小泉進次郎農相は6月6日の閣議後定例会見で、令和9年度(2027)の水田政策見直しに向け、最大の検討課題を「生産者のセーフティネットをどう構築していくかだ」とした上で、旧民主党政権が打ち出していた戸別所得補償の復活を全面的に否定、「万が一の米価下落という事態に備え、すでに収入保険という装置がある。私はこれが有効だと考えているが、これも含めて政策見直しに向けた検討のなかで議論していく」と指摘した。前日夕刻から官邸で始まった「米の安定供給等実現関係閣僚会議」のなかで、石破茂首相から指示があったことを受けたもの。指示は、①引き続き米の価格が落ち着くようスピード感を持って対応すること、並行して、まずは②今般の米の価格高騰の要因や対応の検証を行うこと、その上で、③その検証を踏まえた短期と中長期の対応策を検討すること――の3点。
会見で記者から「水田政策の見直しは令和9年度からだが、令和8年産の米価が下落するとの予測がある」と訊かれ、小泉農相は「〝今〟は高すぎるのが問題。だから随意契約で政府備蓄米を放出することで、まずは価格を落ち着かせることに腐心しているところ。この出口も見えていない時に、下落した場合のことを訊かれるのはキツい」と応じた。その上で検討の方向としては「生産者が安心して稲作を営める水準と、消費者が安心して米を購入できる水準、この互いを一致させることが重要」と指摘。セーフティネットの検討はその際に必要であれば発生するものだが、「私自身は収入保険が有効だと考えている」とした上で、「収入保険に加入していない人に、米価が下落した際に助けを求められても困る。まずは加入して下さいと言いたい」と氏恵t記している。
一問一答(6月6日、閣議後定例会見から抜粋)
(略)
記者 昨日の米の安定供給に関する閣僚会議についてです。昨日は総理からも3つ指示があったと思いますが、改めてこれから取り組んでいく政策課題の優先順位と、結論を出していく日程感などを教えてください。
大臣 今、ご指摘があったとおり総理からは3つの指示がありましたので、その指示に基づいて、しっかり取り組んでいくというのが、まず大前提です。スケジュールについても、短期の対応策、これはまず、米の価格をしっかりと抑制をする。こういったことを実現した上で、昨日の総理からは、この米の価格の抑制を待つまでもなく、並行して流通、また、今の米価格高騰がなぜ起こっているのかという、この原因の検証、これは並行して進めろという指示ですから、これはしっかり取り組んでいきたいと思います。そして中長期の対応については、基本計画にある令和9年度(2027)に向けた水田政策の転換、こういったことに向けた課題をしっかりと議論をしていくと、こういったことが基本的な考え方です。
記者 大手小売店向けに約60社に売り渡すことが決まっている約22万tの備蓄米について、キャンセルの動きもあるとの報道もありますが、何割ぐらいの引き渡しが完了したかなど、進捗状況について教えてください。また、店頭に並ぶタイミングについては、地域差や企業間での差が出ていますけれども、この22万tの大半が店頭に並ぶ状態になる時期はいつごろになるとの見込みか、お考えを教えてください。
大臣 1点目については、まだ私のところには報告上がってきていませんので、確認をしたいと思います。そして、どれぐらいこれから面的な広がりをもっていくかということでありますが、例えば、もうすでに報道されていますけども、最初の大手小売を対象としている随意契約の中にはドラッグストアも入っています。こういったドラッグストアさんは、長崎県の離島などでも、お店があるということで、すでに離島での展開も一部始まっていると聞いていますし、2回目の随意契約の方の、中小対応のところですけども、昨日のファミリーマートさんは、今後、全店舗1万6,000店舗で展開をするということです。今、全国では町のお米屋さんはないけど、コンビニがあるという地域があるんですよね。ですので、結果はコンビニ全店で普及をしていくということを通じて、北海道から沖縄までかなり面的な広がりをもって、段階的に進んでいくということはいえると思います。それに加えて、今、数量とお申し込みが上がってきている町の米屋さんや、中小スーパーさんも、昨日私が101社というふうに申し上げましたが、出てきていますので、あとはそこの契約完了を次々やっていくことによって、きめ細かい広がりが出てくるというふうに考えています。
記者 時期的な見通しとしてはいつ頃というふうにお考えでしょうか。
