農林水産省は9月19日の審議会に、予定通り過剰感を浮き彫りにした主食用米の需給見通し案を諮問、これを了承する答申を得た。小泉進次郎農相は同日の会見で「米を取り扱う事業者の皆さんのなかには、足りなくなるのが心配だという声も聞いていますが、これだけの量が出てくるという数字を受けとめていただいて、冷静に対応いただくようにお願いしたい」と呼びかけている。
《令和7年産主食用米生産量見通し》
各都道府県ごと、主食用作付意向面積(6月末現在)に令和6年産の実単収(10aあたり収量)をと令和7年産単収の前年比増減率(8/15現在)を乗じて合算した。ただし精米歩留まりの低下が今回の混乱の遠因だった反省に立ち、7年産単収の前年比増減率には歩留まり88.6~89.6%の幅を持たせた。以上により弾き出した令和7年産主食用米生産量は728~745万tで、前年比+49~66万tにあたる。ただし、これは現段階の見通しで、9月25日現在の予想収穫量が公表(10月中旬)されれば、置き換えることになる。
《今年6月~来年7月の需要量見通し》
こちらも精米歩留まりの低下を考慮し、精米ベースでの算出が基本。まず過去5年の精米ベース需要実績からインバウンド需要を除いた上で、各年の人口で割って各年の一人あたり精米ベース消費量を算出。この5年平均と最大値、それぞれに令和7年の推計人口を乗じた上で今年6月~来年7月の推計インバウンド需要量を加えることで、今年6月~来年7月の精米ベース需要量見通しを算出した。これらに直近5年の精米歩留まり平均値または最低値を乗じることで、玄米換算。以上により弾き出した今年6月~来年7月の玄米ベース需要量見通しは699~709万tで、前年比▲2~12万tにあたる。
《来年6月末民間在庫の見通し》
今年6月末民間在庫157万t、令和7年産主食用米生産量728~745万t、随意契約による政府備蓄米放出量24万tを合算した909~926万tが今年6月~来年7月の総供給量となる。909~926万tから今年6月~来年7月の需要量見通し699~709万tを差し引いた201~228万tが来年6月末の民間在庫見通しということになる。
最小値であれ最大値であれ、価格変動分岐点と言われる200万tを上回ることになる。これで過剰、すなわち「価格を下げなければ捌けない」ことが露見したわけだが、産地側に下げるつもりはなく、むしろ過剰分の政府買入を求めてくるのは明らか。農相がどう対応するのか注目される。
