パナソニック㈱(東京都港区)はこのほど、「お米に関する調査」結果を発表した(9月2日付)。これに基づき、パナソニックで炊飯器開発のうちプログラム開発を担当する「Panasonic Cooking@Lab」所属の〝炊飯器マスター〟が、「意外と知られていない『おいしいごはんの炊き方』」を解説している。調査は去る7月7日、炊飯器を持っている20歳以上の男女600人を対象に、インターネット上で実施したもの。
炊飯時の水加減調整
「白米を炊く際、季節や米の状態(新米、古米、精米後時間が経過しているなど)に応じて水加減を調整することがありますか?」と訊いたところ、「いいえ」との回答が過半数に達した。

◆ お米の量・水加減は正確に量る ◆ 米と水の分量は、つい曖昧になりがちですが、正確に計量することがとても大切です。付属の計量カップで、すりきりで量ることをおすすめします。水加減については、炊飯器のコースに応じた水位線を使用してください。水を入れる前に、お米を炊飯器の内釜の中で平らにならしておくと、炊きムラを防げます。なお、近年はお米の精米や流通の技術が進化し、一年を通してお米の水分量の変化は少なくなっています。そのため、まずは水位線に合わせて炊飯してみてください。もし長期保管などでお米が乾燥してパサつく場合は水をやや多め(目安として水位線より1~2mm上)、やわらかすぎる場合には水を少なめ(目安として水位線より1~2mm下)にするのがよいでしょう。
炊飯時の水温
炊飯器で米を炊く際、「炊飯に使用する水は冷たい方がよい」と思っている人は半数を下回り、〝思っていない人〟が過半数に達した。

◆ 洗米に使う水温は「常温」で問題なし ◆ 洗米に使用する水の温度は、常温で大丈夫です。炊飯器で炊く場合は、炊飯開始後に吸水に最適な温度(40~60℃)に調整するため、氷を入れるなど冷たく冷やす必要はありません。ただし、べたつきなどの原因になるためお湯は避けてください。
洗米中の水には糠や汚れが流れ出てくるため、手早く行うことが大切です。また、最近は精米技術が進化しているので、お米を透明な水になるまで洗米する必要はなく、水は少し白いくらいで問題ありません。ゴシゴシと力を入れて洗米するとお米がべたつく原因となるので、優やさしく手早く洗米するようにしましょう。最近は、内釜で米を研げる炊飯器が増えています。
内釜(またはボウル)に米と水を入れ、米を軽く2~5回かき混ぜたら、水を捨てましょう。水中では米同士が擦れにくく汚れが落ちにくいため、水をほぼ抜いた状態であまり力を入れずに、一定のリズムで同じ方向にぐるぐると20回程度軽く回します。その際、シャカシャカとお米どうしを擦り合わせるように優やさしく洗米するのがポイントです。水を3、4回程度入れ替えながら、うっすらお米が透けて見えるくらいの透明度になるまで洗米します。
炊飯直後の蒸らし
炊飯直後の白米の扱い。「炊飯後はすぐに蓋をあけず、一定時間置いて蒸らしてからの方がよい」「炊飯後は、白米をすぐにほぐした方がよい」ともに半数を下回った。

◆ ごはんが炊き上がったら「すぐほぐす」が正解 ◆ ごはんが炊き上がったら、すぐにほぐすことが大切です。ご飯はんが炊きあがったら、しゃもじを鍋肌に沿って一周ぐるりと入れます。次に、底からごはんをすくい上げるようにして上下を返します。このとき、ごはん粒を潰さないように注意しながら、しゃもじで切るようにやさしく混ぜましょう。こうすることで余分な水分が飛び、ふっくらとしたおいしいごはんに仕上がります。

精米の保管方法と温度
「お米は主にどの温度で保存していますか?」訊くと、8割弱が「常温」と回答。また保管方法は、「密閉できる専用の米びつ・ライスストッカー」との回答が半数に達したものの、「購入時の米袋のまま」も4割弱に達した。


◆ お米をおいしく保つ秘訣は「密閉」と「低温」◆ お米の鮮度を保つには、乾燥を防ぎ低温で密閉保存することが大切です。実は米袋には通気孔があいているものが多いので、そのまま保存せず、空気に触れないよう小分けにしてフタ付き容器やチャック付き保存袋、乾いたペットボトルなどに移し替えましょう。一般的に、精米直後は約14%ある水分が、常温では2週間ほどで12%まで減少し風味が落ちるうえ、梅雨や夏の高温多湿下ではカビや虫が発生しやすくなります。密閉した容器を冷蔵庫の野菜室に入れておけば、乾燥と高温を同時に防げるため、鮮度とおいしさを長く保てます。