大臣 今、6月を待たずに5月31日から少量で一部始まって、そして今週6月の1週目で今、徐々に広がりつつあって、来週になったらまた出てくるところも出てきて、コンビニさんも含めて出てきますので、今の見立てで言えば、6月の下旬から7月にかけて、今と比べても相当な量が世の中、市中に出回っていくと、こういったことだと思います。
記者 まず1点目、一部報道にもあったんですけれども、結局米の値段を上げることで、農家さんの所得を確保するというやり方だと問題があるので、こういった米の基本政策を変えていくと。要するに米価を上げることで農家の所得を確保するということはしないということを進めるということでしょうか。2点目は、米の値上がりの原因を検証するということなんですが、水田活用の直接支払交付金を廃止した方がいいんじゃないかという指摘をされる専門家もいらっしゃるんですけども、ここのところはいかがお考えになってますでしょうか。
大臣 まず1点目、これからどのように、農家さんを支えるセーフティーネットを作るかというところと通ずる1問目なんですけども、これこそまさに、昨日始まった閣僚会合で議論されていく一つのテーマだと思います。 そして2つ目の原因の検証、水活(水田活用の直接支払交付金)を廃止すべきではないかという有識者の方がいるということですが、まさにこの水活のあり方、ここも含めて、議論をするというテーマにはのぼっていますので、そういった提案も含めまして、さまざまなご提案にしっかりと耳を傾けながら、令和9年度(2027)の水田政策の転換に向けて議論を進めたいと思っています。
記者 大臣自身のお考えとしては、農家の所得を確保する政策と、それから米の値段を、安く安定的にするというのは別々で考えたほうがよいというふうにお考えでしょうか。
大臣 短期で言えば、今やはり高過ぎるというところはいえると思いますので、1年で2倍上がっていますから。まずはここを抑えていくということを通じて、しっかりと生産者の皆さんが、これからも意欲を持って米づくりに営めるという、価格水準はどこなのか、そして消費者の皆さんにとっても安心してお米が買える。こういった水準はどこなのか、これを一致させていくことが非常に重要だと思っています。今、すでに高止まりをしている中で、輸入米がどんどん増えています。そして今、外食産業も含めて、輸入米を引き続き使いたいどころか、むしろもっと使いたいっていう声が届いています。こういったことも考えれば、改めて今、随意契約を活用して、備蓄米を放出をするということの思いを、これは生産者、消費者の皆さん双方にしっかりと説明をすることが大事だなというふうに思っています。
記者 イオンが今日からカリフォルニア米を売り出します。一般的な国産よりも安いカリフォルニア米の販売について、大臣の受け止めをお聞かせください。また、外食産業では大手の社長からミニマム・アクセス77万t(66万7千t)のうち、主に主食用になる最大10万tの枠(SBS)について拡大を求める声もありますが、大臣としては、現状と今後の枠の拡大についてどのようにお考えでしょうか。
大臣 まず今、赤澤大臣がアメリカに行かれていて、さまざまな交渉もありますので、この外国との関係について、軽々にものを言うべきではないという前提の上で事実関係を申し上げると、ミニマム・アクセス米については、ガット・ウルグアイ・ラウンド農業合意の実施に伴って、米のミニマム・アクセス導入に伴う転作の強化は行わないと、平成5年(1993)に閣議了解をされていますので、これを受けて、国産米の需給に影響を与えないように運営をしていると。ですので、今もっと入れたいと、こういう事業者も出てきている、これをどう受けるかということですけども、そういった声が仮にあるとしたら、その事業者の方々から、まず声をお伺いしたいと思います。どういった思いなのか。そして、今、外食業界の置かれている状況はどうなのか、そういった声も含めて、対応していくのが大臣としては当然だと思いますので、以前からずっと申し上げておりますが、米の安定供給のためにできることは何でもやると、そういった思いで向き合っていきたいと思います。 あとはイオンのカリフォルニア米。イオンさんは今回が初めてではなくて、今までも独自で高い関税を払ってでも、購入をされて、店頭に並んでいます。しかも今回また追加をしてということで、改めてこうやって、日本の今のお米が高止まりをしている状況を放置すると、どんどん棚が外国産米に変わりかねない。こういったこともいえると思いますので、しっかりと随意契約の備蓄米を世の中に供給をすることによって、安心感を持っていただいて、生産者の皆さんにとっても、これをやっている意味というものをお伝えしたいと思います。
