東京の米穀小売団体である東米商(東京都米穀小売商業組合、東京都中央区)が1月18日、都内で開いたイベントには、「裏のテーマ」があったように思う。それが「今こそブレンド米」だ。
本題に入る前に「表のテーマ」を説明しておこう。東米商が毎年この時期に開くイベントは、ひどく盛り沢山だ。「東米商流通研修会」に始まり、「東京米スターセレクションKIWAMI米コンテスト2025」表彰式(既報)、併行して播種前契約商談会、最後に新規事業「ブレンドマエストロ認定事業」発表イベントで締め括った。
「裏のテーマ」の口火を切ったのは、意外なことに東米商自身ではなく、短い講演に臨んだ全米販(全国米穀販売事業共済協同組合)の山﨑元裕理事長(㈱ヤマタネ会長)だった。「令和の米騒動」で「消費者に気づきがあった側面もある」と指摘。
「消費者が評価するのは、〝お米〟ではなく〝ごはん〟だ。食糧ではなく食品と言い換えてもいい。騒動前まで、毛嫌いされてきた古米や外米を『意外においしい』と気づいた消費者も多かったはず」
「米の流通で一番難しいのは端境期の〝つなぎ〟。主食だから切らしてはいけないところから、無理や無駄が生じている。その無駄が、今回の一件でなくなる可能性が出てきた。つまり、消費者が求めているのが『おいしいごはん』であるとするなら、新古ブレンドでもいいはず」
「その昔あったブレンド文化を取り戻せればいいのではないか。今回の騒動でそれに気づきつつある。各者の技を駆使したブレンド米のおいしさがより浸透すれば、量販店の品揃えも変わるはず」
「今までは、高級プレミアムで100円単位の違いだった。これからは、国産のビカビカ新米、ブレンド米のおいしくてソコソコの値段のもの、値段はメチャクチャ安いけど味もそれなり――こういったカテゴリーに分かれてもいいのではないか」
そこで東米商が立ち上げたのが、「ブレンドマエストロ認定事業」だ。「ブレンド米の価値向上を目的とした事業」で、「ブレンド米といえば、〝混ぜ物〟のイメージが強く、単に安い商材を作り出すための手段でしかなかった。しかし、午前中の研修会で山﨑理事長が指摘されたように、今こそブレンド米に対する認識を改めるチャンス。そのための手段として、本事業を企画した」との説明だった。
認定者には「ブレンドマエストロ」の称号を与え、認定マークを活用できるようにする。具体的にはこれからだが、この日の席上では、東米商に所属する3名の若手米屋が手始めに独自配合〈下表〉を例示してみせた。これらを、実際にプロの料理人に試食してもらったところ、「こういう米を求めていたのだ」との反応。そのうちの一人、熟成鮨万(東京都渋谷区)の店主、白山洸さんは、こう語る。「鮨は、シャリが本体であって、ネタはソースにすぎないと思っている」。
来たるべき「ブレンド米」時代は、もうすぐそこまで迫ってきているのかもしれない。
| \ | ブレンダー | 配合内訳 | |
|---|---|---|---|
| 江戸前寿司用 オリジナル ブレンド米 | 片山真一氏 (墨田区・ ㈱隅田屋商店) | 新潟 「新之助」7割 (㈱小田島建設) | 大粒である「新之助」を主原料に、 やわらかさとほどよい粘りを持つ 「みずかがみ」をあわせ、握りやす さと粒感を引き立てたブレンド。 (※酢を添加してシャリとして喫食 して下さい。新米のため、洗米後30 分浸漬のうえ、炊飯加水量は10%引 いて炊飯して下さい) |
| 滋賀 「みずかがみ」3割 (㈲古株牧場) | |||
| 日常に 食べて 頂くお米 | 増田善光氏 (江戸川区・ ㈲山久増田米店) | 熊本 「コシヒカリ」8割 (omfarm) | 毎日のごはんに、あっさり×ふっく ら。九州「コシヒカリ」と山形「ひ とめぼれ」の調和を意識しました。 |
| 山形 「ひとめぼれ」2割 (㈲銀波) | |||
| 和食に 合う お米 | 小池理雄氏 (渋谷区・ ㈲小池精米店) | 滋賀 「日本晴」5割 (㈲古株牧場) | 和食を引き立てる〝ほのかな旨味〟 を基調に、変化する味付けにも対応 できるよう、「みずほの輝き」の粒 感と「コシヒカリ」の粘りで調和を 設計。「日本晴」だけでは消えがち な後味を補い、咀嚼の余韻が残るバ ランスに仕上げました。 |
| 新潟 「コシヒカリ」2.5割 (㈱小田島建設) | |||
| 新潟 「みずほの輝き」2.5割 (カントリーアウルズ) | |||
