川、愛媛、福岡、長崎、熊本、大分、鹿児島
〈農業用施設〉秋田、新潟、富山、石川、福岡、長崎、熊本、鹿児島
〈林道〉秋田、新潟、富山、山口、福岡、佐賀、熊本、鹿児島