鈴木憲和農相は2月20日の閣議後定例会見で、例年に比べ遅れている令和8年産政府備蓄米買入入札の実施時期をめぐって「適切な時期」に実施するとの考え方を繰り返した。
一問一答(2月20日、閣議後定例会見から抜粋)
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記者 第二次高市内閣で再任された際に、首相からあった指示について伺います。首相の指示書には「米の安定供給に向けて、必要な取組を推進する」とありますが、大臣の考える安定供給とはどういった内容でしょうか、教えてください。また併せて、米の需要拡大に対する大臣の決意も伺います。大臣は米政策の原則に、需要に応じた生産を掲げ、増産には需要を先に作っていく必要性をおっしゃっていますが、昨年12月の国会では「我々政府として需要を拡大していくということに責任を持ちたい」と答弁されています。改めて大臣の覚悟とその責任の意味や取り方について、どのようにお考えになっているのかお聞かせください。
大臣 総理指示の中でもありました、米の安定供給について申し上げます。米の安定供給につきましては、まずスーパーの店頭に米が並ばないといった、国民の皆様が米を入手できない事態を生じさせないということが第一かというふうに思います。それと同時に、生産者の再生産・再投資が可能で、かつ消費者にもご理解が得られるような価格水準の下で、米が持続的に供給されている状態とすることが重要だというふうに考えております。今後、米の安定供給を一層確実なものとするために、今国会では、食糧法の改正を検討しているところであります。流通構造の透明性確保のための実態把握の強化や、政府備蓄を補完する民間備蓄制度の創設などを進めてまいりたいというふうに考えております。
また、米の需要拡大について申し上げます。私自身何度も申し上げておりますが、政府自らが需要拡大に向けてギアを上げて取り組んでいくことが重要というふうに考えております。先月、フランスそしてドイツへ出張した際にも、現地のスーパーマーケット、そして百貨店を訪問させていただきまして、日本産米を始めとする日本産食材の輸出拡大、この取扱いの可能性や条件等について議論をさせていただきました。加えて、昨年12月に日本の農林水産行政の戦略本部を設置をしまして、攻めの分野の一つである米の需要創造WGにおいて、輸出や米粉といった新たな需要を開拓していくとともに、国産米が外国産米から市場を奪還するため、どのような方策を取り得るかということについて、検討を進めているところであります。こうした取組を通じまして、新規需要の開拓や輸出の拡大に取り組み、米生産の持続可能性を担保させていただきまして、結果として国民の皆様への安定供給ということにつなげてまいりたいというふうに考えております。
記者 指示書で高市首相から「総務大臣をはじめ関係大臣と協力して、人口急減地域への支援を強化する」ということが求められたと思います。先日の再任後のぶら下がり取材でも少し触れられておりましたが、具体的にどういった支援を大臣はお考えになっているのでしょうか。
大臣 総理から、総務大臣をはじめ関係大臣と協力をして、人口急減地域への支援を強化するようご指示をいただきました。特に農山漁村では、人口減少、高齢化が都市部に先行して進行しております。将来にわたって営農して稼ぎ、暮らしていける農林水産行政、これを展開することが重要だというふうに考えております。このため、高収益作物の導入や、全国各地の多様性に富んだ地域資源を活用した付加価値の創出など、現場主義で地域ごとのオーダーメイドの取組の後押しを進めていくことが効果的であるというふうに考えております。また、これらの取組については農林水産省だけではありませんで、各府省庁の地域の振興に関する施策を総動員して進めることが重要であるというふうに考えておりますので、林(総務)大臣ともしっかりと連携を取らせていただいて、今後より一層強化をしていきたいというふうに思います。なお、我々の施策として、特に中山間地域、条件が不利と言われる場所での営農について下支えをするという意味で大きい施策であると考えておりますのは、中山間(地域等直接)支払そして日本型直接支払、これが大きいかというふうに思っております。今、WGを作って現場の方に、私自身も先日は、静岡県の中々条件の厳しいお茶畑にお邪魔をさせていただいて、現場でどのぐらい踏ん張っていただいているか、そして、更なる支援の必要があればどの水準であるべきか、ということについて現場でそれぞれの皆さんと意見交換を重ねているところであります。そうした結果をもって、中山間地域の農業がこれ以上厳しい状況に追い込まれないように、施策の見直しを進めてまいりたいというふうに考えております。
