鈴木憲和農相は11月28日の閣議後定例会見で、おこめ券を含む食料品価格高騰対策をめぐる地方自治体向けオンライン説明会の開催を明らかにした。「そもそも、おこめ券が自体の存在も知られていない」と指摘するなど、問合せが数多く寄せられているためで、12月3日に開催する説明会のなかで優良事例を紹介する予定。
一問一答(11月28日、閣議後定例会見から抜粋)
大臣 私から1点、ご報告があります。お米券を含む食料品価格高騰への対応についてであります。いわゆる「お米券」について、農林水産省に対して問い合わせが様々な自治体から数多くあるところであります。このため、お米券を含む食料品価格高騰への対応について、あらかじめ優良事例を紹介するなど地方自治体のご担当者様向けの説明会を、来週の12月3日からオンラインで開催をさせていただきたいというふうに考えております。この説明会については、自治体の担当者様向けでありますので、参加は各自治体の関係者ということで限らせていただきますけれども、資料については、開催後、公表を予定をしております。私からは以上になります。
(略)
記者 冒頭でお話されたお米券について、いわゆる補正予算成立前ではあると思うのですけれども、来週、そういったオンライン説明会を開くことに対しての狙いとかは、どういうお考えがあるか教えてもらっていいですか。
大臣 当然今、補正予算、これから閣議決定をして審議をしていただくということになります。ですから、正式なプロセスとしては、審議の後にしっかりと自治体の皆さんと一緒に取り組んでいくということになりますけれども、現状で様々な事前の準備や、どういった方法で各自治体が取り組むべきかといったお問い合わせというのが大変多くなってきておりますので、我々としてまず、今までの中でも、自治体の独自予算の中でも、この食品への価格高騰の物価高対策というのをやっていただいているところもありますから、そうした事例があるということも含めて、様々な情報をまず事前情報として、自治体の皆さんとは共有をさせていただきたいというふうに思っています。特に私も先週、埼玉県の2つの町の町長さんたちと、これは別件でお会いをした中で、この件についても話題になったところであります。そうしたところ、いろいろなコミュニケーションしたらよくわかったのが、お米券自体がそもそも自治体自体がお米券というものを刷って、お配りをしなければならないのかなというふうなことを思っていた、というようなお話もいただいたところなので、これ現実として今もう既にあるものですよというお話をしたら、こんなものあったんですねという反応もいただいたものですから、そもそもお米券自体の存在も知られていないということもあるのかなと思いましたので、なので、そういった問い合わせに対して早めに、ある種まず現状としてはこうですということをご説明をさせていただきたいということであります。
記者 今のお米券のところで伺いたいのですけれども、今後配布が予定されているお米券について、改めて位置付けをお伺いしたくて、これは米価が上昇していること、米価高騰の対策なのか、今おっしゃっていたように食品全般の物価高騰対策なのか、どちらでしょうか。
大臣 今回の経済対策・補正予算では、物価高騰に対応して、各自治体において、地域の実情に応じて、困難な状況にある方を中心にしっかりと支える観点から、重点支援地方交付金が措置されるということになります。特にお米を始めとする食料品については、全般的にまず現状としては高騰しているという状況であります。そのため、食料品全般に対する支援が追加をされたところでありまして、政策目的・趣旨ともに、本来これまで想定していたものとなっております。特に食料品の中で、お米がまさに一番価格が上がっているという状況もありますから、そういうことも踏まえて、お米券でやっていただくという自治体もあれば、もうお米の現物をお配りをしますという自治体もあれば、もしくはもう既に各自治体で行っているポイントを付与するというやり方もあると思います。どんなやり方でも結構ですので、できるだけ早くスピーディーに、負担感を感じていらっしゃる消費者の皆さんの負担感を和らげていくということが大事かというふうに考えています。
記者 食料品の中で一番顕著な値上がりがあるのがお米なので、今回そのお米券を例に出していらっしゃるということですか。
大臣 はい。あともう1点は、今おっしゃっていただいたことに加えて、お米券自体は今すぐにもう現物が、紙自体が存在するものでありますから、新たに自治体の皆さんが新しい券を、例えばデザインからスタートして、どこのお店で使えるかみたいなことを準備する必要は全くないというふうに考えておりますから、その点でも私としてはスピーディーだという観点で、お米券などというふうに例示をさせていただいているところであります。
