財務省の財政制度等審議会は4月15日の分科会で、米の安定供給に向けて外国産米の活用を提言した。主食用米輸入枠の拡大など柔軟性を高めることで、「国内需給の調整弁として、全体の米供給の安定化に資するのではないか」としている。あわせて国産の政府備蓄米の運用にあたっても、民間保管との組合せを提起した。
日本は米に対して、㎏341円の関税をかける一方、国家貿易としてWTO(世界貿易機関)から年76万7千tの義務輸入枠(無関税)を課せられている。これを最低義務輸入の意味でMA(ミニマム・アクセス)と称する。ただし66万7千tまでは加工や援助など主食用以外の用途に仕向けるため、「国内主食用米需給に影響を与えない」ことになっている。主食用に仕向けられるのは、SBS(売買同時入札)方式で輸入する年10万tのみ。このフレームが「硬直的」だとするのが、財政審の指摘だ。主食用米輸入枠としては、CPTPP(TPP11)に基づくオーストラリア枠のSBS(令和7年度《2025》輸入枠7,200t)もあるのだが、財政審は触れていない。
財政審は、MA米の非主食用への国内販売にあたって差損などから令和5年度(2023)で684億円の財政負担が発生している点を指摘。一方でWTO-SBS枠を令和6年度(2024)は7年ぶりに使い切っただけでなく、枠外輸入の事例の発生も引き合いに出して、外国産米活用の必要性を訴えている。その場合、輸入枠の拡大(具体的に10万tにどの程度上乗せるのかは言及していない)だけでなく、例年9月から始まるWTO-SBSの前倒しも提起している。
財政審「SBS拡充」「民間保管併用の備蓄」提言
