鈴木憲和農相は12月5日の閣議後定例会見で、重点支援地方交付金を活用して自治体が「おこめ券」などを配布する際、「使用期限を設ける」「転売防止対策をとる」との考え方を示した。
一問一答(12月5日、閣議後定例会見から抜粋)
大臣 本日、私から3点、ご報告があります。
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そして2点目です。2点目は、新たなものということになりますが、「日本の農林水産行政の戦略本部」の設置・開催についてであります。私が大臣就任時から申し上げてきたように、農林水産業と食の分野において、特に攻めるべき分野と守るべき分野を明確にした上で、その分野ごとに具体的な戦略を策定をしたいというふうに考えております。このために「日本の農林水産行政の戦略本部」を設置をすることといたしました。農林水産省内において、本日11時30分から、第1回の本部を開催をいたします。詳細については、後ほどプレスリリースをいたします。
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記者 経済対策に挙げられるお米券について、使用期限を設けるとの報道が出ています。農水省としてのねらいや、自治体の中では配布の遅延の可能性もある中で、期限を設けることへの不安も聞かれますが、大臣としては期限がどの程度が望ましいとお考えでしょうか。
大臣 重点支援(地方)交付金の活用に当たりましては、内閣府において、商品券等の配布事業を実施する場合、「換金期限などを適切に定め、未換金があった場合の返還を行えるように制度設計する必要がある」というふうにされているところであります。これはどういうことかといいますと、この事業期間内に利用されなかった場合、未換金になってしまった金額が、その発行元等に滞留させるということを防止すること、というふうに我々としては理解をしているところであります。また、お米券に使用期限を設ける際には、券の発行者にできる限り早く準備を進めていただけるよう、情報の収集・提供に努めてまいりたいというふうに考えております。
記者 財政制度等審議会の建議について伺います。農水省に関しては、特に米政策で、まず飼料用米の支援は水田政策ではなく畜産政策にも切り替えるよう提言しているという点があるのと、あと、新しい水田政策に向けて、もうすでに麦・大豆では多額の支援があるというふうに、支援の膨張というか拡大をけん制しているような文言もあります。こういった中で、建議自体はそれなりの拘束力もあると思いますので、大臣としては水田政策の見直しに対して、どのように反映して、どのように考えて策定していくのかというのをお伺いしたいです。
大臣 12月2日の財政制度等審議会において、建議がなされたということについては、私としてもよく承知をしているところでありますが、これ本体については、農林水産省として何かコメントをするということは差し控えさせていただければと思います。ただ、今ご質問のありました、ご指摘の水活(水田活用の直接支払交付金)における飼料用米の取扱いについては、令和9年度以降の水田政策において、作物ごとの生産性向上等への支援へと転換する、その検討の一環として、現場の実態の各種調査も踏まえて、幅広いご意見を丁寧に伺った上で議論を進めてまいりたいというふうに考えております。
また、ご指摘の麦と大豆についてであります。これは経営所得安定対策、いわゆるゲタ対策は、畑作物の諸外国との生産条件格差を補正するものでありまして、生産性向上支援とは趣旨・目的が異なることから、それぞれの政策目的に応じて必要な予算を措置していくべきというふうに考えております。いずれにしても、我々として大事だというふうに考えているのは、すべての田畑、これは条件に関わらず、日本国内におけるすべての田畑が、頑張るという人がいる限りは、再生産可能でやれる状況を作るということかと思いますので、そういう観点でしっかり検討を進めていきたいというふうに考えております 。
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記者 冒頭のお米券の使用期限のお話なのですけれども、内閣府が商品券等の配布を実施する場合、期限内に配布しないといけないということを言っているということで、使用期限という話が出てきたということですけれども、これを踏まえて農水省として使用期限を設けるように自治体に要請するということなのかどうかというのが少しわからなかったのですが、そこら辺もご説明いただければ。
