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施策・政策

江藤拓農相、早期に政府米6万t追加放出を指示

 江藤拓農相は3月4日の閣議後定例会見で、政府米6万tの追加放出を急ぐよう事務方に指示したことを明らかにした。昨年12月末現在の前年同月比集荷量▲21万tを根拠に政府米21万t放出を表明、まず15万tの売渡入札を3月10日から実施する運びで、当初はこの入札結果を見て残り6万tの放出時期を決める予定だった。ところが1月末現在の前年同月比集荷量が▲23万tに拡大してしまったため、6万tの売渡入札を急ぐよう指示したもの。
 会見で「集荷量の減少幅が2万t増えてしまったのなら政府米放出量も2万t増やすべきではないか」問われた江藤農相は、「考えなかったわけではないが、まずは予定通り6万tを早めに出す努力をする方がいいと判断した」と応じている。
 また「目詰まり」を起こしている令和6年産米21万t(当時)がどこに行っているのか「概ね分かり始めてきた」との国会答弁(2月26日)を問われ、「大手だけだった在庫調査の対象範囲を拡げたところ。事務方からの逐次報告のなかで、『ああなるほどそういうことなのか、そういう現象が起こっているのだな』ということを、自分の情報として掴んでいたので、そのような答弁になった」と説明。「しっかり集計・分析した上で、調査結果を3月の中旬か下旬には公表できる。現段階では控えさせていただきたい」とした。
 ただ、米の流通に責任を持たない「新たなプレーヤー」が暗躍していることは滲ませた。そうしたプレーヤーによる品質管理に問題がないか問われ、「そういう人たちに主食である米の流通にタッチして欲しくないのが正直なところ」、「消費者の方々には、信頼のおける方から買ってくださいと申し上げたい」、「卸や小売に、『変なところに手を出さないでね』といった通達なりお知らせは検討してみたい」と応じている。

一問一答(3月4日、閣議後定例会見から抜粋)

 大臣 冒頭、私から(略)報告があります。先日公表したとおり、大手の集荷業者の1月末の集荷量が、12月末の21万t減から、さらに減少して23万tとなりました。昨日、21万tの備蓄米の売渡しのうち、初回の15万t分の入札公告を実施しました。3月半ばには、引渡しを開始する予定です。初回の入札手続きに入ったばかりですが、残りの6万tは、2万t増えた状況を受けて、事務方には速やかに入札の準備を進めるように指示しました。
 これまでも申し上げていたとおり、21万tの売渡しを円滑に行います。その上で、今回、集荷量の減少が23万tとなったことも踏まえ、販売量の拡大を検討します。買い戻しの時期は、基本的には、概算金の動向を見て、早くとも、出来秋以降に買い戻すことを想定しています。この21万tを受けて、急落するような場面があれば、その限りではありません。需要動向によっては、1年以内にこだわらず、1年を超えて買い戻すことも柔軟に対応します。
 3月に入り、気温も上がってまいりました。政府備蓄米の引渡しは、3月半ばには行われます。今申し上げた通り、早ければ1週間から、遅くとも2週間ぐらいで店頭に並ぶ予定です。精米を美味しく食べていただける目安は、常温で1か月程度と言われています。消費者の皆様には、日頃からお買い求めになっている、信頼できる業者から、必要な量をお買い求めいただき、大量買いするのではなくて、必要な量を買っていただくとありがたいと思います。それが流通の安定化にも繋がるということを、ご理解いただくよう、よろしくお願いいたします。(略)

 記者 先ほど冒頭発言にあった備蓄米について、21万tから上積みする意向があるとのことですが、6万tは早めに公告され、上積みを追加するタイミングはいつが適切だとお考えですか。

 大臣 まずは、3月半ばまでに(集荷業者に)渡り、店頭にも3月末には出る。その反応を見る必要があると思っています。価格にコミットするものではないと申し上げてきましたが、流通が改善することによって、(価格が)安定することを求めています。21万tを出した以上、政策効果がなければ意味がありませんので、21万tでは流通の改善が見られないということが確認されれば、機動的に追加を行うことを考えています。その時期と量については、状況を見極めた上で、ということになります。

 記者 21万tのうち6万tの放出について、速やかに入札手続きを準備するように指示されたということですが、今後の入札公告、入札のスケジュールはどのような見通しでしょうか。

