江藤拓農相は3月14日夕、記者会見を開き、政府米売渡入札(3月10~12日)結果を自ら公表した。それによると、提示数量15万579t(令和6年産10万t+令和5年産5万t)の94.2%にあたる14万1,796tが落札された。不落8,783tは全量が令和5年産。加重平均落札価格は60㎏あたり21,217円。会見で江藤農相は、「現在、店頭価格が5㎏4,300円くらいで推移していることを考えると、それよりはかなり低い精米価格になるだろう」と自信を覗かせた一方、残り7万t(当初予定+今回の残)の売渡入札も「これで効果が出なければ即座に実施する」とした。
さて、では本当に令和6年産米の店頭価格は「かなり低い価格」になるのだろうか。
業界に詳しくない一般報道は、単純に相対取引価格と比較するという失敗を犯している。単純比較できない理由は、まず建値の違いにある。今回公表なった「加重平均落札価格60㎏あたり21,217円」の建値は、「税抜き、包装代込みの置場価格」。対して相対取引価格の建値は、「税込み、包装代込みの着値」。消費税は計算できるが、運賃は産地ごと異なるため計算しようがない。もう一つは、「そもそも相対取引価格と比較すべきではない」点だ。今回の価格は、言わば集荷業者の仕入価格なのであって、相対取引価格に相当する価格、つまり卸なり実需なりに売る価格には、集荷業者の手数料その他を上乗せする必要がある。
以上を勘案した上で計算してみると、いま現在の店頭価格を構成している相対取引価格と遜色ない水準にしかならないことになる。これだけ世間の目が厳しいと流通各段階もそれなりの努力をするだろうから、5㎏100~200円は値下げ可能だろうが、そのあたりが限界と言える。
あとは、この結果を見て「目詰まりが解消されるか」だが、これは週明けの動きを待つしかない。