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調査統計需給

令和7年産主食用米生産量、+5.9%の719万tの見通し

 農林水産省は5月23日、今年4月末現在の生産者の作付意向として、令和7年産主食用米の作付面積が前年比+5.8万haの131万7千haにのぼることを明らかにした。そのまま平年単収を当てはめると、令和7年産の主食用米生産量は+39万8千t(+5.9%)の719万tとなる勘定だ。いずれも1月末現在の作付意向(既報)からは大幅な上方修正となった。再び過剰時代に逆行するか、それとも需要が衰えないかは、ひとえに価格次第になる。

一問一答(5月23日、閣議後定例会見から抜粋)

 大臣 おはようございます。本日、私から2点、ご報告があります。(略)2点目は、水田における4月末時点作付意向についてです。本年4月末時点の、水田における作付意向が取りまとまり、(令和)7年産の主食用米は、買入を当面中止している備蓄米と合わせ、133万4千ha。昨年から40万t増の719万tが主食用に回る見込みです。この133万4千haは、過去5年間で最大の生産面積となる見込みであるとともに、主食用米の生産量の調査を開始した平成16年産以降、最大の増加となります。作付意向の詳細についても、プレスリリースをこの後いたしますが、このような見通しが出たことによって、この秋以降の米というのは、これだけ多く出てくると。そういったことも世の中に受け止めていただくというのも、これからの備蓄米の放出も含めて、効果的に、世の中にもちゃんと正確に伝えていきたいなというふうに思っております。(略)

 記者 備蓄米の入札の停止も発表されて、新たな随意契約の検討を進めていらっしゃると思いますが、昨日の江藤前大臣から引き継ぎでは、米の価格高騰対策についてどのような言葉があったのでしょうか。また、先ほどのテレビ番組出演では、2,000円台で店頭に並ぶようにする旨のご発言もありました。現状の検討状況をお聞かせいただければと思います。

 大臣 江藤大臣からは、大変温かく、大臣はあなたなんだから、あなたらしくやればいい、そういう言葉をいただきました。そして2点目の、先ほど民放の番組で2,000円台というふうに申し上げましたけども、財務省ともこの会計法の趣旨、そういったことについても話を聞きまして、最終的に農水省として判断をしてこの価格でという形でやるということを、これは理解も得られました。これは最終的にもちろん農水省の判断、責任を持ってやってまいりますが、2,000円台で店頭に並ぶような、そういった形で、随意契約で出していく。こういったことが今、現時点での基本的な方向性です。最終的にセットして、時期としては、随意契約の手続きは来週早々にも始めていく方向で、今、農産局に頑張ってもらっていますので、先ほどテレビ番組でも申し上げましたとおり、その随意契約に参加をいただける事業者の方の努力にもお願いをしなければいけませんが、早ければ6月の頭には、棚に2,000円台の今回の備蓄米、これが並んでいるという姿を、実現できるという可能性が出てきたということです。

(略)

 記者 先ほどの備蓄米の随意契約のことについて確認で伺います。早ければ6月頭から「2,000円台で棚に並ぶように出したい」とおっしゃいますが、随意契約の場合、狙ったところに出しやすいというのがある一方で、基準や透明性の確保などで、一つ一つの契約に手間はそれなりにかかると思います。結果的に全国に2,000円台で行き渡るのが遅れるんじゃないか、入札で大きな卸売業者、集荷業者に頼ったほうが早いんじゃないかという見方もあると思いますが、そこはどう考えているか教えてください。

