小泉進次郎農相は9月12日の閣議後定例会見で、設置を検討している「備蓄に関する意見交換会」のなかで、いわゆる保管料問題も議論の俎上に乗せる考えを明らかにした。「政府備蓄米の大量放出によって、これまで入ってきた保管料収入を得られず、経営が立ちゆかなくなっている倉庫業者への対応」を問われ、答えたもの。このなかで小泉農相は、「政府備蓄米の管理運営は、委託先民間業者を通じて民間倉庫業者が担っており、契約ではあらかじめ保管期間や数量を定めることなく、保管単価のみを定め、実際に保管した期間と数量に応じて保管料を支払う仕組みになっている。しかしながら倉庫業者から、備蓄米の売渡によって自ら見込んでいた収入が得られないとの声があがっていることは承知している。これら課題も含め、設置を検討している備蓄に関する検討会のなかで、政府備蓄米の保管のあり方についてもご議論考えている」としている。
一問一答(9月12日、閣議後定例会見から抜粋)
大臣 本日、私から一点ご報告があります。本日の閣議において、令和7年度(2025)から令和11年度(2029)までの5年間を期間とする、「土地改良長期計画」が閣議決定されました。新たな計画では、生産性向上等に向けた生産基盤の強化、農業用水の安定供給及び良好な排水条件の確保、増大する災害リスクに対応するための農業・農村の強靱化、農村の価値や魅力の創出といった4つの政策課題を設定しています。今後、コストの徹底的な低減に向けた農地の大区画化や中山間地域等における作業の省力化整備を推進するとともに、老朽化する農業水利施設の整備・保全、農業用ため池の防災工事、農業集落排水施設等の生活インフラの整備などを集中的かつ計画的に進めていくこととしています。特に水田の基盤整備については、今後5年間で、これまでの2倍強となる9万haを整備し、うち、1ha以上の大区画化は4倍となる6万haを見込み、米の需要に応じた増産をしっかりと下支えしてまいります。詳細につきましては、この後プレスリリースさせていただきます。本日冒頭は以上です。
記者 一点、最初に申し上げます。今、冒頭ご発言ありました、農地の大規模集約化について改めて意義と今後の狙いをお願いいたします。
大臣 やはり、これは常々申し上げていますが、農業者の減少がこれからも進んでしまうと。こういった現状の中では、需要に応じた生産を推進をして、米の安定供給を図るためには、生産コストを低減させること、これが非常に重要だと考えています。このため新たな計画では、農地の大区画化、そして中山間地域における、省力化などの基盤整備を通じて、担い手の米生産コストに係る労働費を6割以上削減するKPIを設定しています。また、水田の基盤整備に係る事業量については、今後5年間で、これまでの2倍強となる9万ha、うち1ha以上の大区画化は4倍となる6万haを位置づけています。こうした取組みをしっかり進めるためにも、必要な予算の確保、これにしっかり努めて、事業実施体制を充実させて、集中的かつ計画的に施策を推進していきたいと考えています。
記者 もう一問だけお願いいたします。自民党総裁選に絡みまして、各メディアが今日未明から、大臣が出馬するのではないかということで報道をし始めました。また、昨日も退庁のぶら下がりで、地元の有権者の声も聞きながらということを触れておりましたけれども、この週末など地元の有権者の声を聞いた上でやはり出馬を判断するというご意思はおありでしょうか。
大臣 今のご指摘にあった、出馬するのではないかとかいう報道に加えて、出馬しないんじゃないかっていう報道もありますね。こういう時期になりますと、情報戦そして報道合戦、色んなことがありますが、いずれにしても、自民党の置かれた状況は大変危機的で、国民の皆さんに露わになってしまった党内の分断、こういった傷を修復して、癒して、一つになって前に進めていく、このことは喫緊の課題だと思っています。そういった中でも、私は閣僚の一員として、公務最優先の中で対応を考えたいと申し上げておりました。やはり政治家としては、よって立つところは生まれ育った地元です。地元の横須賀・三浦、こういった皆さんのことを片時も忘れたことはありません。重要な判断をするとき、横須賀と三浦の、野党時代から支えていただいた皆さんのことを思いながら、そして皆さんの声を伺いながら、最終的に対応して判断をしていきたいと思っています。