記者 昨日の米の関係閣僚会議のことで確認させてください。総理からの指示で足元のお米の価格の高騰の原因とともに、対応の検証を求められたと思うんですけど、今まで対応してきたのは農水省なわけで、自分で自分の対応を検証するというのは非常に難しいと思うんですが、これに対して外部有識者会議の活用など、何か仕組みを考えてらっしゃるのかというのと、この対応の範囲に、今足元で進められている随意契約の備蓄米の放出の変更についても含まれるとかというのもあわせて教えてください。
大臣 今までの対応の検証ということですから、そのまま捉えれば、農水省が、今までも一般競争入札も含めてやってきたことが、なかなか市中に出回らない。こういったことや、そして、昨年の新米が出れば大丈夫だと言っていたけども大丈夫じゃなかったこと。こういったことも含めて率直に何がうまくいかなかったのか、これをしっかりと分析をして、反省があれば、率直に反省を述べて、前向いていくというのは当然のことだというのは、私も委員会の中で述べているとおりです。今、民間の有識者の皆さんなどを募って、何かチームを作るということは考えておりませんが、ご指摘のように、しっかりと自分たちの今までやってきた政策というものが、客観的にも、前向きに受け止めていただけるような検証の形、これは必要だと思います。ただ、私はよく今の農水省の職員たちと、率直な意見交換をさせてもらいますけど、かなり率直に、今までの政策に対する反省とか、これからはこうしたいとか、こういった意見交換をさせてもらっていますので、そういった思いを含めて発信をして、職員の思いを背負って政策遂行していくのも大臣の役割なので、そういった私の発信などを通じて、世の中に対して説明をしていくというのも一つだと思います。
記者 検証の対象としては、ご自身が就任する前までということでしょうか。
大臣 いえ、私がやっていることだって、おのずと検証されるのは、これは当然のことだと思います。今私が大臣になって約2週間なので、その2週間を検証するということ以上に、今まさに結果を出すために、米の価格高騰を抑えるということに注力をして、そして随意契約のあり方についてのさまざまなご意見というのは、皆さんもご指摘あると思いますし、さまざま国会の中でもご指摘を受けますし、こういった形で、丁寧に思いを伝えていくことが、まずは一番大事なんじゃないでしょうか。
記者 米関係の閣僚会議で検討対象になった農家所得補償についてなのですが、大臣が(自民党)農林部会長時代、民主党政権が導入した農家所得補償、戸別補償制度と呼ばれた予算が減る一方で、土地改良事業、農業土木予算が増え続けたと。これは失敗だったというご認識なんでしょうか。農水族に押し切られて、本当は農家の方に評判がよかった戸別所得補償制度をどんどん削られてしまったという忸怩たる思いがあれば、それをぜひお伺いしたいのですが。
大臣 むしろ民主党政権のときの反省は、今の立憲民主党や国民民主党に当時の民主党の議員さんがいかれていますけど、その中で、そういった皆さんも同じことをやろうとは思っていないと思います。だから戸別所得補償という言葉を、今国民民主党も立憲民主党も使っていないですよね。なので、やはりあのときの反省はそれぞれ、その方々も思っていると思います。やはり規模拡大とか、集約化とか、農業の構造転換に向けてプラスになったかというと、むしろその歩みを止めてしまった。あのとき土地改良(予算)を相当削りましたからね。むしろ今やらなくてはいけないことは、土地改良も含めて、基盤整備をしっかりやらなきゃいけないときに、同じ方向に戻せというのは、私は当たらないと思います。ですので、戸別所得補償をもう1回復活せよという声は、今野党からは上がっていません。そこをしっかり、野党の皆さんは、新たな提案をしていますので、直接支払いとか。こういったことも含めて、与野党の垣根を越えて議論をして、令和9年度の水田政策のあり方に繋げていきたいと思います。
記者 小川幹事長は都議選向けの街頭演説で米問題に触れて、戸別所得補償制度復活と、予算を増やすということを言っているんですが、ご認識が食い違っているんじゃないですか。
大臣 そのご認識は、立憲民主党に聞いていただきたいと思いますし、立憲民主党が言っているのは、戸別所得補償ではないです。幹事長にぜひ聞いてみて欲しいと思います。立憲民主党の言っているのは、食料確保・農地維持支払制度と。戸別所得補償という言葉は、私は立憲民主党のチラシを見ていますけど、載っていません。
記者 趣旨としては、当時の民主党政権が導入した制度と同じなんじゃないんですか。農家を支えるという点では。
