市場調査会社の㈱矢野経済研究所(東京都中野区)は9月16日、米一貫ビジネスの令和6年度(2024)市場規模を、前年度比+20.4%の643億円と発表した。また令和12年度(2030)の市場規模を、令和6年度比+165.2%の1,705億円まで成長すると予測している。
米一貫ビジネス市場規模の推移

同社では米一貫ビジネスのトピックスとして、以下を例示。
生産面で、高温障害や病害虫の発生パターンに対応した稲の品種改良、環境対策として従来以上に二酸化炭素を吸収できるDAC(Direct Air Capture)水稲、省力化対策として種籾を水田や乾田に直接播くことで育苗や田植工程を省略できる直播栽培。
需要面で、海外における日本産米の消費拡大、健康機能米、アルファ化米、米油、米粉といった食品用途に留まらず、米由来成分を使用したスキンケア製品、非食用米を原料としたバイオマスプラスチック「ライスレジンⓇ」、米糠油を使ったライスインク(印刷インキ)など、非食用途の新素材開発も進展。
こうした様々な米関連商品・サービスへの多用途展開により、「米は今後も日本の農業と食文化の中核を担う素材として期待される。米一貫ビジネス市場は今後、アジア諸国に加え、日本食人気が高まるアメリカやカナダ、オーストラリア、ドイツ、イギリスなど欧米諸国でも、短粒種の需要が拡大していく見込み」として、5年後に2.5倍超の成長を見込んでいる。
同社の定義によると「米一貫ビジネス」市場とは、米の品種開発から生産、加工、流通、販売までを一貫して自社・自社グループで管理する垂直統合型ビジネスを指す。国産米の輸出や短粒種(ジャポニカ米)の海外現地生産関連ビジネスも含んでおり、内訳は以下の通り。
米穀卸売業、加工米飯メーカー、米油メーカー、米粉・米ゲルメーカー、機能米メーカー、飲料メーカー、機能性食品メーカー、 官公庁・関連業界団体ほか