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施策・政策

「概算金高い」で農協と一致、小泉農相が備蓄米追加放出を示唆

 小泉進次郎農相は9月5日の閣議後定例会見で、JA系統の一部との間で「概算金も含めて今の米の価格は高すぎるとの認識で一致した」とした上で、「今後の動向を注視しつつ、農水省として出来ることを最大限やっていく」と述べ、政府備蓄米の追加放出の可能性を示唆した。
 会見の直前、米穀機構(《公社》米穀安定供給確保支援機構、東京都中央区)が公表した今年8月の価格DIの見通しが+23ポイントの「69」に達した(既報)受け止めを訊かれて答えたもの。「令和7年産米の概算金の状況などを踏まえた見方なのではないか」とした上で、話題を変えた。
 「昨日(9月4日)秋田(県農協中央会)の小松(忠彦)会長とお話させていただいたところ、概算金も含めて今の米の価格が高すぎるとの認識で一致した」「このまま高値で推移すると、枠外輸入の外国産米が拡大・定着しかねないこともあるが、消費者の米離れが進みかねない」と懸念を表明。
 農協が「備蓄米の販売期間延長に対して様々な思いがあるのは承知しているが、そうしたなかであっても農協の側から『高い』という声が出てきたということは、同じ景色を見られるようになったということ」と指摘した上で、「来月になれば(令和7年産の)生産量がハッキリする。今後の動向を注視しつつ、農水省として出来ることを最大限やっていく」としている。

一問一答(9月5日、閣議後定例会見から抜粋)

 大臣 私から一点ご報告があります。本日、米加工品の輸出拡大に向けた試食会を開催いたします。今後、我が国の米、そして米加工品の輸出拡大につなげるため、冷凍・解凍しても変わらない日本の米のおいしさや、冷凍・製粉技術などの我が国の強みを生かした多様な高付加価値製品の輸出拡大が重要です。本日の試食会では、冷凍寿司や冷凍弁当、米粉製品等の輸出に有望な米加工品を試食するとともに、これらの製品の輸出に取り組む事業者の皆様から、輸出に向けた現状や課題を伺う予定です。記者の皆さんにも、ご試食いただける状況にありますので、ぜひご自身で食べていただいて、感想などを含めて発信をしていただければなと思います。本日、私からは以上です。

 記者 私から何点かお願いいたします。まず一点、先ほど未明にアメリカでトランプ大統領の大統領令の署名が行われました。これに関して受け止めと、引き続き米含む農産物に関してはどういった理解でいればいいかというのが、大臣の所感も含めてお聞かせください。もう一点が、先程、米穀安定供給確保支援機構が、向こう3か月の米価格見通しを発表しまして、横ばいを示す50から大幅増の69と指数を変えました。値上がするという見方に転じたわけですけれども、これについて受け止めをお願いいたします。最後、もう一点です。(9月)8日は総裁選、自民党総裁選前倒しを求める署名の提出日となっております。大臣総裁選前倒しについて、賛成・反対等のご意思はお決めになったでしょうか。その3点になります。

