鈴木憲和農相は11月21日の閣議後定例会見で、令和7年産米の相対取引価格が上昇している要因として、「かねてからの不足感から、集荷競争により集荷の価格が著しく上昇したことが原因」、「その上で、集荷業者と卸売業者との間で、これを反映した価格での取引が10月も継続していたもの」との認識を示した。鈴木農相はまた、「価格はマーケットの中で決まっていくもの。引き続き、需給の安定を通じて、結果として価格の安定が図られるよう、努力していく」との姿勢を繰り返している。
一問一答(11月21日、閣議後定例会見から抜粋)
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記者 私から3点お願いします。1点目の米の相対価格についてです。相対価格は今回、過去最高を更新しました。米の供給量が大きく増えるという見通しの中で、取引を前倒す動きが過去最高の価格の一因との見方もあるのですが、大臣としては、供給量が大きく増える見通しの中で高止まりしているという理由をどう考えているのでしょうか。
大臣 まず、令和7年産米の10月の相対取引価格が、60㎏当たり37,058円と、前の月と比べまして163円の上昇となりました。これについては、7年産米の新米について、かねてからの、これは集荷をするときのそれ以前からのということになりますが、かねてからの不足感から、集荷競争により集荷の価格が著しく上昇したことが原因というふうに考えております。その上で、集荷業者と卸売業者との間で、これを反映した価格での取引が10月も継続していたものと受けとめております。ただ一方で、先週10日月曜日に、米穀機構が公表した10月分の調査結果では、需給は現状でも緩和をしているほか、向こう3か月では更に緩和するとされているとともに、価格についても現状では引き続き高いと見られているが、向こう3か月では低下するとの見方が示されているものであります。いずれにしても価格はマーケットの中で決まっていくものであり、引き続き、私としては、需給の安定を通じて、結果として価格の安定が図られるよう、努力をさせていただきたいと思います。
記者 2点目です。朝日新聞さんのインタビューで、石破前総理が米について言及されていて、例えば石破前総理は米について「余裕を持った生産をした上で米価を下げて、その上で所得を保障する政策に変更するべき」ですとか、あるいは需要に応じた生産という考え方については、「莫大な税金を使って米の価格を維持する生産調整は正しくない」というような回答をされていましたが、特にこの2点について、鈴木大臣はどうお考えでしょうか。
大臣 まずは、石破前首相のインタビュー記事、私も拝見をさせていただきました。それぞれ様々な考えがあるということでありますから、そのことについて、私の立場からコメント、今のご質問についてコメントすることはありません。
記者 3点目です。畑作物のゲタ対策についてなのですけれども、2026年産から単価の改定となる中で議論が進んでいると思いますけれども、そもそもこの生産コストが近年かさんでいる中で、現場から算定方式自体がちょっと実態に即していないんじゃないかという声もありますが、令和9年度(2027)からの水田政策とも少し絡むと思いますが、大臣としてどういうふうな方向性で、今回の改定ですとか、中長期的な単価設定の考え方、どうお考えでしょうか。
大臣 まず、畑作物の直接支払交付金、ゲタ対策は、農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律、担い手経営安定法に基づき、標準的な生産費と標準的な販売価格との差額の補填を図ることを旨として、交付単価を定めるというふうに、法律上そういうふうに書かれているところであります。現在、この2026年産からの単価改定の検討を進めておりますが、確かに今おっしゃっていただいたように生産現場の皆さんからは、足元の物価高騰による生産費の上昇をしっかりとこれは加味をして欲しいといった声や、意欲ある生産者を後押しするような対策を措置して欲しいといった、そういうお声が大変多くお聞きをしております。こうした声に私たちとしてもでき得る限り応えられるように、関連対策を含めた必要な措置について、今まさに検討を進めているところであります。
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記者 経済対策についてお伺いします。お米券などによる食料品支援枠を設けることが盛り込まれることについて、1点目が、これを大臣としてどう受けとめているか、また2点目が、事務コストが高いとか米の価格が高値で推移するという懸念を示す専門家もいますが、こうした指摘についてはどのようにお考えか、お願いします。
大臣 まず今日、経済対策を閣議決定をすることになります。まず経済対策については、農林水産分野に関し、1点目は、この物価高対応として、「重点支援地方交付金」を通じた、お米券をはじめとする食料品の物価高騰に対する支援、これが含まれております。そして2点目は、食料安全保障の確立に向けて、農業構造転換の推進、農林水産物・食品の輸出拡大、力強い林業、そして水産業の強靱化などに関する施策が盛り込まれる予定になります。その施策の実現のために、補正予算が編成されることとなっているので、引き続きしっかりと対応させていただきたいと思っております。その上で、お米券の配布は、私といたしましては、今の価格では思うようにお米を買えないといった方々に対して、少しでも心置きなく必要な量、十分な量ご購入いただけるということを、それによって期待をしているところであります。その上で、中長期的には米の需要の安定が図られ、結果として米の価格が安定をしていくということが重要と考えております。事務コストやこの負担感については、各自治体においてできる限り負担感なく、やりやすいやり方で、そしてスピーディーに、やはり届くようにやっていただければというふうに考えておりますし、農林水産省としても様々なご指摘、当然あるところでありますから、自治体の皆様にも円滑にこういったことが、お米券に限らず食品バウチャーでやるところもあれば、ポイントを使うというところもあると思います。それぞれのやり方で、何かご相談に乗ることがあればしっかりと乗ってまいりたいと思いますし、様々な事例というのを、しっかり全国の皆さんにも共有させていただきたいというふうに思っております。
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