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調査統計

令和6年産米の農産物検査証明「妥当でない」2年連続

 米穀販売業者の全国団体である全米販(全国米穀販売事業共済協同組合)はこのほど、農産物検査の「令和6年産米の検査証明の内容等に関するアンケート」集計結果を明らかにした(3月6日)。それによると、格付が「妥当でない」事例が2年連続で登場。また令和元年産から令和3年産の間は皆無だった異品種混入事例が、3年連続で登場している。
 農産物検査制度は、登録農産物検査員(主に農協職員)が品位と銘柄を確認することで、「検査証明書」を発行する仕組み。アンケートは検査玉を受け取る側として、「検査証明書」に不備があったか否かを問うているもの。ただし調査は、昨年11月29日~12月11日に実施したもので、回答数は67組合員(前年67組合員)。それから約3か月後、令和6年産米の出回りも後半戦に入ったこの時期に調査結果を公表したのでは、さしたる牽制材料とはなり得ない。

 検査証明欄の不備(複数回答可)は、言わばケアレスミスで、毎年一定数生じる。数値的にも、さしたる変化はない。

 農産物検査を受検することで、品種銘柄名の表示を自動的に担保できる。だから異品種混入は、あってはならないこと。にもかかわらず「異品種混入があった」とする回答が、3年連続で2件にのぼったことは、由々しき事態と言える。ちなみに農産物検査での銘柄確認は、「目視」によってなされる。しかし「異品種混入があった」とする回答の根拠はDNA鑑定なので、事態はより深刻と言える。

 品位検査では、主に整粒歩合によって1等、2等、3等、規格外に「格付」される。したがって等級は決して品質の善し悪しを表すものではないのだが、等級が下がれば下がるほど整粒歩合が下がる、つまり実質仕入単価が増嵩してしまうため、検査玉を受け取る側としては死活問題だ。だから「品位検査における格付結果」が「妥当でない」事例が2年連続したのは大問題ではあるのだが、この「格付の甘さ」は、比較的その年の気候に左右される傾向がある。令和5年産、6年産と、猛暑による作柄不良(高温障害)が2年連続した点と無関係ではあるまい。

 上記の「妥当でない」理由(複数回答可)は、何しろ母数が少ない(2件)ので参考程度に捉えるべきだが、それにしても2年連続で「心白・腹白の混入が多い」が多かった点は、上記の高温障害2年連続とシンメトリーの関係にあると言える。

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