 大臣 まず1点目のアメリカ、この合意について受け止めをということですから、そこからお答えさせていただきます。現地時間の9月4日に、アメリカ政府が日米間の履行に関する合意についての大統領令を発表したと承知しています。農林水産分野については、日本側はミニマムアクセス米制度の枠内における、アメリカ産米の調達量を迅速に75%増加させること、そして、トウモロコシ、大豆、肥料、バイオエタノール等のアメリカ産農産物及びその他のアメリカ製品の、年間総額80億ドル相当を購入することを実施することが含まれています。アメリカ側は相互関税について15%以下のものは15%に、15%を超えるものは従来どおりの税率となり、8月7日以降超過して課税していたものは、遡及して還付すること、これもしっかりと含まれています。今回の大統領令は現地時間7月22日の日米間の合意内容を踏襲し、今まで、これはMA米の枠内で、米の輸入総量は増えないと私も繰り返し国会等でも申し上げてまいりましたが、その内容を再確認したものだというふうに承知をしています。相互関税が合意どおりの形になったことを踏まえて、輸出に取り組む事業者、生産者の皆様への丁寧な説明や、輸出を維持拡大できるような後押しを継続していきたいと考えています。
 そして2点目が、米のDIについてありました。今ご指摘がありましたとおり、需給の動向について、本日公表された8月分の調査結果では、向こう3か月の需給動向は前月と比べプラス11の指数53ということになっていると承知しています。そして向こう3か月の米価水準、これについては、今ご指摘があったとおり、前月と比べてプラス23の指数69です。これは(令和)7年産米の概算金、この発表などが続いている中で、そういった概算金の状況などを見て、踏まえたものではないかなと、一因はそういうことがあると思います。一方で、昨日、私が秋田のJA(農協中央会)の小松会長とお話をさせていただいたときにも話題になりましたし、その小松会長の発言として今日も報道されていますけども、小松会長のように、JAグループの幹部の方であっても、ちょっとこれは高過ぎるという受けとめを表明されております。ですので、今後この米の価格については、大事なことは、今年だけ高ければいい、来年下がったってということではなくて、やはり求めていることは、安定価格をどのように実現をするか、そして安定供給を我々として実現をできるかということについては、今回、小松会長も含めて、やはりちょっと概算金も含めて、高すぎるのではないかという認識を一致を見ていること、こういったことについては、今後の価格動向などもお互い注視をする、同じ立場に立って、見れる状況になっていると思います。ですので、備蓄米の政策などについては様々な思いがあるのは承知をしていますし、本来であれば今回8月で延長という判断をしたことも、農業関係者の皆さん、そして生産者の皆さんからすれば、様々な思いはお持ちだと思います。それを私も受けとめた上で、それでもなお、やっぱり高すぎるという声が、JAグループの中でも表明をされてきている。こういったことというのは、今後の安定化に向けて、同じ景色を見れている状況になってきていますので、しっかり今後の動向を注視をしつつ、一方でやはり農水省としてできることと、政府全体として物価高対策などで対応していかなければいけないこと、こういったこともあると思いますので、農水省として最大限、注視をしながら対応策は考えていきたいというふうに思います。
 3つ目、総裁選。一番今の局面で大切にしたいと思うことは、とにかく党内一致結束することだと思ってます。今、前倒しの総裁選に向けては、様々な動きが党内で広がっていることも承知をしています。こういった、動きを危機感を持って、進めている議員の中には、とにかく政策が前に進む環境を実現しなければいけないと、こういった思いでやっているメンバーたちがいることも承知をしています。一方で、今日のアメリカとの合意もそうですが、世界の情勢などを見れば、党内で割れている場合ではない。政策を前に進めることが必要だ。こういった中で、ではどうしたらもう外から見てもあらわになっている自民党内の結束の揺らぎが、もう1回一つになるのか。最後そういったことを、苦心をして、いろんな難しい局面で、その時その時で判断をされてきたのは自民党の歴代総裁の行動や判断というのもありました。きっと今、総理総裁を務めの石破総理の中でも、党内このままでいいと思っているわけではないと思いますから、とにかく一致結束できるには、そういった責任あるお考えを持たれながら、今考えておられると思います。私としても、今、県連会長の立場もあります。今日も県連選出の国会議員の意向を取りまとめる締め切りが今日です。そして明日が神奈川県下の支部の約50、そのうちの声を取りまとめるのが明日であります。そういった中で、最終的には県連の総務会は8日の朝ということになっていますので、こういった中で、一番大事な党内の一致結束に繋がる環境を作らなければならない。その思いを大切に判断をしていきたいと思います 。

 記者 冒頭あった関税の話で、何点か、まとめてお伺いします。MA米の枠内だということが大統領令と共同声明で明示された一方で、日本側がこれまで認めてこなかった75%増という数字も明記されたと思います。この点をどう受けとめるか教えてください。2点目として、75%増は何を指すのかというところを細かく疑問があるわけですけれども、まずどこからどこを起点にその75%増とするのか、去年の数字から75%増なのかどうか。それから、迅速な実施というのは、前倒し入札を進めている今年度から実施するのかどうか。それから75%何らかの基準で増やしたところで、それが恒久的な措置なのかどうか。この辺りは現時点でどういうご認識なのか、教えてください。

 大臣 様々ご質問がありましたが、一般論として、まず1問目の、なぜ今まで75%というのを入れていなかったかということについては、これは一般論ですが、他国との合意内容に関する説明資料については、それぞれの国が特に重視する点を中心に作成をされていると。我が国としてはアメリカ側が相互関税や自動車、自動車部品の関税を引き下げる大統領令を、発出することを重視をして、この点を中心に説明を行ってきたところです。いかなる点に力点を置いて合意内容の説明を行ってきたかの判断については、内閣官房にお尋ねいただきたいというふうに思います。そして、これからどうやってということでありますが、今回合意に至った中で、この誠実に履行していくということは、相互にお互いの責任ですから、そういった中で、この大統領令に位置付けられたこと、それを農水省としても、政府内全体と連携をしながら、進めていきたいというふうに思っています。

 記者 現時点でいつと比べて75%増なのかとか、あるいは今年度、今動いている今年度から実施するのか、その辺りは明確な。

 大臣 そういったこともそうですし、例えば今回、関税が例えば牛肉についても、一回上がってしまって、過払いの状況になっているものを還付してもらうという手続きが今後ありますから、こういったことについても、具体的な手続きをどのような形で進めるか、これはまだ事務方同士、しっかりとやらなければいけないことが残っていると思います。こういったことについては今後事務方も含めて、よく確認をした上で対応し、またお話できることは、そういった中で出てくると思います。

