江藤拓農相は4月8日の閣議後定例会見で、アメリカのトランプ大統領が発表した相互関税をめぐって、日本の「輸出への影響は、間違いなくある。国内の生産現場への影響も間違いなくあると考えている」とした上で、「広範に検討・分析をする必要がある」との姿勢を示した。また第3回政府米売渡入札の判断時期を、少なくとも第2回入札の落札玉が出回り始める4月末頃までは放出の効果を「しっかり見る必要がある」と発言している。
一問一答(4月8日、閣議後定例会見から抜粋)
大臣 本日、私から1点、報告がございます。昨年、我が国の農林水産物・食品の輸出額のうち、アメリカ向けは2,429億円で第1位の輸出(先)国です。こうしたなかで、アメリカの関税措置による輸出への影響は、間違いなくある。国内の生産現場への影響も間違いなくあると考えています。
今般のアメリカの措置は、国ごとに税率が様々であり、品目ごとに現地での単価や競争環境も異なるため、農林水産省としては、省内に対策チームを立ち上げました。輸出品目団体、生産者、食品事業者などから聞き取りを行い、品目ごとの影響を分析するよう指示しております。そして、国内の生産現場への影響を精査してまいります。アメリカだけではなく、全ての国は関税がかかります。例えば香港なども、購買力が落ちるおそれがありますので、広範に検討・分析をする必要があると考えています。私からは以上です。
記者 昨夜、総理とトランプ氏との電話会談が行われました。関係閣僚会議もございましたが、どのようなやりとり、指示があったのか聞かせていただきたいです。
大臣 石破総理とトランプ氏との(電話会談)内容については、総理がおっしゃったことが全てですから、私から言うことはありません。それを受けて、関係省庁はしっかり連携・協力をすること。(アメリカの)発表を含めて、重ねてになりますが、関税措置の内容を精査すること。我が国の農林水産業全般に対する影響をしっかり分析すること。そして、措置の見直しを、あらゆるレベルを通じて求めていく。同時に、国内産業への影響を勘案して、資金繰りの支援など、必要な対策について、しっかりと万全を期していくよう指示をいただきました。
記者 米の価格ついて、昨日、スーパーのPOSデータが発表されて、13週連続で値上がり、過去最高値を更新しました。備蓄米を放出した週でもあり、価格への受け止めと、第3回目の備蓄米の放出時期についてどのようにお考えかお願いします。
大臣 3回目はやると決めたわけではありません。必要であれば、躊躇なくやるということを申し上げているだけです。1回目の入札した米がスーパーの店頭に並び始めるのは、基本的には4月10日くらい。一部は3月末から先行で出ている分はあります。この段階で、POSデータを中心に、分析結果は一つのデータであるが、効果が出るのは少し時間がかかる。そして2回目は、大体4月末日ぐらいに店頭に出始めます。それまではしっかり見る必要があります。関係の団体には、隔週ごとに販売価格も含めて報告する義務を課しておりますので、その分析も必要だと思っています。大事なことは、備蓄米を出しました。それだけ処理をして、各段階には、米が前年より多くあると分かった訳ですから、その分は取っておくということをされると、非常に良くないです。(3回目の備蓄米放出について)いつ出す、どれだけ出すとは申し上げませんけれども、必要ならやると言っております。出来秋まで持てば、間違いなく古米になります。商売のことに口をはさむのはおかしいですが、決して得策ではない。備蓄米が出た段階で、自分たちが持っている分についても、しっかり流通に乗せていただくことが大事だと思います。まだデータが不十分ではありますが、流通については、改善した傾向はあると思います。店頭にはしっかり米があるということは、一つの証明ではないかと思います。価格については、ご存知のように、POSによれば、高値を更新しているということですから、このことについては、注意深くみていきたいと思います。
記者 先ほど、アメリカ向け輸出の影響の分析をするということでしたが、先週までは、アメリカからの輸入については、輸入枠拡大や関税の見直しなどは、今のところ考えていないということでしたが、現時点でもそのスタンスに変わりはありませんか。
大臣 変わりはありません。
記者 先週、秋田県の業者が、国の基準を超えるカドミウム米を全国に出荷していたケースがありました。大臣の受け止めと、消費者に対して、国として呼びかけなどがあれば教えてください。
大臣 カドミウムというと、国民の皆様方が非常に敏感に反応されますが、秋田は歴史的にもそういう地区があることは、知っている人は知っていますが、知らない方も多い。今回、流通してしまったということで、自主回収されるということです。その後の処分などについても、適切に行われるように、農林水産省としてもしっかり協力していきたいと思います。そして、県とも協力して、同様の事案が今後発生しないように、低減対策を改めて徹底していただくように、我々ができる協力はしますが、県にもしっかり要請したいと思います。