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施策・政策

鈴木農相「調達コスト上昇した令和7年産米に置換り進行」認識

 鈴木憲和農相は11月18日の閣議後定例会見で、米の「平均小売価格が上昇傾向にある」と認めた上で、その主な要因として、「集荷競争により調達コストが著しく上昇した令和7年産米への置き換わりが進んでいるため」と指摘した。今後は、3か月後に下落するとの米穀機構DIの見方を引き合いに出した上で、「価格はマーケットの中で決まっていくもの。大臣としての立場で申し上げないが、引き続き、需給の安定をしっかりと図ることによって、価格の安定を図ってまいりたい」とした。
 また無関税の主食用米輸入枠(WTO-SBS入札)が過去最速で年間予定数量を完売したことを受けて、「マークアップも全量が上限の(㎏)292円に張り付いており、引き合いの強い状況が続いている」、「高水準のマークアップを支払っても、なお安価な外国産米の輸入が拡大していることについては、しっかりと受け止め」、「国内でしっかりと供給が可能になるよう、需給のバランスも含めて、努力していきたい」とも。

一問一答(11月18日、閣議後定例会見から抜粋)

(略)

 記者 米の価格について伺います。先週金曜日(11月14日)に発表されたKSP-POSでは、5㎏の平均価格が4,316円と、令和4年(2022)の調査開始以来最高値となりました。まずこの数字の受け止めと、要因どのように考えられているのか教えてください。

 大臣 まず、先週14日金曜日に公表した11月3日から11月9日までのスーパー等での米の平均小売価格は、まず、中小スーパーを主に対象とするKSP-POSは81円上昇し4,316円、これ5㎏当たりです。大手量販店を含む日経のPOSデータは1円低下して3,768円。そしてドラッグストア等を含む小売店のパネル調査は116円上昇して4,444円というふうな状態になっております。平均小売価格が上昇傾向にある主な要因としては、集荷競争により調達コストが著しく上昇した(令和)7年産米ですね、新米への置き換わりが進んでいるためとも考えております。なお、先週10日月曜日に米穀機構が公表した10月分の調査結果では、需給は現状でも緩和、指数が42ということで緩和をしているほか、向こう3か月ではさらに緩和するとされているとともに、価格は現状では引き続き高いと見られているが、向こう3か月では低下するとの見方が示されています。いずれにしても価格はマーケットの中で決まっていくものでありますので、大臣としての立場で何か申し上げませんが、引き続き、需給の安定をしっかりと図ることによって、価格の安定を図ってまいりたいと思っております。

(略)

 記者 輸入米についてお伺いしたかったのですが、今年度もSBS、10万tの枠が全量落札となりまして、平均落札価格も過去最高となりましたが、このことに対する受け止めと、引き続き輸入米調達への関心の高さも伺えるかと思いますが、大臣としては国産米の需給の観点からはどのようにご対応されていかれたいか、お願いいたします。

 大臣 まず、先日(11月)14日に実施をした令和7年度の第4回SBS輸入の見積合わせにおきまして、契約予定数量20,004tの全量が落札をされました。これによって本年度のSBS輸入枠の年間枠10万tが全て全量落札されたということになります。昨年も12月に第4回目の入札を実施をいたしましたが、今年はそれよりも時期を前倒しをして行ったため、最速の11月に全量落札になったということになります。マークアップも全量が上限の292円に張り付いており、引き合いの強い状況が続いております。農林水産省としては、国内の米の価格が昨年に比べて上昇するというそういう中で、高水準のマークアップを支払っても、なお安価な外国産米の輸入が拡大しているということについては、しっかりと受け止めさせていただいておりまして、これからそういった皆さんに対しても、国内でしっかりと供給が可能になるように、我々として需給のバランスも含めて、努力をさせていただきたいというふうに思っております。

(略)

 記者 (略)需給見通し、3か月後はだんだん価格帯も下がるような見通しが卸売業者から出たりはしているものの、最高値更新というのはやっぱ生活者にとっては、まだまだ苦しい生活が続いてしまうというイメージなんです。価格にコミットしないという発信を大臣が繰り返すのは分かるのですけれども、やはりなかなか、大臣がそれを言うことで、やっぱり下がらないのかなという懸念を持たれかねないような気がするのですけれど、その点はやはり価格に関しては、今後、消費者にとって向き合いやすい価格帯が望ましいとか、そういうことは発言としては言えないでしょうか。

 大臣 (略)米の価格が、今、望月さんいろいろ予測も含めておっしゃっていただいたんだというふうに思いますが、私としては、何が一番今やらなければならないと思っているかと言えば、来年の、これから生産現場、生産来年どうしようかという話を検討する段階にありますから、まずしっかりとした需給見通しをお示しをして、そしてどういう生産であれば全体としての需給の安定と価格の安定が図られるのか、こういったことを現場の皆さんとはまずしっかりと共有させていただくということが一つと、もう一つは今すぐに、要はなかなかスーパーに行っても、今の価格だと手が届かない、もしくは買う量を減らしているという皆様に対して、やっぱりお答えをしていく必要があろうかと思っております。ですから、今総理から指示のあった物価高対策、この中で重点支援(地方)交付金、これを活用させていただいて、食料品の高騰対策ということでやらせていただければと思っております。

 記者 それは今、食品に関しては特別枠を作ると出ていますけれども、お米券の配布とかが1個になり得る。だけれども、本当に困っている現場に直接渡すにはどうしたらいいかと。こないだ大臣、回答で備蓄米の放出みたいなことをおっしゃっていましたっけ。

 大臣 こども食堂とかフードバンクに関しては。

 記者 そこは等しくお米券を配布すると、本当に困っているところにきちんと行くのかという指摘はありますけれども、それはそういう、先週言ったようなやり方で対応したいということですか。

 大臣 基本的には、米の値段が今の状態だとなかなか手が届かないという皆さんが買える状態を作るというのがまず基本かと思います。これは今申し上げた経済対策の中で、物価高対策の中でやらせていただくことです。それともう1点は、現物としてやっぱりフードバンクの皆さんやこども食堂の皆さんで、なかなか現状として、もし「ない」ということであれば、引き続き、それは備蓄米の枠がありますから、そういうところで、これまでもこれは対応させていただいておりましたけれども、そのことについては引き続き、当然やらせていただくということです。

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