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施策・政策

農業法人協会が政策提言「公平な米の集荷競争」求める

 (公社)日本農業法人協会(東京都千代田区)は、3月13日に公表した政策提言のなかで、公平な米の集荷競争の促進を求めた。

 提言書は、毎年この時期に公表しているものだが、今年はひと味ちがうものとなった。そのなかの一つが、この箇所だ。
 ――米の取引について、集荷業者・団体に対する「無条件委託販売」から「買取販売」へのさらなる転換の推進や、インボイス制度の農協等特例の見直し
 まず「集荷業者・団体」とは、主に農協のことを指している。米は年1作の作物だから、集荷する価格は同じでも、販売価格は時期によって異なる。この販売価格をそのまま農家の収入に反映させると、農業〝協同組合〟の公平・公正が保たれない。そこで通年の平均販売価格を加重平均し、手数料を差し引いて組合員農家へ公平に配分する。ただし、これが成立するには、その年産の米を全量売り切ることが絶対条件となる。だから集荷の際、一時金にあたる概算金(仮渡金)を支払い、全量を売り切ってから差額を分配する。つまり農協は、集荷した段階では販売を委託されているに過ぎない。実際に現物が動く段になって、初めて所有権が移転する。これが「無条件委託販売」だ。この手法を採っている限り、農協は価格的なリスクを負わなくて済むし、価格決定権を手に出来る。そうではなく「買取販売」、つまり一時金ではなく一発回答で集荷させろと求めているわけだ。加えて委託販売だと、売り手(農家)のインボイス交付義務を免除し、仲介する集荷業者が買い手(販売先)にインボイスを交付する「農協等特例」がある。これが集荷競争に有利に働くと言われている。総じて今回の提言は、公平な集荷競争の促進を求めていることになる。

 また国に対し、飼料用米の取組みの継続を求めた。近視眼的には主食用米の〝不足〟が叫ばれるなか、飼料用米への政策的な誘導は批判が多いが、「畜産農家をはじめとする実需者のニーズが高い」ことを理由に、継続を要求したもの。
 国の水田政策は一貫して、需要が減り続ける主食用米ではなく他作物に作付を誘導する歴史を辿ってきた。誘導先は当初、麦や大豆だったが、これに限界感が出てきたところで登場したのが「米粉」や「飼料用米」。つまり同じ米を作付けても、主食用ではなく他の用途に向ける方策だ。主食用米との差額を補助金で埋めなければならないため、莫大な財源が批判のもとになっているが、それでも畜産側のニーズがあるのは事実。
 法人協会は提言書のなかで、「地目ではなく品質や収量に応じてインセンティブを与える政策の長期的な実行」を求めている。何を言っているのかというと、国は主食用米から他作物へ誘導するあまり、田から畑への転換を進めている。これが〝地目〟の部分。水田か畑かではなく、あくまで作付ける作物の品質や収量に応じたインセンティブ(この場合は助成単価)を求めているわけだ。飼料用米は、この後の但し書き以降に登場する。「実需者と結びついている飼料用米については、畜産農家をはじめとする実需者のニーズが高いことから、食料安全保障及び耕畜連携の推進の観点からも、引き続き取り組みを推進すること」。

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