記者 先ほど冒頭、優良事例の紹介でお話ありましたが、優良事例というのは具体的にどういうものを指していますか。
大臣 もう既に全国の30を超える自治体で、お米券を実際に配ったケースもあれば、現物でお米を消費者の皆さんに届けているケースもあります。また、大阪のように子育て世帯に対して、あれは確か電子クーポンという形でQRコードかな、そういう形でやっている例もあると思います。そうした要は様々な事例があって、どのぐらいのスピード感でできたかみたいなことも含めて、あと掛かる経費はどうだったのかみたいなことも含めて、現状としてこういう事例がありますので参考にしてくださいということで、共有させていただきたいと思います。
記者 お米券について今、お米券、既に配布されている自治体もあると承知していまして、そのお米券でお米以外が買えますよといったことを売りにしている小売店もありますし、消費者の中にはお米券でお米以外の物も買っている人もいらっしゃると聞いています。こういったことについて、大臣の受け止めを教えてください。
大臣 お米券というのは基本的にはお米を買うというか、お米に対して換金ができる、換金というか、お米を要は買えるというものだというふうに思いますから、そのように全農(全国農業協同組合連合会)と全米販(全国米穀販売事業共済協同組合)ですかね、2団体が発行しているというふうに思っておりますので、これはあくまでも民間で発行していただいているものでありますから、私としては民間のそれぞれの考え方にお任せをしたいというふうに思っています。
記者 米の需給についても伺いたいと思っています。今直近で25年産米、生産されまして、備蓄米があったり外国産米があったり、今直近のこの足元の米の需給動向を、大臣としてはどのように見ていらっしゃいますか、どういう状況にあると考えていますか。
大臣 直近の米の需給動向というのは。
記者 今の米需給というのをどう見ていらっしゃいますか。
大臣 我々としては、来年に向けた需給の見通しというのを先日、示させていただきました。基本的には、まずそこに向けて、今それぞれの各県ごとに生産現場の皆さんが、来年の生産量をどのようにしようかということを、話し合っていただいているというふうに思っております。そしてまた、価格の面についても、様々な取引の現場で様々な指標が出ていると思いますので、私たちとしては、しっかりと来年に向けて需給の安定が図られていくように、結果として価格の安定が図られていくように努力をさせていただきたいと思います。
記者 今直近で米の生産量が増えたりとか、海外からお米が入ってきたりしていて、米の需給が緩和局面を迎えたのではないかといった見方が出ています。次26年産の生産量が、711万tが仮にちょうどぴったり達成されたとして、その場合、政府備蓄米の買い戻しがなかった場合、その次の6月末在庫は218から245ぐらいになる見通しということで、緩和局面が続いてしまうのではないかとか、もっともっと需給が緩和してしまうのではないかといった声も出ているのですけれども、この辺りについてはどのように見ていますか。
大臣 これは、今まさに生産現場それぞれ、各都道府県ごとに、私たちが出させていただいた需給見通し、こういう情報も基にしながら、今後どのような生産を行うかということは検討中だというふうに思いますので、それについて私たち農林水産省としても、各都道府県とコミュニケーションをしっかりととらせていただいて、結果として需給が安定するということを、バランスをするという方向に向けて努力をさせていただきたいと思います。
記者 お米券で先ほどお話しいただいたように、お米券、今配布、発行しているところが2団体あると思うのですが、税金の使い道として一部批判が出ているものとしては、2団体に利益が集中するというところはどうなのかというのと、あとは行政が、自治体が自分たちで発行する分だと、転売だったり金券ショップでというのは防げる部分があるかと思うのですが、その2団体の配布になると、そこの転売だったりも出て、実際の消費者の支援というところで、どこまで政策が有効なのかというところを疑問視する声もあると思うのですが、そのあたりいかがですか。
大臣 私は何度も申し上げておりますけれども、どの政策ツールでやっていただくか、これは自治体にお任せをしておりますから、ある種お米券を使うのか、区独自のクーポンにするのか、もしくは電子的なやり方にするのかということについては自治体にお任せをしておりますが、やはり我々としては、今困っている皆さんに、早めにこの支援というのが届くということが何よりも重要であるというふうに考えております。ですからその点で、先ほどからも早めに説明会などについてもやらせていただきたいということで、準備をさせていただいているところであります。ただ、今おっしゃっていただいた、その2団体しかないのではないかということについては、現状としてもちろん、今お米券というのは2団体しかありませんが、それを使うか、使わないかは自治体のご自由ということになります。