記者 先日、会計検査院が、多面的機能支払交付金と中山間地域等直接支払交付金について、一部で対象農地が宅地や駐車場に転用されていたことなどから、不適切な交付事例が多くあったとして、大臣に対して是正と改善を求めています。その受け止めと、今後農水省としてこうした不正が全国で行われていないかどうか調査をするお考えはないか、今の時点のお考えをお聞かせください。
大臣 会計検査院が多面的機能支払交付金及び中山間地域等直接支払交付金について、17道県、440市町村内の1,942事業主体の交付金事業を対象に検査を行った結果、対象農用地が宅地や駐車場等に転用されている、又は保全管理等が適切に行われていない事態、そして田んぼの交付単価により交付された対象農用地に、実際には畦畔がなく全く田ではないという状態になっていると。要は畑になっていたり、もしくはビニールハウスのようなものが建てられていたりといった、田の要件を満たしていない事態などの不適切な事態が確認をされ、16日に是正などの処置要求を受けました。農林水産省としては、今回のこの会計検査院からの処置要求については、私自身も大変重く受け止めさせていただいております。該当する市町村に対して、過大に交付された交付金の返還手続きを行うよう求めるとともに、この両制度に取り組む全ての市町村に対して、現地確認を適切に実施することなどを、十分に周知徹底してまいりたいというふうに考えております。
私自身の今、中での内々の検討とも問題意識、かぶるのでありますが、現実問題として市町村の自治体の職員の皆さんも、かなり業務的には手一杯だという現実があるというふうに考えております。我々の行っている中山間(地域等直接)支払にしても多面(的機能)支払にしても、今後は、今現状でいえば水活の経営安定対策、様々なものについて現場の自治体の皆さんには大変なご苦労をおかけしておりますので、そのご苦労が今後、行政のマンパワー厳しくなる中においても持続可能になる形は何か、例えばですけれども、衛星写真を利用した確認の仕方であったり、そうした新しいやり方も含めて、現実的に我々の施策がしっかり現場でこういう会検からの重い指摘、今後は受けることなく、どのように適正に運営されていくかという観点でも、今後検討させていただきたいというふうに思っております。
また、農林水産省としては、今般の処置要求を重く受け止めておりまして、会計検査院が検査をした1,942事業主体以外の約4万事業主体について、今後、市町村を通じて確認を行うこととしております。その実施にあたっては市町村とも十分調整を行う必要がありますが、できる限り円滑に確認が進められていくよう取り組んでまいります。
記者 米についてお伺いします。連立与党の日本維新の会は、衆院選の公約で生産増を明記していました。今、幹事社の質問にもご回答ありましたが、需要に応じた生産で需要拡大に向けてギアを上げるとのことですが、この維新が掲げる生産増とはどのように足並みを揃えていかれるか、お考えをお聞かせください。
大臣 閣僚として、公党の公約についてコメントすることは差し控えさせていただきますが、その上で申し上げますと、農林水産省としては、新規需要の開拓や輸出の増大に取り組むと同時に、昨年4月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画のとおり、2030年までに818万トンまでの米の生産を増大するという目標を掲げておりまして、その達成に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。
記者 輸出と生産増を並行してやっていくというような認識でよろしいでしょうか。
大臣 輸出や、あと米粉ですね。まだまだ需要というのは大きくなる余地があると思っておりますし、同時に現状では、主食用についても、特に業務用中心に海外からのお米の輸入が昨年来進んでまいりましたので、そうしたものをシェアをいかに奪還するかという観点も大事かというふうに思っております。
記者 備蓄米の関係で1点お伺いします。本年産の米で21万tの買入れを現状検討されていると思うのですけれども、まだ買入れが行われていない現状についてどういうふうに大臣考えていらっしゃるかということと、その理由についてお伺いできないでしょうか。