大臣 そこは私じゃなくて、立憲民主党に聞いてもらいたいと思います。しかも、立憲民主党は、食料確保・農地維持支払制度に約1兆2,000億円という額を考えているようですけども、今、我々が考えてやっている交付金とか、収入保険とかナラシとか、こういったことと比べても、莫大な予算を投じることになりますから、一体これはどのようにやるのかということも含めまして、農水省の会見で聞いていただくよりも、小川幹事長の会見で聞いていただく方が、貴殿が求める回答が得られるのではないでしょうか。
記者 分かりました。民主党時代の戸別所得補償制度には否定的だということで。
大臣 これは私も否定的ですし、立憲民主党自身も、小川さんの発言は私は承知していませんので、小川さんがそう思っているかわかりませんが、戸別所得補償を復活せよという声は、農(林)水(産)委員会で野党からの提案もありません。
記者 昨日、酒用や加工用に備蓄米の放出を検討されているとのお考えを示されておりましたが、今現在の進捗状況をお聞かせください。また、昨日の(衆議院農林水産)委員会で、米の流通にはブラックボックスがあるとのご指摘があるとおっしゃっていて、流通の可視化をしたいと大臣はおっしゃられていましたが、こちらはどのような項目やスケジュール感を想定されているのか伺いたいです。
大臣 1点目の加工用とか、酒米、こういった対応ですけども、週明けに日本酒の関係の皆さん、それとお味噌を作られている関係の皆さんと面会の予定がありますので、まずはよくそのお話を伺った上で、対応策は考えたいというふうに思います。それと、後半のブラックボックス、これをどういうふうに解明をしていくかということですけども、やはり一つ一つの流通の中で、集荷業者、卸、そして小売、それぞれの役割や今の現状というのは、つぶさにオープンに国民の皆さんにも説明をしていく中で、流通の適正化を図りたいと思っています。これはできることは直ちに情報開示を進めたいと思っています。昨日の委員会では、私は卸についてもご指摘を受けたので、ある卸は、利益が500%だということをお話しさせていただきましたが、実際今、農水省の中で、全国の店頭で、備蓄米のブレンド米が、幾らで販売をされているかという地域間の格差は、我々が公開をしていますが、例えば、第1回目から第3回目の入札米を、全農という集荷業者から卸に流れ、そして卸が小売に流して、そういうルートの中で一体幾らで販売をしているのか、どれぐらいのマージンをとっているのか。こういったことも含めて、やはり気になるところですよね。なかなか500%の利益って、どういうことなのだろうなと、普通は思うじゃないですか。そういったことも含めて、一つ一つ解明をしていく。そしてなぜ今、こういったことが起きているのか、そこに向けて、今毎日、農水省の職員とも、そして外からさまざまな情報提供してくれる方々とも、その情報のすり合わせをして、しかるべき対応したいと思っております。
記者 関係閣僚会議でも農政改革に向けた議論が始まったかと思いますが、一部報道で生産調整の見直しについて政府が方針を固めたとありましたが、こちらの事実確認と大臣のご見解をお伺いしたいと思います。
大臣 見出しのつけ方というのは我々が決めるものではなくて、メディアの皆さんが決めるものですから、事実だけ申し上げれば、生産調整というのはもうすでに廃止をされて、生産数量目標の配分を廃止していますから。生産調整を見直す、捉え方としては、一番注目点なのは増産をするのかしないのかということだと思いますが、昨日の総理の発言をよく聞いていただくと、最後の方で、基本計画の中には増産をしていくということをすでに言っているがという発言があるんですよね。ですので、この増産をしていくという方向性の中で、やはり大事なことは、農家さんの経営が価格変動によって脅かされないような、こういった策を考えること、セーフティーネットづくりだと思います。私は収入保険、こういったものが、基本的には、農家さんの経営のリスクを対応する補填するものとして有効だと思いますけども、さまざまなご提案も含めて議論をしていきたいと思います。
記者 これまで備蓄米に関して、需要があれば放出するというふうにおっしゃっていますけども、その先、MA米の活用も可能だというふうにおっしゃっているかと思います。ここの部分について、より具体的にどう活用するか、現段階で考えていることをお聞かせください。
大臣 MA米に限らず、緊急輸入、こういったことも含めて、あらゆる選択肢を、私は持って向かいたいと思っています。
記者 緊急輸入ですか。
