鈴木憲和農相は3月17日の閣議後定例会見で、昨春の政府備蓄米放出に対し、「一定のニーズを満たすことができたのではないか」とコメントした。
政府備蓄米の放出は、当初「流通の目詰まり解消」を目的としていた(当時の江藤拓農相による〝入札米〟)のに対し、農相の交代に伴い途中から、明確な「価格冷却」(当時の小泉進次郎農相にいよる〝随契米〟)へと切り替わった。この日の会見であがった質問は、随契米の「価格冷却」という目的が適切だったかを訊ねたものだったが、真正面からのコメントを避けた恰好だ。現役の鈴木農相は「米価は市場で決まる。政府は価格にコミットしない」発言を繰り返してきた立場。このため小泉随契米に対する真正面からの批判を避け、「現在は需要を大幅に上回る十分な供給が確保されており、銘柄米、ブレンド米、随契米と、ニーズに合った異なる価格帯の米が店頭に並んでいる」と指摘した上で、冒頭の発言に繋げたものとみられる。
一問一答(3月17日、閣議後定例会見から抜粋)
(略)
記者 先週スタートした社会保障国民会議の実務者会議では、食料品消費税ゼロに関して、農業・漁業関係者等の資金繰りに及ぼす影響も論点として指摘されています。今後のヒアリングでは、農業・漁業関係団体もそのヒアリングの対象候補となっておりまして、課題の詳細については、今後の実務者会議の中で明らかになっていくと見られますけれど、現時点で農水省として、食料品消費税ゼロによる農業・漁業等への影響はどういったものが挙げられますでしょうか。
大臣 農林漁業者は、多くは売上高5,000万円以下の小規模な経営体であります。そのことから、食料品の消費税率ゼロとなった場合、免税事業者や簡易課税事業者として、資材の購入時などに負担をした消費税につきまして、円滑に還付を受けることができるのか、といった声があるというふうに承知をしております。また、課税事業者であったとしても、還付を受けるまでの間の資金繰りをどうするのか、といった声があります。このほか、外食や小売の皆さんからも様々な声をいただいているところであります。ですので、この食料品の消費税率ゼロの実施に向けては、検討すべき諸課題あるというふうに思いますので、社会保障国民会議において、実務者会議を通じて幅広く実情を把握し、解決に向けて議論をしていきたいというふうに考えております。農林水産省としては、食料品の消費税率ゼロに不安をお持ちの農林漁業者や食品関連事業者の方々の意見を一つ一つ丁寧に汲み取っていただき、こうした不安が解消されるよう努めてまいります。
記者 昨年の春からの一連の備蓄米の放出開始から1年となります。途中から政策目的が明確に価格を引き下げるという目的になっていましたが、備蓄米放出の目的自体を適切だったとお考えか、改めてお伺いします。
大臣 備蓄米については、入札と随意契約によりまして、合計約59万トンの備蓄米を主食用として売渡しをしたところであります。その結果、売り渡した備蓄米に加え、令和7年産の生産量が前年産から大きく増加したことも相まって、スーパーの店頭に米が並ばないといった国民の皆様にとって米を入手できないという事態を回避をし、現在は需要を大幅に上回る十分な供給が確保されているというふうに考えております。また、全体の供給量だけではなく、銘柄米、ブレンド米、そしてまた、随意契約の備蓄米といったニーズに合った異なる価格帯の米が店頭にも並び、消費者の選択の幅が広がり、一定の政策効果があったものというふうには考えております。政府備蓄米、これから買戻しも考えていかなければならないというふうに思いますので、米の基本指針に沿いまして、今後の需給状況や販売動向等を見定めた上で、備蓄水準の回復に向けて、総合的に判断をしてまいりたいというふうに考えております。
記者 引き下げという明確な目的自体についてはどうお考えなのでしょうか。
大臣 先ほど申し上げたとおり、ニーズに合った異なる価格帯の米が店頭に並ぶということができたのかなという意味では、一定のニーズを満たすことができたのではないかというふうに考えております。
記者 今、大臣から買戻しのお話ありましたけれども、改めて買戻しの条項というか、仕組みになっていますけれども、昨年の段階で江藤元大臣は、「価格が下がったら常に戻そうと思っている」という答弁を国会でもしていますけれども、もうすでに米の価格少し下げ基調になっていますが、その点を踏まえて、大臣として買戻しのタイミングについてどうお考えでしょうか。
大臣 これについては、備蓄の水準を100万トンまで回復するということが大切かというふうに考えております。そこに向けて買戻しをするということも必要になろうかというふうには思いますが、タイミング等については総合的に判断をさせていただきたいと思っております。
