鈴木憲和農相は11月25日の閣議後定例会見で、総合経済対策のうち一人あたり3,000円相当を別枠で特別加算する食品の高騰対策を「十分な規模だ」と評価した。地方自治体に裁量を任せる「重点支援地方交付金」を通じて「おこめ券」や「お米クーポン」などを配布するもの。仮に全額が米と考えても、一人あたり5㎏すら買えない勘定になる。ただ自治体に裁量を任せることから、不公平感が生じる可能性も指摘されており、自治体向けに「早期に説明会を開催する」とも。
一問一答(11月25日、閣議後定例会見から抜粋)
記者 先週末、総合経済対策、閣議決定されました。食品高騰対策として、「重点支援地方交付金」の拡充が盛り込まれていまして、お米券の配布などが想定されています。お米の値段が高いので非常に期待の声がある一方で、使い道は自治体が決めるので不公平感が出るのではないかといった懸念や、それから需要が喚起されることでお米の値段が更に上がるのではないかといった見方もあります。こうした不安の声に対してどのように応えていくのか、農水省として何か対応策など考えていらっしゃったら教えてください。
大臣 先日の(11月)21日金曜日の閣議決定で総合経済対策、これが閣議決定をされました。そして今週、補正予算の今編成作業に取りかかっているところであります。農林水産関係では、今おっしゃっていただいた食品等の物価高への対応としての「重点支援(地方)交付金」を通じたお米券を始めとする食料品の物価高騰への対応を行うほか、食料安全保障の確立に向けて、農林水産業の構造転換や農林水産物・食品の輸出拡大などの施策を進めていくこととしております。これから補正予算が編成されることとなっておりますので、しっかりと取り組んでまいりたいというふうに思っております。そして今ご質問のあった点でありますけれども、まずお米券というか食品の高騰対策ということについては、大体1人当たり3千円相当を別枠で特別加算するものであり、我々としては十分な規模だというふうに考えております。そして当然、これ自治体によって様々な取組をしていただくということになりますから、なるべく早く、我々といたしましては、自治体の皆様に私たちの考え方含めて、説明会を早めにオンラインも含めてやらせていただきたいというふうに考えております。そして今いただいた、自治体による取組によって様々なご議論があるということはよく承知をしておりますが、私たちとしては、最も困っている皆さんに対して、なるべくスピーディーに必要な額、措置ができるように、自治体の皆様にもお願いをさせていただきたいというふうに思っております。そしてもう1点は、価格が下支えになってしまうのではないかというご指摘については、そういったご議論があるということはよく承知をしておりますが、ただ、今やはり重要なのは、すぐに価格がなかなか、様々な価格帯のものがないという現状について、十分に買えないという声に対して、私たちとしてはしっかりと応えていくべきだというふうに考えておりますので、そうした方向で対応させていただきたいと思っています。
(略)
記者 お米券についてなのですけれども、日本テレビが東京23区と46道府県全ての自治体に「配布を検討するか」アンケートを行ったところ、「未定」という回答が多かったです。さらに配布する場合、「事務負担が大きい」でありますとか、「お米券の配布が物価高の抜本的な対策になるのか疑問」という声もありました。今後、自治体への説明会を開くとおっしゃいましたけれども、いつ開くのかというスケジュール感と、大臣自身、自治体に対してどう説明していくのかという点、さらに自治体の負担を軽減する策について考えがあるかお伺いできますでしょうか。
大臣 我々としては、いわゆるお米券の配布だけではなくて、やり方としてはこれまで、多分それぞれの自治体の皆さんやってくださっている電子クーポンであったり、もしくはプレミアム商品券であったり、地域ポイント、食料品の場合によっては現物給付なども、様々な方法が考えられるというふうに思っております。各自治体において、できるだけ負担感が少なく、速やかな実施が図られていることを期待をしております。我々といたしましても、早急にオンラインも含めて、全ての自治体の皆様向けに、これは説明会をさせていただきたいというふうに思っております。そして事務負担、確かに特に大きい自治体にとっては、何か券を発送するということになりますと、世帯数も含めて大変多いものですから、その辺についてはそうだというふうに考えておりますが、なのでできるだけ、それぞれの自治体が最もやりやすい方法かつスピーディーな方法で取り組んでいただければというふうに考えます。そして経費についても、我々も今まで様々行われてきた事例も調べたところ、要するに実際に行き渡る金額に比べて、全体の事務費も含めたトータルの事業費が、最大で掛かっている自治体で確かに1.5倍程度というところがあります。これはおそらく全ての業務、発送の業務なんかも含めて第三者に委託をしてということなのかなというふうに想像しますけれども、ただ、少ないところでは1.1倍、要はほとんど経費がかかっていないというところもありますので、そうしたこともちょっとよく踏まえて、自治体の皆様向けに説明会をさせていただきたいと思っております。
記者 説明会は今週、月内とかそういう。
大臣 これはもうできる限り早くやることが必要だと思っておりますので、調整つき次第、早めに開催をさせていただきます。
(略)
