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施策・政策

江藤農相「政策効果なければ政府米追加放出」

 江藤拓農相は3月18日の閣議後定例会見で、今回の政府米放出によって政策効果が認められなかった場合、改めて「追加で放出する」意向を示した。既報の〝チキンレース〟の開始を宣言した恰好。ただ追加放出の判断時期は「今の段階で申し上げることは難しい」として、明らかにしなかった。また政府米放出の「政策効果」として、「流通の改善の先に、価格の安定がある」と〝定義〟している。

一問一答(3月18日、閣議後定例会見から抜粋)

 記者 昨日の全農の説明会で、備蓄米の放出後もスポット価格は高止まりするとの見方を示されましたが、これについての受け止めを聞かせください。

 大臣 ご存知のとおりスポット(価格)は、数十tとか、数tとかそういった小さな、緊急に欲しいものについて手当するものです。全く無視するものでありませんが、そういう性質のものということを冷静に受けとめていただきたいと思います。農水省が調べた価格で、(3月3日の週は5㎏)4,077円という数字になっていますから、消費者の方々には、非常にご苦労をかけているなと思います。ただ、備蓄米は今日から引き渡しが始まります。そして、精米をして、卸売に渡るまでまだ少し時間がありますから、政策効果としてはスポット価格、それから、全国平均のスーパーの価格にはまだ反映されていないことは、ご理解いただきたいと思います。今回、放出しましたし、今週中には追加7万tの放出を発表する予定で、公告を行います。それによって需給が安定し、流通が正常化して、落ち着きを取り戻すことを期待しています。

 記者 消費者に苦労をかけているという言葉がありましたが、現状5㎏の店頭価格が4,077円という中で、生産者と消費者、それぞれ納得できる価格水準にすべきだという考えを示されていますが、具体的にどういう水準か、教えてください。

 大臣 当たり前の話ですが、赤字がずっと続くという状況であれば、作る人はいなくなります。これから先は、兼業農家を中心に米農家が減っていくことが予見されています。ですから、3月31日までに、地域計画をしっかり作って、担い手への土地の集約、機能向上をすることを今、進めています。この水準がいくらかなのかについては、(農林水産)委員会でも質問がたくさん出ましたけれども、それは消費者と生産者の間で決まるものです。市場経済の中で決まるものですが、今回、国会に合理的な価格形成の法律を出します。これは米も対象になりますので、生産者も生産を継続できて、しかるべき利益が手元に残る。消費者の方々も米から離れることなく、お米を今までどおり、今まで以上に買っていただける、それが合理的な価格ですから。非常に漠とした言い方しかできませんけど、それは今後決まっていくものだと思います。

 記者 先週、第1回目の入札の平均落札価格が発表されたとき、この価格水準だと店頭での価格は今よりも安くなるのではないかというお話でしたけれども、税込みにすると22,914円ということで、そんなに安くないのではないかという意見、受け止めもありますが、ご所感いかがでしょうか。

 大臣 一部には価格にコミットする気があるなら、もっと安く、例えば制限をかけるべきだったのではないかというご意見があることは承知しています。しかし、この備蓄米自体は国の財産です。財政法という法律の整合性も取らなければいけない、そしてこれまでやったことないことであって、公平性を保たなければいけないということであれば、やはり入札ということで、入札結果について、高すぎたとか、安すぎたとか、コメントすることは適切ではないと思います。ただ、正直なところ、あまり高い値段で結果が決まってしまうと困るというような気持ちがありましたので、各落札事業者の方々には、上限数量を定めさせていただきました。力のある方が高い値段で大量に買い込むということであれば、全く政策効果が期待できませんから。制限の数量も設けたこともあり、私としては、こんな制限を設けたら、もっと落札率が下がってしまうのではないかと思い、実はすごい胃の痛い思いをしていたのです。94.2%という数字に落ち着いたので、様々な評価はありますが、今回の入札結果が、我々の目的に沿った価格帯で落ち着いてくれて、入札参加者の方々の高い見識のもとの入札に大変感謝しているところです。

 記者 今週中に第2回(目)の公告予定というお話でしたが、それ以降の政策効果が無ければ、さらに第3弾のような形でというお話でしたけれども、ある程度判断の時期というのを定めていく必要があるのではないかと思いますけれども、概ねどのようなタイミングで、第3弾をやるかやらないか判断するのでしょうか。

 大臣 第2回目については、もともとお知らせをしていて、出しますよということですから、出すのであれば早いほうがいい。しかし、卸にお米が渡り、店頭にも並びます。そして、消費者の方々もそれを手に取られます。そのことによって、大手スーパー1,000社の店頭価格の推移、価格には直接コミットはしませんが、政策効果としては、流通の改善の先には、価格の安定というものは当然ありますから、しばらく様子を見ることになると思います。ただ、国の財産を21万t出した結果、何も政策効果を得られないということであれば、出した意味自体がありませんから、それは政策効果として、今まで出した分の効果を補完する意味でも追加をすることは、当然必要ですが、それをいつ頃判断するかということを今の段階で申し上げることは難しいと思います。

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