帝国データバンクが4月10日に公表した今年2月の「カレーライス物価」は1食407円(前月比+11円)と、ついに初の400円台に突入した。比較可能な平成27年(2015)以降の10年間で11か月連続の最高値更新にあたる。また前年同月比+88円、2か月連続で最大上げ幅を更新した。何といっても米価高騰が大きく響いているが、ジャガイモやニンジン、輸入牛肉の高値推移も影響している。
「カレーライス物価」は、総務省の小売物価統計調査結果から、カレーの調理に必要な原材料や光熱費などの価格(全国平均)にまとめた「カレーライス1食あたりのトータルコスト」を示すもの。2月の「カレーライス物価」の内訳をみると、最も費用が高いのが全体の約5割を占める「カレー具材(肉・野菜)」で、前年同月比+11円の209円だった。カレー具材の価格としては前月から変動はなかったものの、猛暑による生育不良で野菜価格が高騰した令和6年(2024)8月以来の高値となっている。
他方、「ごはん(ライス)」価格は前月比+11円の169円円。足元で米の店頭価格が高止まりしていることを背景に、前年同月比+77円と大幅に上昇し、過去最高値を更新した。
このカレーライス物価を基に、令和2年(2020)平均を100とした帝国データバンク独自算出の「カレーライス物価指数」をみると、2月は「148.4」。5年間で約5割上昇したほか、10年前からは+65.4%と6割を超える値上げで、記録的な物価高が反映された恰好だ。前年同月比では+27.4%で、1年9か月連続の上昇にあたり、過去最大を記録した。
総務省の小売物価統計は、毎月1回、全国都市別の公表が基本だが、その約1週間前に、東京都区部のみ先行して公表される。3月の小売物価統計(東京都区部のみ)はすでに公表されている(既報)ことから、帝国データバンクは3月の「カレーライス物価」を予想している。それによると、野菜類がいずれも平年を上回る見通しで、輸入牛肉の価格も横ばい~上昇傾向での推移が続くことから、「『カレー具材』は昨年7月以来8か月ぶりに210円台に到達し、過去最高値を更新する可能性がある」、また輸入牛肉は「アメリカ産などでトランプ関税による価格高騰のリスクを抱えている」ことから、「カレーライス物価をさらに押し上げる可能性も出ている」と指摘。米価は「政府による備蓄米の放出で値下がりへの期待感はあるものの、4月時点でも店頭価格ベースで値上がりが続いており、1食あたり180円台と前年比およそ2倍の高値推移が予想される」とした上で、「3月のカレーライス物価は、1食420円前後まで上昇する見通し」と指摘している。

