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施策・政策

鈴木農相見解、高騰米価の要因は「集荷競争の結果」

 鈴木憲和農相は12月23日の閣議後定例会見で、令和7年産米の高騰要因として「昨年の米不足を受けて集荷業者がたくさん現場に入り、結果として値段が上がってしまった。農協の概算金も、それに引きずられる形で上げざるを得なかった」との見解を示した。
 「卵が先か鶏が先か」のような論点ではあるのだが、誰も得をしない集荷競争に参入することなく〝適正な集荷価格〟に徹していれば、ここまで高騰することもなかったはずだが…。

一問一答(12月23日、閣議後定例会見から抜粋)

 大臣 本日、私から1点、ご報告があります。
 先週(19日)の会見でご質問のありました、秋田県に対して米を増産しないよう強く要求していたのではないかとの一部報道があった件について、改めてご説明をさせていただきます。当時の担当者、これ令和5年1月時点ということになりますが、聞き取りを行った内容について、私自身報告を受けさせていただきました。まず当時の状況については、新型コロナによって経済活動が停滞し、統計を取り始めて、初めて米の需要量が700万トンを切るという状況でありました。それに加えて2022年6月末時点の民間在庫量が、2年続けて高水準である218万トンまで積み上がるといった、需給の状況が大きく緩和をしているという状況でありました。こうした需給の状況の中で、秋田県に限らず各都道府県と県産米の需要を考慮した上で、どのように米の生産を進めるのかという観点で意見交換をしていたとのことであります。当時の担当者としては、圧力をかけたという認識はないとのことでありましたが、仮にその中で圧力と受け止められるようなやり取りがあったとすれば、それは私としても非常に不本意ですし、あってはならないことであるというふうに考えております。これから食糧法の改正を視野に入れた議論を進めていく中で今後、同様のことがないよう私自ら省の幹部に対して、現場とのコミュニケーションは積極的に行ってもらいたいが、国からの圧力と受け止められるようでは、結果として真に現場の皆さんの本音を聞くということにはなりませんので、これからもそういうことのないようしっかりと耳を傾け、真摯に対応するように強く指示をさせていただいたところであります。
 農林水産政策は現場が主役であります。現場の皆様が納得をして生産の現場が動いて初めて効果が出るというふうに考えておりますので、このことを心に留めて「農は国の基なり」という言葉のとおり、農林水産省の最も重要な使命である、国民への食料の安定供給を実現していけるよう職員一同、改めて気を引き締めてまいりたいというふうに考えております。本日私からは以上です。

 記者 昨日、米穀機構で米のコスト指標に関する第1回の委員会が開かれましたので、検討状況とねらいについてお伺いします。米の生産、大規模農地と山間地で全く条件が異なっている点がコスト指標の作成を難しくしているかなというふうに思っています。それと一般の消費者が見ると、昨日公開された資料を見ますと、令和6年産の生産コストが玄米60キロ当たりで100円安くなっていて、ほとんど変わっていないという状況なのですけれども一方で、販売価格については2倍ぐらいに上がっているということで、なじみのない一般の消費者が見ると、JAが悪いんじゃないかというふうに見るのではないかなと考えたのですけれども、コスト指標の作成についての課題についてもお伺いできればと思います。

 大臣 昨日、米穀機構において生産・卸売・小売などの関係者による、第1回の「米のコスト指標作成等委員会」が開催されたというふうに承知をしております。食料システム法に基づく合理的な費用を考慮した価格形成の取組は、コスト指標の作成などを通じて、生産から販売に至る各段階で掛かっているコストを明確にし、そして消費者の理解も得ながら、コスト割れでの供給を抑止しようとするものであります。消費者のご理解を得ていくためには、各段階で掛かっている合理的な費用を明確にすることが重要でありますが、関係者間で合意形成が進み、各段階のコストが明確にされることを期待をしております。農林水産省としては、今後とも関係者の議論がスムーズにまとまっていくように後押しをしてまいりたいというふうに思います。今ご指摘の様々な、今まさに、議論中でありますので、私から議論の途中の段階において、何か私がコメントをするというのは適切ではないというふうに思いますが、ただ、消費者の皆さんにも是非ご理解をいただきたいのは、この度の棚から米がないという状況を招いたのは、私たちの需要見通しが全く間違っていたということが原因でありますから、そのことについては本当に心からお詫びを申し上げたいですし、反省もしておりますし、もう二度とこのようなことのないように対応させていただきたいと思います。また、現下の結果としての価格水準がかなり高いところに張り付いているということについて、価格は基本的にはマーケットの中で決まるということでありますが、やはり昨年、棚にないという事態を招いた結果として、本年産のお米についても集荷業者の皆さん、たくさん生産現場に入られて買うよという人が多かったものですから、結果として値段が上がってしまったということであろうと思いますので、JAの概算金もそれに引きずられる形で、ある種上げざるを得なかったというのが結果だろうというふうに思っております。もう二度と棚からないという事態は招かないように対応させていただきます。

(略)

 記者 大臣は、価格は市場でとおっしゃいますけれども、現在高騰している米の価格というのは下げる必要はないというお考えでしょうか。また、専門家も含めですけれども、生産者への直接支払を行って安定した供給を確保し、価格を下げるべきとの意見もありますけれども、こちらについてのご見解もお願いいたします。

 大臣 米の価格については、これ何度も今までも申し上げておりますが、生産者の再生産や再投資が可能であり、しかしながら消費者も安心して購入できる価格であることが、私自身も必要だというふうに考えております。そこに向けて、この10月には先ほど申し上げました「米のコスト指標作成のための準備会合」を設置をし、合理的な費用を考慮した価格形成の推進のための検討を進めているところでありまして、今後この関係者の議論がスムーズに取りまとまるように後押しをしてまいります。そして、現状で大幅な米価の下落等に伴い、農業収入が減少した場合には、収入保険やナラシ対策という米や畑作物の収入減少影響緩和交付金というのがありまして、セーフティネット対策を措置をしているところであります。令和9年度以降の水田政策の見直しの一環として、これから現場のお話もお伺いをしながら、農業経営の安定のための施策の充実を検討してまいりますが、主食用米の生産者の皆さんに、私自身も私の地元も山形で、たくさん生産者の皆さんいらっしゃいます。今のご意見についてお話を伺うと、ほとんどの皆さん何とおっしゃるかといえば、やはり自分たちの作ったものがちゃんとした価格で取引がされて、結果としてそれが作ってよかったなと思えて、また来年につながっていく、もしくは後継者にちゃんとつながっていくというのが一番望ましいというふうにおっしゃっていただく方がほとんどであります。ですので、私たちとして始めからたくさん作って、米価がどんと下がった場合に所得補償すればいいではないかということについては、私としてはその立場は取り得ないというふうに考えております。

 記者 冒頭の発言に関して、秋田県知事の方に何か農林水産省側から伝えられたのかということと、あとコロナ禍での担当職員の方というものは、どういう経緯で発覚されたのかというのを伺えればなと思います。

 大臣 これ担当ベースで、当時誰が担当だったかということについて聞き取りをさせていただいたということであります。何か私の方から秋田県知事に何かということは全くありません。

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