記者 米についてお伺いします。政府備蓄米を保管してきた業者から、今回の放出によってこれまで入ってきた保管料が入らず、今後備蓄米の買い戻しが行われても、倉庫業を続けられているか、受け入れられるかどうか分からないというような声が上がっております。早ければ25年産米(令和7年産米)も買い入れが始まるかと思いますが、倉庫の維持に向けた支援など現在どのようにお考えでしょうか。
大臣 政府備蓄米の管理運営は、民間の事業者に委託をしており、これらの事業者と倉庫事業者との間の契約では、あらかじめ保管期間や数量を定めることなく、保管料単価のみを定め、実際に保管した期間と数量に応じて保管料を支払う仕組みとしています。しかしながら、倉庫業者の方々からは、今回の備蓄米の売り渡しに対して、自らが見込んでいた収入が得られないという声も、上がっていると聞いています。今後、備蓄に関する意見交換会の開催を検討していますので、こうした課題を含め、政府備蓄米の保管のあり方についても議論をいただきたいと、そういうふうに考えています。
記者 もう一点、一昨日決まった作況指数の廃止の見通しと新指標についてですが、こちら改めて受け止めをお願いいたします。
大臣 先日10日の総務省の産業統計部会で、(令和)7年産から作況指数を廃止すること、そして新たな指標、この新たな指標というのは、過去30年ではなく、過去5年中3年の平均収量との比較を公表すること、この二つについて了承されたと承知をしています。農水省の考え方に、理解が得られたというふうに認識をしています。なお、新たな指標の名称については、今、事務方の方で検討していますが、新たな指標の狙いや目的が伝わるような名前となることが望ましいと考えています。
記者 石破総理に後ろめたさは感じられないんでしょうか。大臣は、当初は石破政権下で農水大臣継続を強調されていたのに、最終局面では石破総理に会って、辞めさせるという決断を後押ししたように報じられていますが、結局、総裁選出馬ありきで、タイミングを伺っていたんじゃないかと。結局、結果的に石破総理を踏み台にしたんじゃないかというように見えるんですが、結果的に党内融和を回避すると言いながら、回避したことで評価が上がって、今や総裁選本命視されていると。こういう現状についてどう受け止められているでしょうか。
大臣 全くそういったことはないです。最後、総理と土曜日に向き合う時間をいただいたのは先日ぶら下がりでもお話をさせていただいたとおりですが、最後、菅副総裁が30分ほどですかね、もう伝えるべきことは伝えたので、あとは総裁の判断です、ということで、お出になられて、私もその時に一緒に立ち上がり、一緒に出ようというふうに思っていたところ、石破総理から、小泉さんも行くの、ということを声をかけられたので、残っていいんですかと申し上げたら、いいよと。後ろ大丈夫ですかと聞いたら、大丈夫、大丈夫と。そういった形で、私は、それでは菅副総裁をお見送りをして、そのあともう一回戻ってきますと、こういった形で結果残り、約2時間と言われますけれども、ああいった時間を向き合わさせていただきました。そういった形で総理がもう少し話そうというふうに思っていただけて、最後のああいった時間をいただいたこと、先日も横田さんに申し上げたとおり、説得なんてとんでもありません。総理のお気持ちに向き合いながら、色んなお話を聞かせていただいたと。そして、今日色んな報道ありますけれども、私として何か申し上げたことはありません。いずれにしても、どちらの決断をするにしても、私は大臣としての務めをしっかりと果たしていきたいと思います。
記者 2時間の面談の結果、石破総理が辞めて、結局総裁選が行われることになって、最終判断はまだにせよ、出馬する可能性も十分あるということで、結局、本命の総裁候補になった引き金を自ら引いたという形になっているのは、紛れもない事実ではないのでしょうか。
大臣 出ていないのに本命ということはまずありえないですし、それについては、当事者が言ってることではなく、報道など、他社がそのように報道することは、当事者としてはどうしようもありません。事実として申し上げることが私としてはできることなので、総理と最後に向き合わさせていただいたと。その中で大臣としての務めを果たす、これは当然のことだと思います。