小泉進次郎農相は6月16日、令和7年産米から作況指数の公表廃止を表明した。6月15日に視察先の福島で米の収穫量調査を見直す意向を示していた。作況指数の公表廃止は、総務省の統計委員会の審議を経て正式決定の運び。今後は収穫量調査の精度を上げる方向だという。「公表作況と実感作況との違い」は毎年指摘されるもので、ことに昨年から今年にかけての〝不足感〟から〝声〟が大きくなった。収穫量調査の精度向上は当然としても、作況指数の公表廃止という政策判断は、「まるで臭い物に蓋をする」との揶揄を免れそうにない。
「作況指数」とは、毎年3月公表になる平年単収(既報)を「100」とした場合の当該年産米の10a当たり収量の割合のこと。よく間違われるが、生産量の増減を表すものではなく、単純に単収(単位当たり収穫量)が平年より多いか少ないかを示す出来の値にすぎない。
ただ小泉農相の指摘は、この平年単収の算定にあたって「収穫量調査に基づいて過去30年間のトレンドを指数として出していることが、今の気候変動や現場実態と合わなくなっている」というもの。「収穫量調査を出し、作況指数を出さないほうが、現場実態と乖離しない、という問題意識を、統計部局も持っていた」とも。収穫量調査の精度向上に向けた具体的な方向性は以下の通り。
・収穫量調査における篩目幅を現行の1.7mmから1.8~1.9mmに変更(現在でも単収そのものには各県ごと異なる篩目幅を採用している)
・気象データ、人工衛星データの活用を模索(現在も早期の〝予測〟段階では一部活用している)
・過度な標本調査依存を改め、大規模生産者の収量コンバインからのデータ取得など「生産者からの収穫量データを主体とする調査手法」への転換を検討