農林水産省はこのほど、加工原材料用途に限定した民間への政府米の1万t売渡が完了したことを明らかにした。
政府米はもともと、備蓄だけに機能を限定しているため、不測(不足)の事態がない限りは、毎年20万tを買い入れるだけで、民間に主食用米として売り渡すことはしない。5年後、主に飼料用として20万tを売り渡すことで、100万tの備蓄水準を維持している。
だが昨年の場合、いわゆる「令和の米騒動」が、一時的にせよ起こってしまった。主食用米は新米(令和6年産米)の出回りが本格化するとともに徐々に沈静化していったが、今度は米価高騰というまた別の問題に直面している。
一方、加工原材料用となると、年産の最初から不足感があったため、スンナリ4年古米(令和2年産)1万tの放出が決まった。ところが昨年8月、売渡入札を始めてみると全く札が入らず、当初2回の入札で売渡契約を終えるはずが、1万tが完売するまで6回もかかってしまった。最後の入札は昨年12月のことだ。農水省では、今後も端境期の供給が不足すると認めた場合、「8月以降に政府米販売を実施する」としているが、果たしてどうなることか怪しい。
なお最終的な業者別の成約数量ベスト5は以下の通りで、霧島酒造㈱(宮崎県都城市)が総体の半数近くを浚っていく結果となった。
1 | 霧島酒造㈱ | 宮崎県都城市 | 4,564t |
2 | 全国味噌工業協同組合連合会 | 東京都中央区 | 1,743t |
3 | マルコメ㈱ | 長野県長野市 | 1,590t |
4 | 岩塚製菓㈱ | 新潟県長岡市 | 1,460t |
5 | 薩摩酒造㈱ | 鹿児島県枕崎市 | 794t |
