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籾殻からセルロース抽出・販売へ、ヤマタネら3者協定

 米穀販売業者の㈱ヤマタネ(東京都江東区)は4月16日、新みやぎ農協(宮城県栗原市)、トレ食㈱(福島県南相馬市)との3者間で、「未利用バイオマスの有効活用に関する協定」を締結したと発表した。これに先立ちヤマタネは、トレ食への出資を決定。新みやぎ農協管内に設置するトレ食製の装置で籾殻から抽出するセルロースを販売する事業を手がける。
 新みやぎ農協は令和元年(2019)7月、宮城県北部の5農協が合併して誕生した。合併前からヤマタネとはパートナー産地の関係にある。トレ食は、平成30年(2018)設立、資本金2億7,520万円。籾殻を中心とする未利用バイオマスから薬剤を使用せずにセルロースを抽出する技術を備えている。
 「国内では、米の生産量の2割にあたる約150万tの籾殻が排出されていると推定され」ており、この大量の「籾殻処理にあたっては廃棄コストや環境への負荷が大きく、多くの産地で課題となっている」という。このため今回の協定に基づき、ヤマタネは事業の運営主体を担い、トレ食は装置開発・保守を担当、新みやぎ農協は籾殻などの未使用バイオマスの供給や検証・支援を行っていく。また将来的には籾殻セルロース抽出にとどまらず、以下の展開をめざすとしている。
 ・多様な未利用バイオマスへの展開……事業初期段階では籾殻の再利用に向けて事業を開始するものの、将来的にはその他の未利用バイオマスへの技術適用を検討し、日本の農業が抱える未利用バイオマス処理課題に包括的なソリューションを提供することをめざす。
 ・高付加価値材料への加工……CNF(セルロースナノファイバー)への加工、生分解性プラスチックの代替材料、先端的な複合材料開発など、様々な可能性を追及していく。
 ・農業生態系の循環型モデル構築……セルロース抽出後の残液を自然由来の農薬として再利用し、環境負荷の低い農業生態系の実現に貢献していく。
 ・再生可能エネルギーへの展開……バイオマス燃料としての活用を検討し、農業と再生可能エネルギーの融合モデルの構築をめざす。

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