大臣 丁寧に話をさせていただきますと、要は国のある種自治体の交付金でやる事業でありますから、基本的にはその用途にしっかりとまず使っていただくということが基本かというふうに思っています。そういう中でお米券についてまず申し上げると、今流通している現状のお米券というのは、特段使用期限というのがあるわけではありませんので、そうすると、3年後にある種お米券使っていただいてもいいですしというようなことになりますと、それは政策の目的上、まさに今の物価高対策に対しての対応でありますから、そこの目的を達し得ないということで、基本的にはどこかで使用期限というのを設けて対応していただくということになります。同時に、自治体が独自で、例えばクーポンを発行するなどのケースもあろうかと思いますので、そういうケースについても同様だというふうに考えております。
記者 その場合つまり、統一の「いつまでに」という全国一律の使用期限みたいなものを農水省として設定したいという方向なのでしょうか。それとも自治体に各々任せるということでしょうか。
大臣 基本的には今、調整をしているところでありますので、また今後決まり次第、発表させていただきたいと思います。そもそもお米券自体は農水省が発行するものではありませんので、民間団体が発行しているものでありますから、そこともよくこの今回の重点支援(地方)交付金の趣旨も踏まえて、様々調整をさせていただきたいと考えております。
記者 冒頭でお話されていた農林水産行政の戦略本部、戦略を明確にするということなのですが、詳細は後でリリースを出されるということなのですけれども、戦略、これ明確にするのはいつまでと考えていらっしゃっていて、来年夏までに水田政策の見直しという大きなテーマも控えていると思いますが、それと連動して備蓄制度の見直しというのもやっていかないといけないと思うのですけれども、それらの米政策というのもこの戦略本部で検討していくということなのかというのも併せて教えてください。
大臣 まず、米政策については、これまでの検証の流れというのがありますから、その流れの中で基本的には対応していくということになろうかと思います。この戦略本部については後で、午前中ですから、また皆さんにもオープンでこれはやらせていただきたいと思いますので、その時に私自身の考え方も含めて発表させていただきたいと思いますが、やはり我々として攻める分野、そして守る分野をもう少し明確にして、すべての分野というわけにはいきませんが、特に重点的に考えなければならない分野ということで、いくつか設定をさせていただいて、検討を深めていくということになります。いつ頃までにということでありますけれども、テーマによって、これは骨太の方針、来年の、そこに盛り込みたいテーマもあれば、法改正を伴うものもあろうかと思います。そしてもう1点は、官邸の方で作った日本成長戦略本部、そこに上げるべき議題もあろうかと思いますので、そうした政府全体の大きいスケジュールにしっかり間に合うようにできるだけ早く、しかしながら速さも大事ですが、戦略というのは中長期的にみんなが納得感のある形で先が見通せるというのも大事かと思いますので、その点もよく踏まえて議論させていただきたいと思います。
記者 米のDIについてお伺いします。昨日発表された米価見通しの指数、今後3か月で32と先安観の見方が強まりました。足元ではスーパーの平均価格が高止まりしている中で、こういった先安観の見方が出ていることへの受け止めを教えてください。また、先安観が出ていることで備蓄米の買戻しの参考になるかどうか、その点のお考えもお聞かせください。
大臣 昨日、米穀機構から11月分の調査結果というのが公表されたところであります。いずれも50を基準値とするものであるわけですが、まずこの需給動向を見ますと、現状については前月からマイナス8の34、そして向こう3か月については前月からマイナス4の31となっており、いずれも減少しております。これは米の取引関係者の間で、現状は需給が緩んでおり、向こう3か月も需給が緩むとの見方が、前の月よりもさらに強まっているということを示しているというふうに考えております。また、米価水準を見ますと、現状は指数91と引き続き高いとの見方でありますが、向こう3か月は前月からマイナス7の32に減少しておりまして、今後価格が低下していくのではないかとの見方が、前の月よりもさらに強くなっていることを示しているというふうに、この指標については受け止めをさせていただいております。農林水産省といたしましては、米の取引関係者が今後、需給緩和、価格下落と見通している傾向が強まっているということにも留意をさせていただいて、引き続き需給と価格の動向を注視をしてまいります。