 大臣 これは、全国であまねくそのような形になるのには、一定の時間がかかるというのは、おっしゃるとおりだと思います。ただ、今速やかに、スピード感を持って、まずは2,000円台で備蓄米が並んでいるということを実現していくことが、結果として全国の、あまりにも今高い米の価格を抑制することをもって、農家の皆さんが大変不安に思っている国産米離れ、この米離れを防いでいきたいと、そこを考えています。なので、日本的に、全員のところに行き届かないうちは、本当だったら局所的には配れるのに配らないみたいなことは、私は今回はやりません。スピード感を持って、たとえ全国にまだ届いていないとしても、早く届けられるところには、2,000円台で届けていく。こういったことについては、これも含めて政治判断ですから、「公平性とかはどうするんだ」と、いろんなことの議論があるかもしれませんが、そこは丁寧な説明をさせていただきたい。そして、この随契のやり方、そしてまたどれだけの数の事業者が手を挙げて随意契約に参加をしていただけるかによっては、農産局の業務量が膨大な作業になるということも懸念されますので、昨日の私の訓示で申し上げたとおり、全省を挙げて農産局の体制を抜本強化していくと。次官にも、非常に陣頭指揮を執っていただいて、数10人規模で農産局に増強しますし、この随意契約の状況によっては、これでも足りないということであった場合は、さらなる増強も含めて、省内の体制を、明確にめりはりを持った体制を構築していきたい。そして健康で、モチベーション高く、農産局、全ての農水省の職員が働ける環境をつくっていきたいと、そういうふうに思っています。

 記者 JAグループにアンケートを取ったところ、適正価格について、3,500円から3,800円程度だと言う回答が寄せられましたのは、一部のJA(農協)からなんですけれども、そういったその適正価格がこのレベルで回答があったということについて、どうお考えでしょうか。

 大臣 基本的にJAグループの皆さんは、農家の皆さんの再生産できる価格、そして稼げる水準、こういったところというのを重視されているというのはそのとおりだと思います。そして世の中、このデフレ型からインフレ型に経済が移行する中で、あらゆる価格転嫁が進み始めたことは、30年間物価、賃金が上がらなかった日本の深刻なデフレを脱却する上では、前向きに捉えたほうがいいと思います。ただ、今の米はあまりに高過ぎます。今日の消費者物価指数を見て分かる通り約2倍ですよ、前年同月比で。これは、私はむしろ日本の経済全体にも水を差している状況だと思います。なので、これはJAグループや生産者の皆さんにもご理解をいただきたいのは、2,000円台で備蓄米を出していくということは米離れを防ぐためにやるんです。今これだけ上がっているものに、一回やはり水を差さなきゃいけない。その覚悟を持って、これからの意欲ある農業生産を持続的にできるような、そういったことも考えた上での判断ですので、ご理解をいただけるように私からも説明させていただきたいと思いますし、私のほうからJAグループのほうにお伺いして、日経新聞と同じビルですか。私も何度もお伺いしましたけど、私のほうからお伺いをさせていただきたい、そういうふうに思っています。

 記者 では、2,000円というのは、あくまでも一時的な目標といいますか、ずっと続いていくことを想定している価格ではないと。

 大臣 この今の異常な価格高騰は、日本の国産米の米離れをこれから加速させかねない。もう既に、スーパーでは関税を払ってまで直接アメリカから買っている。そういったことも出てきていますので、やはりこの米離れを防ぐという観点で、この異常な、昨年と比べて2倍だと、この状況を抑える。是非そういった我々の思いもご理解いただきながら、農家の方にも受け止めていただきたいですし、私は消費者、生活者の目線に立った農政を同時にやるということを説明した上で、やはり、一回こうやって安心した方向に、米の価格も落ち着くということが世の中のマインドとして生まれないと。私は今の時点では、なかなか生産者にとってもプラスにならないのではないかなと思っていますので、しっかり説明させていただきます。

 記者 作付調査の数字を言及されたということで、改めて。40万t分の増加、備蓄米の買い入れの中止分が回る分も含めてということで、生産面積の最大の増加というところで、改めて受け止め、所感をお願いします。

 大臣 今こうやって、秋以降は大丈夫かというふうに、例えば小売側も、なかなか今、消費者の皆さんに、お米を買うならお一人様1点までとか、こういう形の点数制限などもしているのは、秋以降、棚からお米が消えてしまうということがないように抑えているということがあるんですよね。昨日、少し事業者ともお話をさせていただきましたけども、今回の、5年間で過去最大の生産面積に増える、そして平成16年産以降、調査を開始して以降最大の増加と、これが見通しとして出ていることは、やはり世の中に米が出やすい、そういった環境を生んでいく一つの材料になると思っているので、私としては、この結果は勇気づけられる結果だと思っています。ただ、これはまだ意向でありますので、最終的にどうなるかということも状況をよく見ながら、的確に対応していきたいと思っています。

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