鈴木憲和農相は2月3日の閣議後定例会見で、令和12年(2030)35万tの米輸出目標に対し、「達成不可能とは考えていない」との見解を示した。
令和7年(2025)の輸出実績が13年連続で過去最高を更新した(既報)ものの、増加率が鈍化していることから、目標達成が可能か否か訊かれたもの。
一問一答(2月3日、閣議後定例会見から抜粋)
大臣 本日、私から1点、ご報告があります。農林水産物・食品の輸出実績についてであります。令和7年(2025)の輸出額は2兆円には届かなかったものの、対前年比12.8%増加の1兆7,005億円と13年連続で増加をし、過去最高となりました。品目別でも牛肉、緑茶、米など多くの品目が過去最高を更新をしており、この結果は輸出に関わる事業者の皆様、そして生産者の皆様の努力の賜物というふうに考えております。今後、令和12年(2030)の輸出額目標5兆円に向けて、私自身も先日フランス・ドイツでトップセールスを行ってきましたが、政府が前面に立って、現地系商流への売込みの強化や輸出先国の多角化など、基本となる施策を関係省庁とも連携をして推進をしてまいりたいというふうに思います。輸出実績の詳細については、この後、プレスリリースをさせていただきます。本日、私からは以上です。
記者 令和7年(2025)の農林水産物・食品の輸出実績について、政府が掲げていました令和7年時点での輸出額目標2兆円は達成できなかったことについての改めての受け止めと、先ほどご言及もありました、令和12年(2030)の5兆円とする目標を修正、見直すべきとお考えなのかどうか、ご所感をお伺いしたいと思います。
大臣 令和7年(2025)2兆円の目標を設定をしてきたところでありますが、その設定をした当時、令和2年(2020)当時の輸出額というのが9,860億円でございました。この5年間で輸出額が1兆7,005億円まで拡大をし、過去最高を記録をしておりますのは、これまでの官民挙げての輸出拡大への取組みの成果であるというふうに考えております。ただ、この目標である2兆円に届かなかったことについて申し上げますと、まず上位4つの国・地域で輸出額の半分を占めるなど、特定の国・地域に依存した現状の輸出の体制となっていること、また、輸出拡大余地の大きい現地系商流への食い込みが正直言って不十分、まだまだであるということ、そして、供給サイドの課題でありますが、供給サイドも求められるロットや価格に対応できなかったり、旺盛な海外需要に供給力が追いつかなかったこと、こういったことなどが要因というふうに認識をしております。ですので、今後、令和12年(2030)5兆円目標を達成するためには、この輸出拡大の抜本的なペースアップというのが不可欠であろうかというふうに考えております。これまでの知見もかなり溜まっておりますし、今回の要因分析を踏まえつつ、品目団体による市場調査等を通じた輸出先国の多角化、そして輸出支援プラットフォーム等による現地系商流への売込み、また、海外の需要やニーズに対応できる輸出産地の育成や輸出事業者の裾野の拡大、各国・地域の輸入規制の撤廃に向けた協議の加速化など、基本となる施策を関係省庁とも連携をして推進をしてまいりたいというふうに考えております。これらを行えば5兆円の在り方も含めて先が見えてくるかと思いますので、まずは私たち政府が前面に立ってしっかりやらせていただきたいというふうに思います。
5兆円目標、現状では高い目標であるというふうには認識をしておりますが、ただ、生産額に占める輸出額の割合が他の先進国が10%以上ということであるのに対して、我が国は今では2%程度ということになっております。これを他の先進国並みとする観点から、5兆円という高い目標を掲げておりますので、それが達成できるようにしっかり取り組んでいきたいというふうに思います。
記者 米の民間輸入について1点お願いします。貿易統計によると、今年の米の輸入が9.6万tで前年から96倍に増えました。この増加の要因をどう分析されているのかと、またその要因に対して今後どういうふうに対応していくか、よろしくお願いします。
大臣 1月29日に公表されました財務省の貿易統計によれば、令和7年(2025)12月の米の民間輸入数量が3,866tで、そして令和7年の1年間、これ1~12月の累計が9万6,834tとなっております。この年間の動きを見ますと、5月以降の備蓄米の流通や6月からのSBS入札により、ピークである7月の2万6,397tからは減少に転じておりますが、SBS輸入で希望数量を落札できなかった事業者などが民間輸入を行っているために、依然として例年に比べては高い水準となっております。この背景といたしましては、令和6年(2024)以降の国内の米の価格の上昇に伴い、高水準の枠外関税、これは㎏当たり341円を支払ってもなお外国産米の方が安価な状況が続いており、今後も国内の米の価格が高止まりをすれば、民間輸入が定着し、国内市場が奪われかねないということについては、極めて私としても危機感を持っているところであります。引き続き、外国産米の需要の移行に注意を払いつつ、国内の米の今後の価格、そして販売数量などを注視をするとともに、低価格帯、これも含めました消費者の多様なニーズに応え、需要に応じた形で生産することを推進をして、米の安定供給の実現に努めてまいりたいというふうに思っております。基本的には米は我が国で自給ができる作物でありますから、しっかりと外国産米に頼ることなく国内で様々な需要に応えていく、これが基本かというふうに思いますので、その方向でこれから施策を進めさせていただきたいと思います。
記者 米の輸出の方の実績について伺います。令和7年(2025)の米の輸出の実績は4.6万tと、前年比で3%ほどの伸びでした。その前の年の令和6年(2024)を見ますと、2割以上増えているということからしますと、輸出の量自体は鈍化しているというふうに見られると思いますが、このこと自体、大臣のまず受け止め、伺えますでしょうか。
大臣 これまで輸出については順調に伸びてきたところでありますが、ただ、現実この1年間は国内の米の価格がかなり高水準で推移をしたということもあって、輸出をする上でも当然、価格というのは重要でありますから、そうした観点で今の伸び率ということになっているというふうに思っております。
記者 政府の方は令和12年(2030)に、現状の8倍近い35万tの目標を掲げられていると思います。現状、この目標について達成可能かどうか、今、大臣のお考えをお聞かせください。
大臣 私自身も先月、パリのスーパー、そしてベルリンのスーパーにもお邪魔をしてきました。そうした感触から申し上げれば、そういった政府が前面に立って、現地系商流への販路の開拓、これができれば私としては十分達成可能だというふうに考えておりますし、当然、そこに向けて精一杯事業者の皆さんと一緒になって努力をさせていただきたいと思います。
記者 価格の言及ございましたが、今後輸出を伸ばしていくために、米の価格の水準というのはどのようにあるべきか、お考えをお聞かせください。
大臣 米の価格については、基本的にはマーケットの中で決まるべきものでありますから、どの水準がどうこうということは私自身申し上げません。ただ一方で、特に輸出については現地の、今回のスーパーマーケット側の責任者の皆さんとも様々なお話をさせていただきましたが、当然競合している別の国のジャポニカ米というのがあるわけですから、その価格との関係で、私たちの国の米が品質上どうなのかということが問われてくるのだろうというふうに思いますから、そうした観点でそれぞれのマーケットに合わせて、様々な価格帯でしっかりとした商流をできるように努力をさせていただきたいと思います。
(略)