 記者 自民党の関係で伺います。昨日のぶら下がりでも解散についての言及がありました。自民党内で石破総理が総裁選の前倒しが決まった場合、解散に打って出るのではないかという見方が複数出ています。昨日のぶら下がりでも大臣言及されていましたけれども、先ほど大臣がおっしゃったその党内の一致団結を目指す上で、この解散についての考え方、大臣現状どう考えてらっしゃるのか伺えますでしょうか。

 大臣 党内の一致結束ということが一番重要だと、そういった判断のもとに私自身も対応を考えたいと言っている観点からすれば、もちろん解散というのは総理の専権事項でありますが、それ以上言わなくても分かっていただけるのではないでしょうか。ただ、いずれにしても解散というのは非常に重い総理の専権事項でありますから、これについて、詳細について述べるのは控えたいと思います。

 記者 お米について2点だけお伺いします。随契米の引き渡しの状況ですけれども、32万tのうち、引き渡し完了したのが18万tで、残りが10万tということで以前アナウンスがあったんですけれども、この数字でもし更新できるものがあればお伺いしたいと思うのですがいかがでしょうか。

 大臣 現時点では、最新の引き渡されてない分があった買受者260社に対する意向確認の結果の最新のもので言いますと、現時点9月4日12時時点で、引き続き全量を配送希望されている者が230社、そして全量キャンセル希望が13社。一部キャンセル・一部配送希望が9社、対応を検討中が8社ということになっているということです。

 記者 わかりました。あと先週も聞いて恐縮なんですけれども、日々、足元で動いてるので、改めてお伺いするんですけども、価格の高さが懸念される新米の流通が本格化する中での、備蓄米のニーズを今どのようにお感じになられているでしょうか。

 大臣 そうですね。今、新米が出回り始めて、地域によって価格差はありますけども、やはり高値で流通しているっていうことは承知をしています。このまま、もしも国内のお米が高止まりを続けると、外国産米の民間の輸入が今すでに前年比で300倍、アメリカのお米は2,000倍、こういった形で拡大をしていることが、ますます進みかねないことに加えて、消費者の皆さんがお米から離れていく、米離れが進みかねないと、こういったことはやはり非常に危惧をしています。一方で、やはりこの米価高騰の様々な期間の中で、国民全体の議論になったことで、私が大臣なった当初に、もうとにかく高いっていう声から、一方でこの随契米を2,000円で出して以降、やはり、この上がっているものというのは米だけじゃなくて、あらゆるものが今上がっている中で、米を作っている生産者の皆さんにとっても、しっかりと価格転嫁ができて、これからの米づくりを意欲的にやる気を持って、よしこれからも米を作ろうと思ってもらえるような環境を作らなければいけないんじゃないか。これが消費者の側にも生まれてきたことも事実だと思います。こういったことをしっかりと、消費者、生産者が一つになっていけるような方向に軟着陸をさせていけるかどうかということが、これから大事だと思いますので、今、目の前のこの新米が出始めた時期だけの価格動向を見るのではなくて、シーズン全体を通して、特に来月になれば米の収量が確定をしてくるわけですから、これが50万tということが仮にですよ、出た場合に、じゃあこの量をもって民間在庫はどれぐらいの水準か、昨日は200万tぐらいなるんじゃないかという話をしましたけれども、こういったことも含めて、やはり冷静に、この情報共有をしながら前に進めていくということが必要だと思いますので、今、DIの話も今日幹事社の方からありましたけれども、ここの部分だけを見ていくということではない、様々な情報提供と、対話、マーケットの対話、国民の皆さんへの情報提供、こういったことが非常に大事なのではないかなと捉えています。

 記者 減反予算1年継続の概算要求に対して、立憲民主党の小川幹事長は極めて緩慢、スピード感に欠ける、不適切だと批判してるんですが、野党との意見交換等を始める、お考えはいつ頃からあるんでしょうか。維新が連立入りする見方もあるんで、それがはっきりしてから以降ということなんでしょうか。

 大臣 極めて緩慢だという、小川幹事長の発言ですけども、少なくとも今、農林水産委員会の中でも、私はあまりそういったことは聞きませんし、与野党を通じて令和9年度以降の米の政策については、垣根を越えて議論をしようと、そういったことになっていますので、私としては特にコメントすることはありません。しっかりとこの米政策が大きな転換点にある中で、早くやらなきゃいけないことと、同時に、米は1年1回ですから基本的に、その中で農村現場にしっかりと理解をいただくための、継続してやらなければいけないものがあって、そして最終的に大きな政策変更とつなげていくっていう、現実的な対応というのも大事だと思いますので、そこは全体を見て、ご理解いただけるように努めていきたいと思います。

 記者 概算要求について野党から聞き取りは、まだ決まってないという理解でよろしいでしょうか。

 大臣 まず農水大臣としては概算要求について野党から、直接聞き取るっていうことは今までもしていないと思います。ただその概算要求などに対して、野党からのご意見を、例えば委員会や理事会、こういったことなどを通じて農水省の職員がご意見を賜ったり、そういったことっていうのは常日頃ありますので、そこはこれからも耳を傾けていければ思います。

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