農林水産省は11月12日の自民党農林会合に、政府備蓄米の在庫回復に向けた買入手順を報告した。それによると、最初から買戻し条件を付けていた入札米(31万t放出)だけでなく、随契米(28万t)も合算した「59万t」を買入対象数量としてカウントしていることが分かった。ただし、買入・買戻しの実施時期・規模は、相変わらず「今後の需給状況を見定めた上で実施」としかしていない。
報告によると、現在の政府備蓄米在庫は32万t。ただしこれには、5年間の保管期限が切れる令和2年産米15万tを含んでいる。ここに、まず令和7年産米では中止していた従来の政府米備蓄米買入入札によって、令和8年産米を積み上げる。すると来年6月末在庫は、期限切れの令和2年産米を除き、53万tになる勘定。
令和8年産政府備蓄米の買入入札は従来通りの方式に戻し、年明け1月以降、6月までに最大7回実施して21万tを買い入れる。提示の際の都道府県別優先枠は、本来実施するはずだった令和7年産米の優先枠をそのままスライドして18万t設定する。

次に、放出した59万tの在庫回復だ。
このうち江藤拓農相時代に買戻し条件付き一般競争入札で売渡先を決めた31万t(いわゆる入札米)は、この一般競争入札の落札業者(買受業者)のなかから、「見積合せ」により契約先(買入先)を決める。落札業者は、落札数量の大きい順に、①全農(29万6,195t)、②全集連(4,316t)、③福井県農協(4,220t)、④㈱KAWACHO RICE(2,000t)、⑤佐賀県農協(1,889t)、⑥奈良県農協(1,000t)、⑦熊本県経済連(1,000t)、⑧㈱百萬粒(958t)、⑨愛知県経済連(687t)、⑩㈱三松(31t)の10業者(以上カッコ内は落札数量)。
一方、小泉進次郎農相時代に随意契約で売渡先を決めた28万t(いわゆる随契米)は、一般競争入札によって買い入れる。この入札に参加できるのは、従来の政府備蓄米買入入札に参加資格を有する業者だ。
ただし、買入・買戻しの実施時期・規模は、相変わらず「今後の需給状況を見定めた上で実施」としかしておらず、民間流通米の相場に与える影響は少なそうだ。