 大臣 まだ決めていませんが、正直なところ、15万tを出してしばらく様子を見ようと思って、いつでも出せるように準備しておくように指示していました。しばし様子を見ることも必要と思っていましたけれども、さらに2万t、集荷業者に集まっていないエビデンスが揃いましたので、早めに追加することの方が正しいだろうと判断しました。ですから、いつとは申し上げられませんが、できるだけ早く対応するということです。

 記者 年度内にもということでしょうか。

 大臣 それも含めて考えます。年度内にできればやるかもしれませんが、まずは、この入札を無事に終えて、そのあとですので、今の段階で年度内に行うと申し上げませんけれども、それも含めて、可能性としては排除せずに、できる限り早く行う準備を進めてまいります。

(略)

 記者 冒頭の備蓄米について、6万tの準備ですけれども、2回目の入札で6万t全量かけるという理解でよろしいでしょうか。

 大臣 そうです。

 記者 ということは、2回目の入札は、この6万tと初回入札の落札残を合わせたものか。

 大臣 落札残が出るかまだわかりません。全量落札されることを期待しています。落札残が出るかどうかは、今、コメントすることは間違いだと思います。それを想定しているかのような話になりますから。

 記者 2回目の入札に、6万tに加えて、21万tから積み上げる部分が一緒に入札にかけられることはあるんでしょうか。

 大臣 今は考えていません。2万tを減った分を足して、8万tとしたらどうかというご意見ですか。考えなかったわけではありませんが、一度しっかりとした報告を発表しましたので、量については、21万tというラインを一度守らせていただく。追加すると併せて発表しているわけですから、このタイミングで2万t増やすこともよりも、まずは予定通り6万tを早めに出す努力をする方がいいと判断しました。

(略)

 記者 米の目詰まりをめぐって、これまで備蓄米の放出量の目安としている21万t、あるいは今日追加で考えを示された23万t、いずれも大手集荷業者の対前年比の集荷量のマイナスを、目詰まりと定義してきたと思うのですが、本当にその21、23というのか、目詰まりを示しているのかということは実はよくわからないのではないかと。なかなか概算払い金が上がっていない中で、むしろ他の業者の方々が買っておられる。その買ったものが本当に目詰まりをしているのかというと、卸売業者の在庫量は別に前年に比べて減ってないと。川下ということを考えると、その考え方自体が、正しいのかどうかということもささやかれている状況だと思います。そういう中で、26日の国会答弁で、24年産18万t増産になったけれども、どこに行っているかというのが概ねわかり始めていますというご答弁されたと思います。その主旨について、少し説明いただけるとありがたいです。

 大臣 毎月、食糧法に基づいて調査しているわけですが、大きなところ、実績のあるところについてやっていました。生産者のところはあまり調べてなかったのですが、小規模な集荷業者、卸業者の方々の在庫状況も1月の31日に調査を開始して、2月の下旬までには本省に報告をするということで今、お願いをしているところです。これは集計、分析もしなければいけませんので、調査結果をできるだけ早く(公表)したいと思いますが、3月の中頃か下旬ぐらいには大体信頼できるものとして、データを公表できると思っています。私がこのあいだ答弁したのは、随時、役所の方から報告を受けております。その逐次報告の中で、ああなるほどそういうことなのかと、そういう現象起こっているのだなということを、自分の情報として掴んでいましたので、「だんだん分かってきました」という言い方をしました。その前段で、この21万tが本当に適量なのかどうか。新たなプレーヤーも入ってきたということがあれば、それがしっかり21万tを受けて、通常の正規のルートに近いところで流通に乗るかどうか。それは非常に難しいところです。ただ、施策決定するにおいては、やはりエビデンスに基づいて決定しなければなりませんので、我々が掴んでいる定量的な数字のエビデンスとしては、21万tという数字がありますから、まずはこれを根拠としては決定をさせていただきました。ですから、信頼のできるところから、ぜひ米を買っていただきたい。それは消費者の方々だけではなく、例えば、飲食店の方々とかも。コクゾウムシって見たことありますか。私は何度も見たことあるのです、すごいですよ。それだけ取れば食べられるのですけれども、とても普通の人では、それ見たら食べようという気にならないような、すさまじい状況です。1匹、2匹出てくるのではなくてブワーッと出てくるのです。ですから、消費者の方々も米の賞味期限を考えていただいて買っていただく。もう一つは、信頼のできるところから買っていただくことがとても大事なので、それをお願いしたいと思っています。