そして、備蓄米買戻しの指標になるのかというお話でありますけれども、基本的には我々は備蓄米の買戻しについては、他の指標等も含めまして、引き続き需給状況等を見定めながら、備蓄水準の確保ということに努めてまいりたいというふうに考えております 。
記者 今の関係で昨日、新潟の国内最大手の米卸からの指摘で、今後米余りによる暴落の可能性もあるんじゃないかという話が、新潟県での講演会で、卸売の、国内最大手の米卸、神明ホールディングスの藤尾社長から発言が出たということで、このままいけば暴落するのは間違いない、また、米の価格はやっぱり5キロ3,500円ぐらいが最適価格じゃないかといった話が出ております。今後の見通しとしては下がっていくんじゃないかという推計を含めて、こういった発言が出ていることに対する受け止めをまずお願いいたします。
大臣 今の報道は、「じんみょう」ではなくて、「しんめい」ホールディングスということになろうかと思います。報道について私も拝見をさせていただきましたが、まずそのことについて、大臣としてコメントするということは差し控えさせていただきたいというふうに考えております。前から申し上げておりますけれども、米の価格はマーケットの中で決まっていくものでありますが、我々として大切だというふうに考えているのは、やはり生産者の再生産や再投資が可能であるということ。しかしながら、消費者も安心して購入できる価格であるということが、まず必要であろうというふうには考えております。今後とも米の需給の安定を図ることによって、結果として価格の安定が図られるということが我々の基本的なスタンスでありますから、農林水産省としては、需給動向に関する一層精緻な情報の提供に努めてまいりたいと思います。
記者 各自治体ごとにどういうふうにお米券を配るかとか、使うかとか、大阪市ではプレミアム付き商品券にしたり、江戸川区では現金給付の形にしたりとそれぞれバラバラがゆえに、消費者の側から、何でこれほど自治体間で差があるのかなど、高評価の声もたくさんあると思うのですけれども、一方で、やっぱり自治体間の対応の差で戸惑っている消費者の声も聞かれます。農林水産省としては、いろんな使い方をしているというこの今の状況をどういうふうに、それから、全国から今寄せられている声というのはどういうものを大臣として受け止めているかというのをお聞かせください。
大臣 食料品の価格高騰への対応については、各自治体において、それぞれ各自治体によっても消費者の皆さん、生活者の皆さんの置かれている状況というのが当然、都市部と農村部とでは違うとか、様々な差があろうかと思いますので、そうしたことを踏まえて、各自治体においてしっかりと困っているというか、負担感があるなと感じていらっしゃる生活者の皆さんの負担感が減るように対応していただければというふうに思っております。一昨日と昨日、本日もこの説明会を今、自治体の皆様向けに開催をさせていただいております。詳細については、本日の説明会が終わった後に事務方の方から皆さんへも共有をさせていただきたいと思いますが、やはり皆さんからも様々なご質問、そしてまたご意見についてもいただいているところでありまして、丁寧に答えさせていただきたいというふうに思っております。昨日までの2日間で延べ約1,000自治体に参加をいただいたところであります。本日も開催をします。
記者 一部報道で、使用の期限、来年9月までというのがあるのですが、現段階でははっきりとこの日付というのが決まっているわけではないという理解でいいのでしょうか。
大臣 今まさに調整中でありますので。ただ、いずれにしろ使用期限というのが設けられるということは、そのとおりであるというふうに思います。
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記者 お米券の関係でお伺いなのですけれども、自治体の説明会、今行われていると思いますが、転売を防ぐ方策についてもご説明があったように伺っております。現時点で転売を防ぐために考えていらっしゃる対策とその効果について、どのようにお考えでしょうか。
大臣 当然、これはまずお米券ということで申し上げれば、転売のために発行される、もしくは使っていただくということではありませんので、その辺の対策はしっかりとやらせていただきたいというふうに思っております。同時に、この使用期限が設けられるということでありますから、なかなか転売もしづらくなるのではないかというふうに考えております。
記者 お米券で言うと、発行されるお米券に転売禁止の旨を記載するという話もあるかと思うのですが、そのあたりについての検討状況いかがでしょうか。
大臣 その方向で調整をさせていただいてます。
