山形県は4月25日、令和9年産デビューをめざす県オリジナル水稲新品種「山形142号」の名称を「ゆきまんてん」に決めたと発表した。今年2月5日から名称募集していた(既報)もので、「3千件を超える応募」のなかから決定。県によると「雪のように白く、美味しさ満点、笑顔満天のお米」になってほしいとの思意を込めたとしている。
新品種「ゆきまんてん」は、県農業総合研究センター水田農業試験場が「山形112号」(雪若丸)と早生系の「山形122号」を交配した中生の主食うるち。平成24年(2012)育成開始、平成30年(2018)に種子配布を開始している。
同じく県オリジナル品種である「はえぬき」に比べ、草丈が長く、出穂期や成熟期はほぼ同じ(中生の晩)だが、粒が大きく、反収も1割ほど多い。また粒の白度が高く、食味評価も「はえぬき」を上回る。
高温耐性は、9段階の上から4番目「やや強」で、これまた県オリジナル品種である「つや姫」や「雪若丸」並み。「中」の「はえぬき」より暑さに強い。猛暑によって全国的に歩留まりが低下した令和5年産で、「つや姫」や「雪若丸」は高い歩留まりを維持したが、県の作付シェア6割を占める「はえぬき」は大きな打撃を受けた。このため生産現場から、高温耐性品種が求められていた。
県では「ゆきまんてん」の位置づけを、「つや姫」や「雪若丸」のような高級ブランドではなく、「はえぬき」のような業務用向けを想定。反収の高さが生産コスト抑制にも繋がることから、輸出用米としての利用も見込んでいるものの、「市場から受け容れられるかどうかは未知数。棲み分けや『はえぬき』からの切り替えも含め、今年度検討を進める」(県農林水産部)としている。
ただ、ブランド化のため「つや姫」や「雪若丸」で設けた生産者認定制度は、現段階で想定していない。同じ県オリジナル品種でも、「はえぬき」のように、幅広く生産できる方向だ。
その名は「ゆきまんてん」、山形米独自品種R9登場へ