 記者 要するに大手出荷業者、卸売業者に限定していた調査を今少し広げてという、緊急に調査をやっておられると。その途中経過の報告が上がってきているという中で、その中で大手が集められなかった部分が、どこに行っているのか何となくこうじゃないかっていうことが分かり始めているんだということをおっしゃられたという趣旨だと思うのですが、具体的にはやはり目詰まりが起きていることが、推認されるような、途中報告が上がってきているということなのでしょうか。もう少し具体的に伺えると幸いです。

 大臣 それはしっかり集計して発表すると申し上げましたが、今のところは、そうであろうという段階です。こういう報告は上がってきています、こういう事例を掴みましたという、個別具体的な報告は聞いていますが、それが全国的なトレンドで捉えていいものか。全体的な評価としていいものなのかということは、また別の話です。一つ一つの事例を積み上げていって、一定の量になって初めて統計としての意味合いを成すわけですから。一つ一つのものを拾うと、なるほどそんなことがあったのかというのはたくさんあります。毎日、米チームとは、1日2回も3回も会議をやっていますので。その度に、様々な情報を入れてくれますから。私の中では、こういうことなのだなと。なるほどなというのはありますが、ただ、ここで申し上げることは不確実性も含みますので、まだ控えさせていただきたい。

 記者 先ほど米の品質について、虫がわいてしまったりとおっしゃっていたかと思います。この新規に参入した業者というのは、米の品質管理とかそういった部分については、本当に、流通に乗せていい品質のものなのか分からないところが、多々あるかと思います。流通業者からもそういった米の品質についての安全性を懸念する声が幾つか聞かれているのですが、その品質安全性については、どのように考えていらっしゃるかと、食の安全を守る所管省庁として、こちらの安全性というところには何か対策を立てていかれるのでしょうか。

 大臣 難しい質問ですね。お米は、例えばコクゾウムシがわいた米袋について、それは食べられないのかと言われれば食べられるんです。ただ食べたくないですよね。そういうものを、例えば飲食店でもお客さんには出したくないですよね、店の信用にかかわりますから。もっと悪くなると、カビが生えてしまいます。そうなるともうアウトですよね。特にロットが小さい方々、例えば、30袋、20袋持っていますという人がどこにいるか我々としてはわかりません。そういう人に対して行政指導する権限があるのかというと、確かにおっしゃるように、農林水産省は食の安全に責任を持つ役所ではあります。しかし、そこにたどり着くことがまず現実的になかなか難しいです。ですから、ある意味では、消費者の方々に、先ほど申し上げましたように信頼のおける方から買ってくださいと。もしかしたら、これから3月末にいよいよ店頭に並ぶという時期になってくると、暖かくなってくる状況を見た人たち、もうとにかく原価割れしていいから売ってしまおう人もというのが出てくるかもしれません。その人たちの米の品質が悪いということ、良いとは到底思いませんが、やはりそれは買い手の良識、判断もしっかり働いて欲しいと思います。私としては、このような令和の米騒動とか言われているようなことが二度と起こらないようにしたいと思っています。やはり流通が安定して、信頼のできる商流が確保されることが消費者にとっても一番大事なことだと思っていますので。21万t出して、15万tの追加の6万tも出す覚悟を決めて、そういう国の確固たる姿勢を示す。ちゃんとお米は使おうというニュープレイヤーはいいのです。ちゃんと米を扱おうと、保管庫も用意して、ちゃんとやろうという人はいいのです。そうではなく、例えば町のレンタルコンテナとか、コンテナ倉庫とかに積んでしまうような方々は、やはりこの主食である米にはあまりタッチして欲しくないというのは正直な気持ちであります。

 記者 買い手というか卸や小売りに何か対策を立てていかれることはないのでしょうか。

 大臣 その人たちには、役所として、あまり変なとこに手出さないでねというのは、大臣通達になると、大げさなので局長になるのか、通知になるか、それはちょっと米チームとよく相談をしますが、今回の事案を受けて、一般消費者の手元に、質の悪い米が大量に流れたということになり、それが農林水産省の責任かと言われれば、それはまたちょっとという気もしますけど、なるべくそうならないように卸や小売の方々に、何らかのお知らせは検討してみたいと思います。

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