小泉進次郎農相は9月19日の閣議後定例会見で、8月6日から続いた豪雨被害に対する支援策を、「静岡県で甚大な被害をもたらした台風15号の竜巻被害等に対しても、これらの追加支援を実施することとした」と明らかにした。大雨被害に対する支援策とは、農業用機械や農業用ハウスの修繕再取得に対する支援、営農再開に向けた種苗の確保などを指す。台風12号も含む8月6日からの豪雨災害に対しては激甚災害の指定を受ける運びとなっており、これに竜巻被害も加わる可能性が出てきた。なお8月6日からの豪雨による農林水産関係の被害は、9月12日午後4時現在で、総額1,150億円にのぼっている。
一問一答(9月19日、閣議後定例会見から抜粋)
大臣 本日、私からは3点、ご報告があります。
まず1つ目ですけれども、本日10時に食糧部会を開催し、令和7年産米に係る需給見通しの案をお諮りすることといたしました。7月に「米穀の需給及び価格の安定に関する基本指針」を策定した際には、今後の検証を踏まえ、検討することとしていたものです。お諮りする需給見通しの案については、検証の内容を踏まえ、一人当たり消費量の直近の実績、インバウンド消費動向の把握等に基づく需要見通し、最新の生産の動向を踏まえた生産見通しについて、精米歩留まり等を考慮して、幅を持った見通しを示しています。具体的には令和7年産米について、生産量は728~745万tと昨年より49~66万t増加、需要量は697~711万tと最大で昨年と同水準、これに政府備蓄米の7月以降の供給量24万tを加えると、令和8年6月末の民間在庫量は198~229万tとなって、令和4年以来200万tを超えるということになります。最大の229万tとなれば、直近10年程度で最も在庫水準が高かった平成27年の226万tに匹敵する水準となります。米を取り扱う事業者の皆さんの中には、足りなくなるのが心配だという声も聞いていますが、この数字なども見ていただいて、冷静に対応いただくようにお願いしたいと思います。詳細な内容については、食糧部会において、事務方から説明を行います。
2点目は大雨被害に対する追加支援の対象拡大についてです。8月から続いている大雨による被害に対し、地域の実情に応じて、被災した農業用機械や農業用ハウスの修繕・再取得に対する支援、種苗の確保等の早期の営農再開に向けた支援の追加支援を講じることを9月2日の会見で申し上げたところです。今般、特に、静岡県で甚大な被害をもたらした台風15号の竜巻被害等に対しても、これらの追加支援を実施することといたしました。支援の詳細については、この後、農林水産省のホームページで公表いたします。被災地の農林水産業の1日でも早い再開に向けて引き続き支援してまいります。
(略)
記者 冒頭発言にもあった、需給見通しですけれども、生産が需要を大きく上回る値となっています。価格のPOSデータも夕方に発表されると思いますけれども、先週発表時点では(5㎏)4,000円を超える中で、改めてになりますが、この見通しをどう受けとめているかということと、今後その価格は下落方向に向かうというふうにお考えかというところをお伺いしたいと思います。
大臣 先ほどお話をしたとおりの数字でありますが、答申をいただいた後に、食糧部会でですね、正式にお示しをするということになります。今後どうなるかということでありますが、先ほど申し上げたとおり、これだけの量が出てくるということも、数字も、冷静に受けとめていただいて、米を取り扱う事業者の皆さんの中には、まだ足りなくなるのではないかという声も伺ってますので、しっかりとこういった情報をお届けをさせていただくことで、冷静にご対応いただきたいと思います。マーケット価格の状況については、引き続きよく注視をしながら、見ていかなければいけないというふうに思います。
記者 もう一点、今後の見通しの調査に関する課題としては、調査対象にした7万事業者からの回答が2割にとどまったことや、需要見通しについては、精米ベースでの流通実態を把握する必要性などを担当部局が挙げていましたけれども、大臣が特に感じている課題などがあれば教えていただきたいのと、課題解決に向けてできることがあれば、お考えをお願いします。
大臣 この需要見通しについての課題ですか。
記者 需給見通し全体に関してです。
大臣 一つは、やはり今回、幅を持ってお示しをさせていただいたのも、これだけ気候変動なども深刻化している中で、渇水、そして渇水の真逆の大雨、そして線状降水帯、竜巻、最近の気候のリスクというのは、今までと比べてもかなり大きくなっていると思います。そういった中で、今回、幅ということで、現場の受けとめは、様々ご意見もあるというふうに伺っておりますが、やはり、私もこの5月から大臣を勤めている中でいうと、これだけ気候リスクも出てきている中で、ぴたっとこの需給を合わせていく、この難しさというのは非常に感じています。そういった中で、より現場とのコミュニケーションも含めて、一定の余裕を持った政策対応の中で、これだけ需給が多少変動しても、それが世の中の大きな混乱にならないような運営というのは、政策的にも重要ではないかなと。その重要性も、この対応の仕方も、よく現場との理解を深めるような作業はこれから課題の一つというか、しっかりやっていかなければいけないことではないかなというふうに思います。
記者 政務の話で恐縮なんですけれども、河野太郎さんが先ほど記者団に対して、小泉大臣を支持、総裁選で支持されると表明されました。こちらの受けとめをお伺いしてもよろしいでしょうか。
大臣 大臣記者会見ですから、多く語ることは控えますけれども、河野太郎さんとは同じ神奈川県で、そして、今までも改革志向を持つ同志としても、様々な政策を共に進めてきた、私にとっては政治の世界で先輩でもあります。前回の総裁選については、共に候補者として戦った、そういった関係ですが、今回、ありがたいことに応援をするということを言っていただいて、私が党内一致団結しなければいけない、そして、一人一人の専門性を活かしていいチームを作っていく。こういったことも常々申し上げておりますが、まさに河野さんの存在というのは、河野さんらしい力を、やっぱり発揮していただきたいと思ってますし、大変心強く思っております。