記者 備蓄米の際はメルカリさんだったか、ちょっと記憶が定かではないのですけれども、転売対策みたいなものをされていた記憶があるのですが、今回に関してはそのあたりはご検討されているのでしょうか。
大臣 今、内々で、これは詰めの作業を行っているところでありますけれども、この度の支援については、これは当然、大切な税金でなされるということになりますから、何かそれが違った使い道になってしまうということにはなるべくならないようなやり方は何なのか、ということについては、内々で調整をさせていただいているところです。
記者 決まり次第発表していただけるのですか。
大臣 はい。
記者 今説明されたお米券に関してなのですが、最初の質問であったように、まだ補正予算は閣議決定も成立前だと思うのですけれども、この説明会の位置付けというのは、優良事例の紹介とおっしゃいました。そして正式なプロセスとしては、補正の審議の後というふうにおっしゃったと思うのですが、一応、その経済対策で決まった交付金の支援のスキームというのも含めて説明されるという理解でよろしいですか。
大臣 どういうお問い合わせが今実は一番多いかと言いますと、そもそもお米券って何ですかという質問が多いんですね。だからそこに対して、まず私たちは答えるべきだというふうに考えております。当然、(補正)予算が成立をしておりませんので、これは成立するかしないかについては、国会でまさに丁寧にご審議をいただくことだと思いますから、オフィシャルに言えば、その後ということになりますが、ただ、事前の準備の段階でもう既に様々な自治体の皆さんからそうしたお問い合わせが多いということに対して、今回お答えさせていただきたいということであります。
記者 経済対策で決まった内容の説明というものとはまたちょっと性質が違うということですか。
大臣 そうですね。
記者 それはお米券というものがそもそも何なのかという説明というようなイメージなのですかね。
大臣 今お問い合わせが多いのは、要するにいろんな自治体がいろんなことを、要はこれまで物価高という中で、またそれまでにコロナという難しい局面もありました。そういう中で様々な自治体が様々なことをやっている中で、どういう取組が、どのぐらい何が、要するに費用も期間も、またあと住民からのある種受け止めということも含めてどんな感じですかというお問い合わせが、本当に数多く、今私達のところには寄せられておりますので、まずそうしたことについて、今後自治体の皆さんが早いところでは12月議会、ここにある種地方議会にかけて、我々の交付金あるかなしかに関わらずやるところもあるというふうに聞いておりますから、そうした準備の段階だというふうに思っています。ですから、そこの準備の段階に、このお問い合わせにしっかりとお答えをしていくというのは、私たちとしての責任だろうと思っています。
記者 この説明会は、補正予算の成立を前提としたものではなくてということですか。
大臣 現状のお問い合わせに対して、しっかりお答えをしていくということです。ただ、メディアの皆さんも含めて、これだけお米券について、良い報道もあれば、様々なご批判も含めて報道されているのを見た上での皆さんからのお問い合わせでありますから、まず正確に現状として、どういうものが存在をして、今後何ができうるのか、そしてこれまで過去の経験ではどういった良い事例があるのかということについて共有をさせていただくという位置付けです。
記者 正式なプロセスで予算が成立した後に、また再びというか説明会みたいなものは想定されているということですか。
大臣 必要があれば、それはやらせていただきたいというふうに思っています。
一つだけ補足をして申し上げると、私たちとしては、これは自治体の皆さんとも全く問題意識は共有していると思っていまして、できる限り早く、今この瞬間に困っている皆さんに様々な支援をお届けをしたいという思いでありますから、これは農林水産省、政府も一緒でありますし、当然それぞれ現場に直面をしている首長の皆さん、各自治体の皆さんも一緒の思いだというふうに思っています。何をやるにしても行政でありますから、様々な準備というのが必要でありますし、準備の前の段階にそもそもどういうやり方で何をすべきなのかということの中での内々の議論というのも必要になるかと思いますので、そうした議論の土台を私たちみんなでまずは共有させていただいて、そしてその中で、自治体の皆さんからも様々な悩みとか、これで大丈夫なんだろうかとか、どこまで何ができるのかというようなご相談もあろうかと思いますので、一つ一つ丁寧に応じるということであります。