大臣 政府備蓄米の買入れにつきましては、例年は1月以降、数回程度の入札を実施をしてきているところであります。令和8年産米の入札については、現在、産地における備蓄米の取組の状況などを伺いながら検討を進めさせていただいておりまして、適切な時期に買入れを行えるよう、引き続き準備を進めてまいりたいと思います。また、今後の入札の手続につきましては、公平性を期すために公告をもってお知らせをすることとしております。いずれにしても、今備蓄の水準が、現状としていざというときの備蓄にもかかわらず、かなり放出をして、もうないという状況になっておりますから、この回復に向けて、適切に判断をさせていただきたいと思います。
記者 今まで出ていたお米の需要拡大、ギアを上げるという表現を大臣使われていますが、つまりどういうことなのか。今までとおそらく違う取組をするということのようにも聞こえるのですけれども、一般的にビジネスの経験がない人が大半、政府とか行政は大半なので、需要を拡大するノウハウというのはそんなにないと思うのですけれども、政府で需要拡大するという取組ですぐに思い浮かぶのが規制緩和だと思うのですが、何か規制緩和の対象みたいなものを想定されているのかというのが1つと、それから需要拡大に向けて、農水省では今まであまり取り組まれていないと思うのですが、民間からの人材登用みたいなことも考えていらっしゃるのかというのもあわせて教えてください。
大臣 輸出の拡大に向けた規制緩和というのは、どういったご提案がありますか。
記者 需要拡大です。例えば国内需要とかで、例えば通信だったら携帯電話なんか典型ですよね、規制が。つまり公的だった通信が民間に開放されて需要が出たというのは、そういう意味で、私は主に国内のことを想定していたのですけれども。
大臣 国内について、何か今もし規制があって、これが米の需要拡大の妨げになっていることがもし万が一あるのであれば、逆にご教示いただければ当然、検討させていただきたいというふうに思いますが、今すぐに今のご質問に対して私が、何かこの規制があるから需要が拡大をしないという何かが、現状ですぐは思いつきません。また民間人材、これは特に海外の輸出先をいかに確保するか、そしてそれをしっかりとしたその商流に結びつけていくかということが大事かというふうに思っています。現地に今、輸出支援プラットフォームありますし、そこにはアドバイザーとしてかなり現地に顔の利く民間のアドバイザーの方をたくさんお願いをしているところでありますが、ただ一方で、私自身も先日、フランス出張させていただいて感じたことは、かなり大きい現地系の小売になりますと、そもそも会ってくれないと。話し合いに乗る一歩目が踏み出せないというところは、やはり私を含めて政務三役が行くことによって、まずは会ってくれる、話の土台に乗ってくれる、土壌に乗ってくれるということは大きい一歩だと思いますから、その積み重ねを行っただけではなくて、結果としておそらくいきなり日本米に変えましょうとか、日本米扱えますという話には当然なりませんから、フランスでも思いましたけれども、まずはトライアルからどうですかという話からスタートして、それで数年スパンで大きいマーケットの獲得につなげていくということを、私たちとしては、これは政府が前面に立って努力させていただきたいと思っています。
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記者 お米について伺いたいのですけれども、先日発表されました相対取引価格が、3か月連続の下落ということになりました。一方で、店頭の価格というのはまだ高止まりのままというところで、これについて大臣の受け止めと今後の考えについて伺えたらと思います。
大臣 17日火曜日に公表しました、令和7年産米の1月の相対取引価格が60㎏あたり35,465円、これは3か月連続での下落となりまして、前の月と比べても610円の低下ということになります。3か月連続で価格を下げたのは、令和5年8月以来、2年5か月ぶりということになっております。今後、これがいかに店頭価格に反映をされるかということについてですが、最終的には何度も申し上げておりますが、価格はマーケットの中でそれぞれの小売の皆さんも、どのように値付けをするか、そうした判断の中で決まっていくために、予断を持って申し上げることはできませんが、ただ、米穀機構のDI調査の結果も見ますと、米の取引関係者は、現状の価格水準は高いと認識している一方で、今後価格水準が低下すると見通している傾向が続いていることというふうに、このことに留意をさせていただいて、引き続き需給と価格の動向をしっかりと注視をしてまいりたいというふうに思います。私自身も時々スーパーの店頭お邪魔をさせていただいておりますし、この選挙中も応援に行った先々の、時間があれば、近くのスーパーで実際にどのぐらいの価格でどういう銘柄が、もしくはブレンド米が並んでいるのかということも拝見をさせていただいております。
