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施策・政策需給

主食用輸入米入札3万t全量落札、9割弱がアメリカ産

 農林水産省は6月27日、主食用輸入米の入札(WTO-SBS入札)を実施、3万tの提示全量が落札された。落札3万tのうち、85.1%にあたる2万5,541tまでがアメリカ産。砕精米を除く丸米(一般米)に限っては、88.7%までがアメリカ産うるち精米中粒種となった。
 WTO(世界貿易機関)協定によって日本に課されている無税の義務輸入枠、MA(ミニマム・アクセス)米は年間76万7千t。これらの大半は加工用や飼料用、あるいは援助用など、国内で消費する主食用としては仕向けられない。唯一主食用として輸入できる枠は年10万tだけで、SBS(売買同時入札方式)で輸入する。年4回のSBS入札で契約し、1回目を9月に実施するのが通例だが、今回は3か月前倒した。小泉進次郎農相はこの意図を、「国内の米価高騰を抑えるために必要な措置の一環」、「高い関税を払ってでも民間輸入を増やす動きが顕著。これを抑える狙いもある」と説明している。
 ただ、あえて外国産米の輸入を早めるやり方には不安を主張する国内生産者も多い。このため小泉農相は、「今回落札されたSBS米は、早ければ9月末にも輸入されることになるが、この時期に輸入される米は、近年のSBS米の多くを占めるアメリカ産の場合は『古米』にあたる。似たような時期に出回る国産の新米とは別物だ」と指摘している。また年10万tを4回のSBS入札でこなす原則のため、1回あたりの提示数量(予定数量)は2万5,000tが通例だが、今回はいきなり3万t。その9割近くがアメリカ産で落札されたのだから、その意味では小泉農相の狙い通りに結果したと言える。
 SBSは、輸入してくる商社が売り渡す価格と、卸売業者が買い受ける価格を、ペアを組んで同時に応札する仕組み。国の側から言うと、商社から買い入れる価格と、卸に売り渡す価格、と表現できる。この買入価格と売渡価格との差益(マークアップ)が国の収入になり、このマークアップが大きい順に落札される。ただし非公開の予定価格が設定されており、買入価格の下限と売渡価格の上限の幅に、売り・買いともおさまっていることが前提だ。またマークアップにも㎏292円の上限がある。
 今回の落札結果では、例えば一番人気のアメリカ産うるち精米中粒種(『カルローズ』が主体とみられる)は、買入価格(商社売り)が㎏141.8円、売渡価格(卸購入)が㎏371.8円で、マークアップは230.0円。前年度の第3回・第4回入札でマークアップが上限の㎏292円に張り付いていたことからすれば、まだしもヒートアップはしなかったと言える。また㎏371.8円で仕入れた卸は、十分に5㎏2,000円台の商品を納品できる勘定だ。

令和7年度(2025)第1回WTO-SBS入札結果(6/27)
申込
数量
(t)
落札
数量
(t)
加重平均価格(裸)
買入
(円/㎏)
売渡
(円/㎏)
マークアップ
(円/㎏)



アメリカうるち精米中粒種53,90023,961141.8371.8230.0
アメリカも ち精米短粒種1,04080195.0475.0280.0
インドうるち精米長粒種2,304509214.0435.9222.0
オーストラリアうるち玄米短粒種5160
オーストラリアうるち精米長粒種1000
オーストラリアうるち精米中粒種5,9600
タイうるち精米長粒種2,701708178.5415.1236.6
パキスタンうるち玄米短粒種852242260.5478.1217.6
ベトナムうるち玄米短粒種3000
ベトナムうるち精米短粒種600420163.7388.9225.2
台湾うるち精米短粒種4,620520188.2420.7232.5
中国うるち玄米短粒種1,180560137.0357.6220.6
一般米枠 計74,07327,000146.5376.3229.8



アメリカうるち砕 精 米4,3001,12091.1162.571.4
アメリカも ち砕 精 米480380158.5236.077.5
オーストラリアうるち砕 精 米1,5001,50080.0160.080.0
タイうるち砕 精 米1,4000
タイも ち砕 精 米1000
砕精米 計7,7803,00094.1170.576.5
合計81,85330,000
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