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施策・政策

江藤拓農相、政府米100万t在庫「増枠」を示唆?

 江藤拓農相は3月7日の閣議後定例会見で、新米を買い急ぐ消費行動に対して「ぜひ不安にならないでいただきたい」と呼びかけた。このなかで、今年の出来秋(新米の出来)は分からないものの、「昨年の生産量と今の民間在庫量を合わせれば、そんなに買い急がなければいけない状況ではない」とした上で、「我々の情報発信が不十分なのかな」と〝反省〟も。また計21万tの政府米を放出しても価格が落ち着かなかった場合の対応を訊かれ、「ここでは申し上げない」としながらも、「チキンレース」という物騒な表現を持ち出して、政府米〝適正在庫〟100万tの増枠を滲ませている。財務省からはむしろ減枠を求められている。

一問一答(3月7日、閣議後定例会見から抜粋)

 記者 米について、入札の手続きも始まっていますが、まだ価格への影響等は見られていないと思います。価格の高騰が続いている状況の中で、消費者が今後の米の入手に不安を覚えて、今年の新米(令和7年産米)についても、買い急ぐような動きが取材の中で見られています。直販サイトや生産者の中でも、今年の新米が既に販売を終了する例も見られています。このような買い急ぎなどの動きについて、考え、受け止めと対応をお願いします。

 大臣 昨日の(参議院予算)委員会でも答弁させていただきましたが、生産量は18万トン余計に作っている。在庫も合わせると100万トン以上の余裕があるわけです。そういう状況を見ると、我々の情報発信が不十分なのかなと思います。米の生産量に現在の在庫量を合わせたものが、米の消費者の方々に対する供給量です。これを見ていただければ、全く不安視する必要はないと固く信じています。しかし、主食である米ですから、ご家庭を守ってらっしゃる主婦の皆様は、お米がなくなったら困るから、早めに手当をしておこうという気持ちになることはわかります。あまりにも今が高い。スーパーに行けば、値札にシールが貼られるのを待つ方々もいるのが現実です。そういう気持ちはわかりますが、ぜひ不安にならないでいただきたい。今年の出来秋はわかりません。もちろん冷害が起こるかもしれないし、酷暑で精米した時の歩留まりが下がるかもしれません。それは自然のことだからわかりません。ただ、昨年の生産量と今の民間在庫量を合わせれば、そんなに買い急がなければいけない状況ではないことは、あらゆる機会で、消費者の皆様にお伝えしなければならない。そういう動きが表面化したということであれば、我々の努力も足りないのではないかと思います。

 記者 米について、スーパーでの小売価格の上昇がまだ続いており、業者の買い付け競争も、早くも始まっているという話もあります。今後の対応について、先日の会見で放出量の拡大も検討するという話でしたが、どういう状況を見て、検討、判断をするのか。今後もずっと価格が下がらなかった場合は、備蓄米の放出という方法での対応になるのか、それ以外で何か対応策を考えるのか、このあたりをお願いします。

 大臣 備蓄米の放出以外の方策ですが、なかなか難しいです。民間の取引ですから。その小売の方々に無理繰り下げて、例えばガソリンのように、元売りにお金を入れるという話ではありません。あまりにも枝が広過ぎ、なかなか現実的ではない。放出するにしても、(政府備蓄米の在庫量は)91万トンで、そこから21万トン出すと、70万トンしか残らない。いずれはタマが尽きる。マーケットを見ている人たちは、いずれチキンレースみたいな感じで粘れば、政府も全部は出せないだろうと。備蓄米は緊急事態に備えるための米ですからと。宮崎弁で言うと、「出し切らんやろう」という読みをするのではないかと思う。私はいろんなことを考えます。 一方で、備蓄米の量が極端に減ることについて、国民がどう評価するのか。備蓄米は食糧法の中で、国民の皆様に不安を与えないよう、不測の事態に備えるための米だとはっきり書いてあるわけです。それが、例えば在庫20万トンしかありません、10万トンしかありませんという状況を、農水省として是とするのかと言われれば、それは正しくないと思います。ここでは申し上げませんが、総量については、いろんなことを考えています。また大きく報道されますから言いませんが、備蓄米の本来の趣旨である不測の事態に備える一定の水準を保ちながら、国民の皆様方が苦しんでいる流通の混乱を収めるために、21万トン出すことを決めたわけです。これで政策効果がないからやめると、21万トン出した意味がないということになりますので、当然追加はしますが、どこまで減らせるのか、どこまで出せるのかは、私自身も一生懸命、水準をどう保つか考えています。いずれ6万トンを出しますので、その後の価格の変動等を見ながら、追加を機動的に考えますが、その先の放出になったら、新たな方策を、皆様の前で発表する機会があるかもしれません。今日の段階では、まだ私の頭の中にあるとご理解いただければと思います。

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