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施策・政策需給

買戻し条件付政府米販売可能に、需給見通しほぼ無修正

 農林水産省は1月31日、政府米「買い戻し条件付販売」の仕組みを正式決定した。「仮にあるかもしれない発動」に向けて、今後細部を詰めていく。また改めて需給見通しを示したものの、昨年10月の見通しからほとんど修正を加えなかった。昨年10月に見通しを示した際、「年明け以降に改めて示す」との附帯事項を設けていた。

 政府米の「買い戻し条件付販売」の前提条件として、農水省が毎月実施している民間在庫量調査の対象範囲を拡大する。「全体として供給に不足が生じていないものの、通常の供給ルートではない流通が増えたことで供給が滞る可能性が高い場合」、つまり〝今〟のことだが、いざ政府米放出を発動することになったら、集荷業者との間で、「1年以内に同等同量の国産米を買い戻す契約を締結する」。これが〝買い戻し条件付〟の意味だ。
 現在の食糧法には、不測(不足)時の放出先として卸を想定しているものの、今回は集荷段階に米が集まっていないことから、売渡先は集荷業者に限定する。いま不足しているのが令和6年産米のため、仮に放出を決めた場合、売渡玉は令和6年産を基本に想定している。ちなみに令和6年産政府米は17万2,016t。集荷業者に「集まっていない」とされる数量と奇妙に符合する。この程度のボリュームであれば、農水省が心配する「市場に与える影響」はさほど大きくないと考えている模様だ。

 需給見通しに加えた修正は、令和6年産主食用米の生産量確定(昨年12月)に伴い、これを4万t上方修正しただけにとどまる。需要量見通しにも令和7年産主食用米生産量見通しにも一切変更を加えていない。このため民間在庫は、今年6月末158万t(前年同期比+5万t)、来年6月末178万t(+20万t)と、米価変動の分岐点とされる180万tをギリギリ下回った。

 需給見通しの修正が最小限にとどまった理由を、農水省は「需給環境に前回見通し時(昨年10月)から大きな変化は見られない」ためと説明している。今後、「令和7年産の生産意向調査などにより、令和7年産の生産量が変動する可能性がある」とも。
 同時に、この日の発表では、都道府県ごとの生産目安(旧生産目標)も示している。その通りに生産されると過程した場合、令和7年産主食用米生産量は695万t(前年比+16万t)となる。これを需給見通しにそのまま当てはめると、来年6月末在庫は190万tになる勘定だ。

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