農研機構(農業・食品産業技術総合研究機構)は10月21日、独自に厳選した623系統のイネ遺伝資源「NRC(NARO Open Rice Collection)」を公開した。新品種開発の迅速化に役立つとしている。
農研機構の遺伝資源研究センター(旧・農業生物資源研究所)が運営する農業生物資源ジーンバンク事業では、イネの遺伝資源を世界各地から収集・保存している。これらを新品種開発に活かすため、それぞれの遺伝資源が備えている有用な特性に関わる遺伝子を効率的に検出する仕組みとして、遺伝的な多様性を維持したまま集団サイズをコンパクト化した「コアコレクション」の選抜に務めてきた。例えば69系統からなる「NRC」は世界のイネコアコレクション、50系統からなる「JRC」は日本のイネコアコレクションだ。だが、近年の急激な気候変動に対応した迅速な新品種開発に活かすためには、NRCやJRCでは「系統数が少なすぎた」。そこで、既存のイネコアコレクションの系統数を拡大し、623系統に整備したのが、今回のNRCだ。
NRCの623系統は、イネのサブグループであるジャポニカ(短粒種)、インディカ(長粒種)、アウス(その他)からバランスよく厳選していることから、「世界のイネの遺伝的多様性を網羅している」。このため農研機構では、「これまで活用されてこなかったイネの遺伝資源を、新品種開発に活かす道が拓けた」としている。