大臣 これは他の産品を見れば、足りないときは当然やっているんです。鳥インフルエンザで卵がないといったらブラジルから卵を入れていますし、そして、例えば、私は地元がキャベツの産地ですけども、キャベツがかなり高騰しましたよね。あのときというのは、相当中国も含めて海外から、安いキャベツを入れていたんですよ。これは産地の立場からすれば、非常に残念なことでもありますけど。ただ、そういった一般的にやられていることというのが、米についてどうなんだ。こういったときに、聖域化、タブー視、こういったことが今までずっとあったのではないですかね。ただ、そういったことを政府としてやらなくても、今日、先ほどカリフォルニア米をイオンが販売をするというニュースがあったように、朝日新聞さんで、もうすでに昨年と比べて80倍、海外産米が入ってきている。こういったことがある中で、やはり聖域なく、あらゆることを考えて、米の価格の安定を実現をしていく。そういった中で、私としては今、さまざまな発信をしているとご理解をいただければと思います。
記者 先週金曜日から受付をしている中小の小売店の6万tの枠、まだ現在も、引き続き申し込みを受け付けていると思いますが、この残りの分、一旦受付をやめて、新たな需要先にであったりとか、残る備蓄米の30万tの扱いについて、現時点のお考えをお聞かせください。
大臣 これは必要あれば全部出します。そして全部出した後はMA米ということも含めて、今までどおり、そういった方針で向き合っていきます。今6万はまだヒットしていないというふうに聞いていますので、今後この随意契約の形をどのようにしていくのか、そしてまた、きめ細やかな対応を、地域特有の課題もあると思いますので、そういった地域特有の課題に対してできることなどもあれば、そういったことも考えるのも必要かもしれないと思います。随意契約を始めるときから、この随意契約の形は改善しながら、進めていくというふうにお話をさせていただいたとおりです。
記者 販売先も含めてということでしょうか。
大臣 対象も含めて。
記者 米価下落時の農家の所得確保についてお伺いいたします。これまでのお話ですと基本的には令和9年(2027)に予定されています、水田政策の見直しの中でセーフティーネットについて考えていくということかと思いますが、生産現場から、それに先立つ令和8年産で価格が急落するのではないかと。生産量の増加がすでに見通されていますので、そういう声もありますけれども、令和9年を待たずに価格急落が生じた場合の対応というのはどのように考えていらっしゃいますか。
大臣 昨日の委員会でも申し上げたんですけど、まず、あらゆるシミュレーション、これは行政にとっては大変なことだと思っています。ただ、価格高騰をなんとかしなければいけないというのが課題なんですよね、今は。ですから、今私の中の認識は、この問題の出口がまだ見えていないときに、来年安くなってどうすんだ。この前に、まず一回、この価格高騰を抑えなければ、米離れがどんどん進みかねないと。これは新潟の皆さんにも、生産者の皆さんにも、私もお会いをしますけども、声としてはそこに対する一定の理解はいただいていると思います。ただ、ご指摘のとおり、令和8年産、これがどうなるんだということについても、その時にどのような対応ができるかというのはその時になって考えますけども、今からシミュレーションもして。ただ、基本的に経営で何かがあったときのためにあるのが、収入保険でもありますよね。これは農業界だけではありませんけども、共済があったり、保険という商品、政策があって、そこに加入をされていないということが仮にあったときに、加入をしていないのに、何かあったときには、これはどうするんだという前に、まずはやはり加入していただきたいです。これも私は経営というものの中で当然のことだと思います。農業も経営ですから。ですので、新潟はまさに米どころですから、今の米農家さんの中で収入保険に入っている方が何%か。こういったことの中で、入っている方の声なのか、入っていない方の声なのか、そういったことによってもメッセージとしては、届け方が変わるかなと。もしもまだ入っていない方が、来年8年産どうするんだと言っているとしたら、まず入ってくださいと。私はまずそれをお伝えしたいと思います。そのために経営を安定させる。しっかりと収入を補填する。そのための政策ですから。
記者 現時点では、既存のセーフティーネットの中での対応ということを考えていらっしゃるのか。
大臣 現時点では、既存の制度をしっかりとお届けをして活用いただく。やはり保険というものは、万が一のときに備えるものですから、それに入っていなくて、万が一のときはどうしてくれるんだと言われたら、なかなか行政、政治としてはきついと思います。そして多くの国民の皆さんも、応援したいという気持ちはあっても、保険などがあっても入っていない、だけど何かあったときはどうするんだという声に対しては、さまざま冷静な声があるのではないでしょうか。