米の民間備蓄をめぐって、疑問の声が相次いだ。否定的なものではなく、具体像が示されていないことからくる態度保留の見解だ。農林水産省が12月24日、食料・農業・農村政策審議会の食糧部会を開き、来年の通常国会に提出が予定されている食糧法(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律)改正の「方向性」(既報)に対して、関係者と識者からなる委員に意見を求めたもの。

農林水産省の民間備蓄制度案は、「平時は通常の民間在庫と区分せず管理(備蓄〝量〟の維持のみ義務づけ)」⇒「供給不足時、国の指示に基づいて備蓄米を放出」という、かなり大雑把なもの。数量もトリガー(放出基準)も示されていないことから、疑問の声が相次いだ。
現行の政府備蓄制度は、平時の場合、「100万t程度」を備蓄上限に、毎年20万tずつ買い入れ、20万tずつ飼料用として処理する仕組み。民間備蓄が、これに上乗せするものか、それとも内数を負担するものかはともかく、仮に政府備蓄と同様に5年を保管期限とする場合、実現可能なのか。
これに難色を示したのが、食糧部会の委員の一人で、米穀卸売業者の全国団体・全米販(全国米穀販売事業共済協同組合)の山﨑元裕理事長。「我々民間に〝備蓄〟の余地はない。あるのはあくまで在庫。『食品』と『食料』は意味が違う。我々が扱っているのは『食品』。一部の例外を除けば、1年古米は〝在庫〟価値を失う。5年は長い。義務備蓄量の設定は、かなり難しいのではないか。また不足を察知し、放出を指示するタイミングは、今回の件を見ても分かる通り遅れがち。ほかにも様々に疑問点はあるが、具体化を検討する際は、是非私どもも検討の場に加えていただきたい」とした。
また政府備蓄制度に対しては、「5年は長い」「100万tでは足りない」とする声が複数あがっている。
