既報の通り、農林水産省が7月28日、政府備蓄米の「買戻し」を事実上アナウンスした。
現段階ではタイミングもボリュームも明らかになっていないが、今後の需給と価格に大きな影響を与えることは間違いなく、事実この日の先物(堂島コメ平均)はビビッドに反応、小幅ながら一斉反発している。
現段階で判明している――というと言い過ぎで、農林水産省が示唆した「買戻し」の概要は、以下の3点。
実施時期(タイミング)……令和8年産水稲の8月15日現在作柄が公表になる8月末を待って、具体的な数量と実施時期を決める。したがってアナウンス時期は、最短で8月31日(月)の夕刻ということになる。あるいは翌9月1日(火)午前、閣議後定例会見で鈴木憲和農相が自ら発表する公算が高い。
買戻し対象米穀(産年)……もう十分影響しているのだが、「需給への影響を避けるため」、これから穫れる令和8年産米ではなく、令和7年産米の在庫から買い戻すのが自然、というのが農林水産省の見解。
買戻し対象者(放出先)……昨年の放出は59万tにのぼった。このうち〝小泉米〟(随契米)28万tではなく、〝江藤米〟(入札米)31万tを優先せざるを得ない。もともと一般競争入札による売渡が「買戻し条件付」だったこともあるが、放出先(買戻し元)が10社(団体)と限られることから、迅速に対応できるため。
以上から、「買戻し」数量を大胆に予想してみよう。といっても、買戻し対象が令和8年産米ではなく令和7年産米であることからすると、物理的な限界があるため、予想でも何でもなくなる。入札米の売渡先は大半が集荷業者(団体)で、ここからの買戻しを優先するということは、在庫といっても未契約玉である必要がある。国がやることなので、まさか契約済みの未引取玉を引き剥がすわけにいかない。入札米は31万t(厳密には31万2,296t)にのぼるのだが、現実問題として6月末現在の未契約玉は14万8千tしかない。半数にも満たないわけだ。
加えて単価の設定次第では、入札米の売渡先である集荷業者(団体)が買戻しに難色を示す可能性もある。ちなみに入札米の売渡価格は、3回に及んだ入札の加重平均で税別60kg20,812円(税込22,477円)。令和7年産の相対価格を大きく下回り、スポット価格をわずかに上回る水準だ。
またタイミングを最短で8月末とした際、9月半ば頃までに概算金(一次集荷価格)が決まることが念頭にあるのは間違いない。ただ、あまり意味があるタイミングとはいえない。仮に低水準な概算金を設定したとしても、買戻しをアナウンスした途端、内容にもよるが即座に追加払いを決めるであろうことが明白だからだ。
一方、8月末というと来年度予算の概算要求が決定した直後で、内閣改造の可能性が取り沙汰されている。仮に農相が交代となった場合、後任農相のキャラクターによっては、以上の全てが引っくり返される可能性が、皆無とは言えない。
政府備蓄米の買戻しは、まだまだ先行き不透明な要素が多いのである。
政府備蓄米の放出概要
| (単位=t) | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| \ | 放出 数量 | 放出先 | |||||
| R6 | R5 | R4 | R3 | ||||
| 競 争 入 札 | 第1回 | 141,796t | 100,000t | 41,796t | 大手集荷業者ら | ||
| 第2回 | 70,336t | 30,159t | 40,182t | ||||
| 第3回 | 100,164t | 100,164t | |||||
| 小計 | 312,296t | 130,159t | 182,142t | – | |||
| 随 意 契 約 | 第1回 | 200,638t | 187,940t | 12,698t | 大手小売業者 | ||
| 第2回 | 10,531t | 10,531t | 米穀店 | ||||
| 28,074t | 28,074t | 中小小売業者 | |||||
| 第3回 | 16,913t | 16,913t | 大手小売業者 | ||||
| 7,766t | 7,766t | 米穀店 | |||||
| 5,192t | 5,192t | 中小小売業者 | |||||
| 1,602t | 1,602t | 外食業者 | |||||
| 6,746t | 6,746t | 中食業者 | |||||
| 2,514t | 2,514t | 給食業者 | |||||
| 小計 | 279,976t | 187,940t | 92,036t | – | |||
| 合計 | 592,277t | 130,159t | 182,142t | 187,940t | 92,036t | – | |
うち一般競争入札の概要
| (単位=t) | |||||||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| \ | 放出 数量 | 放出先 | |||||
| R6 | R5 | R4 | R3 | ||||
| 競 争 入 札 | 第1回 | 141,796t | 100,000t | 41,796t | 大手集荷業者ら | ||
| 第2回 | 70,336t | 30,159t | 40,182t | ||||
| 第3回 | 100,164t | 100,164t | |||||
| 小計 | 312,296t | 130,159t | 182,142t | – | |||
| 随 意 契 約 | 第1回 | 200,638t | 187,940t | 12,698t | 大手小売業者 | ||
| 第2回 | 10,531t | 10,531t | 米穀店 | ||||
| 28,074t | 28,074t | 中小小売業者 | |||||
| 第3回 | 16,913t | 16,913t | 大手小売業者 | ||||
| 7,766t | 7,766t | 米穀店 | |||||
| 5,192t | 5,192t | 中小小売業者 | |||||
| 1,602t | 1,602t | 外食業者 | |||||
| 6,746t | 6,746t | 中食業者 | |||||
| 2,514t | 2,514t | 給食業者 | |||||
| 小計 | 279,976t | 187,940t | 92,036t | – | |||
| 合計 | 592,277t | 130,159t | 182,142t | 187,940t | 92,036t | – | |
